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首都圏リポート/東京ブランド育成・確立へ−高収益商品を重点投入

 東京都は07年秋から新たな柿の品種「東京紅」を都内の直売所などで本格販売する。農畜産物の東京ブランド育成・確立を進める一環だ。限られた農地で高収益が見込める新たな品種の研究開発も日々、進めている。1200万都民の胃袋を支える東京都の農業振興の現状と課題に対する取り組みを追った。(大塚久美)
 【戦略的に開発】
 東京都は収益性の高い商品を戦略的に開発してきた。都や東京都農林水産振興財団(東京都立川市)が品種登録したものを都内農家へ導入する狙いは、各農家が都市の優位性を発揮できる高収益体質の農業経営を実現することにある。
 近く市場に送り出す柿「東京紅」は販売価格が一個(約250グラム)100円前後の見込み。色つやがよく、日持ちするという点などが売り物だ。10―11月頃の都内直売所での販売個数は1000個と見込んでいる。
 これに先行して東京ブランドで確立された「東京X」「東京うこっけい」「東京しゃも」の畜産3種。なかでも収益性が高いのはサシ(筋肉内脂肪)が入った良質な豚肉の「東京X」だ。97年に流通が始まり、06年度の生産数は7079頭。生産者数は25(06年度実績で都内組合員12、他県組合員13)。ブランド管理も厳重で、販売はデパートやスーパーなど「東京X―アソシエーション」による登録制(94店舗)をとり、ニセモノが出回らないようにしている。今後、安定供給へ、生産農家開拓を進めるなどして2010年度生産体制を2万頭に引き上げる計画だ。
 【都内で地産地消】
 東京自体が大消費地ということもあり、都内では地産地消も進む。「農作物については新しい品種登録のペースを2、3年に1品種の割合で行う」(都産業労働局農林水産部)という。
 新しい緑化素材として屋上緑化などでの施工が簡単な「東京花マット」。東京都農林総合研究センターと都内の花の生産者団体が共同開発した。3月には西東京市や小平市の造園業や鉢花製造業者ら15人が「花マット研究会」を発足、生産に着手した。ペチュニアやマリーゴールドなど30種類あり、イベント用に注文生産を実施している。
 農業に携わる人材や農地不足にどう取り組むのかも問題だ。都内農地の6割は市街化区域内にある。農家は高額な相続税支払いのために農地売却を余儀なくされており、この10年間で約1400ヘクタールの市街化区域内農地が減少した。そこで都は6月、国に対し、都市農地を残せるようにするため、農業用施設用地、農業に必要な倉庫や屋敷林などへの相続税軽減措置を求める提案をした。
 【実践農業セミ】
 農業の人材不足の解消を図るため、新しい取り組みも始めた。06年4月に全国初の「実践農業セミナー」研修を都の研修農場(東京都八王子市)で始めた。農家が教師役となって都民に土づくりなどを教え、遊休化が進む農地の働き手となる農業人材を育成中だ。農業振興に向けた都ならではの取り組みが続く。
 【東京X】東京都畜産試験場で北京豚、バークシャー、デュロックの豚3品種を用いて5世代交配を繰り返し、育種した豚。97年7月に日本種豚登録協会に認定された。おいしさと安全性を追求した豚で、体重が50キログラムに達して以降、出荷まで専用の指定飼料で育てることを義務づけている。現在は茨城県や長野県などでも飼育されている。都が手掛け品種登録した東京ブランドは畜産・果物・野菜・花き類などで15品種程度ある。


【2007年9月7日 日刊工業新聞社】