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埼玉・川口の鋳物業者、原料高が収益圧迫−泣き寝入りか廃業か

 原材料や副資材の高騰が、埼玉県川口市の一大産業である鋳物業の各社を圧迫している。値上がり幅を製品価格に転嫁しきれず、利益を十分に確保できない状況だ。原材料高止まりが続く中で、価格転嫁をユーザーが認めず、泣き寝入りか廃業かの苦しい立場に追い込まれる下請け企業も少なくない。(さいたま・孝志勇輔)

【利益なき繁忙】

 自動車関連の下請け企業は「利益なき繁忙」が続いている。ある自動車エンジン部品を生産する企業では、主要取引先が04年以降、価格転嫁の要請に一度も応じず、今期は赤字に転落する可能性が出てきたという。ユーザーは「親会社が値上げをしない限り無理だ」と繰り返すばかりで、回答を1カ月、2カ月と先延ばしにされている。

 液晶の製造装置部品を納入する鋳物業者も価格転嫁を申し入れたところ、不振が続いている納入先から「仕事をゼロにする」と言われ、実際に発注量を減らされたという。「大手になるほどコスト削減の目標が厳格で、購買担当は応じてくれない」と嘆きの声を上げる。

【強みにも限界】

 こうした現状を打開するため、各社は自社の持つ技術力や蓄積したノウハウで生き残りの模索を続けている。

 旭合金鋳造(川口市、飯沼歩社長、048-222-4321)は、マグネシウム含有比率の高いアルミニウム合金を使って医療機器や船舶の部品などの製造に取り組んでいる。材料価格が高いうえ鋳造も技術的に難しく、「毎日、鋳造しているところはうちぐらい」(同社)という。他社との差別化は、ユーザーが取引先として重視することにつながる。ただし強みだけを武器にユーザーと対等に近い立場に立つのは難しい。造船向けの大型部品を手掛ける別の鋳物業者は「今回の高騰は効率化で補える限界を超えている」と険しい表情を見せる。

【鋳物の火を消すな】

 約150社が加盟する川口鋳物工業協同組合(児玉洋介理事長)は、組合員のサポート強化に乗り出している。経済産業省と中小企業庁が策定した「下請け適正取引等の推進のためのガイドライン」の説明会を開いて周知に努めている。価格転嫁を達成できた下請け企業は少しずつだが増えている。1947年のピーク時に703社を数えた同協組組合員数は、時代を経て減ってきた。この10年でさらに約3割減り現在146社。川口から鋳物の火を消さないためにも、組合独自の対策を打ち出す必要もありそうだが、有効策は見つかっていない。


【2007年12月13日 日刊工業新聞社】