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中国リポート/広島工大・広島市大、黄金の郵便ポストをプロデュース

 「願いを届けるポストです」―。広島市佐伯区のコイン通り商店街に、黄金の郵便ポストが登場した。広島工業大学、広島市立大学が地元のコイン通りまちづくり委員会、五日市商工会と共同で展開する「金持(かねもち)神に会える街」プロジェクトの一環。コイン通り商店街振興組合の「金持ブランド」戦略と相乗し、目に見える地域活性化を目指すプロジェクトの取り組みを追った。(広島・深江隆寿)

【遊び心たっぷり】

 通り沿いにある造幣局広島支局に由来するコイン通り。プロジェクトでは12月の土日を利用し、広島工業大学、広島市立大学の学生と市民約100人が参加してコイン通りの電話ボックスと郵便ポスト、それぞれ三つに金箔を張った。コンセプトは「願書を出すと合格する郵便ポスト、愛を告白すると実る電話ボックス」。電話ボックスは10円・100円硬貨、ポストは5円・50円・500円硬貨の模様を施したデザインだ。

 コイン通りの中核をなすコイン通り商店街では7年前から「金持ブランド」を入念につくり込んできた。加盟店ビルの屋上に神社「金持稲荷(いなり)」を建てたほか「金持酒」など金持ブランド商品を開発、発売。さらには「全日本金持学会」を設立し、全国の「金持」姓を持つ人を会員に募るなど遊び心たっぷりの地域活性化戦略を展開している。

【ブランド視覚化】

 経済産業省から「小規模事業者新事業全国展開支援事業」に採択され、800万円の補助金を受けた。プロジェクトはその半額の400万円を投じ、金持ブランドの視覚化に挑む。「幸せの青い鳥」にちなんでカフェのオープンスペースに鳥かごをぶら下げる「ブルーバードカフェ」や交差点にある安全用チェーンのしめ縄化など、コイン通りを金持稲荷への"参道"と見立てた仕掛けを作る。原案は広島市大芸術学部の学生が考案した。

 モニュメントの設置や施工を主導する広島市大芸術学部の吉田幸弘准教授は電話ボックスやポストの設置者であるNTT西日本や日本郵便、広島市、広島県警など行政との交渉・調整に奔走する。「管理面から行政は及び腰になりがちだが、少しずつでも実現する」と決意を見せる。

【観光客増を狙う】

 08年からは観光客の増加を目指したコイン通りの環境整備を本格化する。主導する広島工大環境デザイン学部の平田圭子准教授は「09年までの3カ年計画で、間伐材をつかったストリートファニチャー(街を歩く人向けの休憩用いす、テーブルなど)の設置や、視覚効果と環境性を両立する店舗の壁面緑化に取り組む」と、アイデアを次々にぶつけていく計画だ。

 プロジェクトで行った地元住民へのアンケートでは"金持"や"金箔"のストレートさに対し「不謹慎だ」との批判もあるという。だがそれはブランド浸透に不可欠な「わかりやすさ」の証明でもある。

 全国の例に漏れず郊外型の巨大店舗が幅をきかせる広島。地元と大学が協同でユニークな地域活性化に取り組む。


【2007年12月12日 日刊工業新聞社】