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地域資源活用チャンネル

いきいき活用事例

奈良

吉野スタイルを提案

中神木材・中井章太社長

中神木材・中井章太社長

自然の恵みを余さず利用

 杉、割りばし、手漉き(てすき)和紙などで有名な奈良県吉野町。同町では、これらの地域資源や伝統産業を生かすためのプロジェクトが進んでいる。

 同町は、奈良県の中央部に位置し、面積の8割が山林という小さな町。かつては高級建築資材で知られる吉野杉の加工を中心に製材業が栄え、その廃材を使った割りばしも全国に流通していた。現在は外材・集成材の用途拡大や、さらには中国製割りばしの増大で地場産業は低迷している状況だ。

 そういった状況を打破しようと進んでいるのが「吉野発エコプロダクト」で、「廃材から割りばしを作るなど、自然の恵みを余さず使うこのシステムを全国的にアピールしていく」(中井章太中神木材社長)と意気込む。現在は、このシステムを"吉野スタイル"と命名する一方で、地元の木材業者や手漉き和紙の製造業者だけでなく、関西地方の企業も巻き込んでプロジェクトを展開している。

 プロジェクトに参加している地元企業は福西和紙本舗、和紙工房・植UE、あかり工房吉野など6社で、それに吉野製材工業協同組合が加わる。吉野町商工会は裏方としてプロジェクトを支える。また、大手家電メーカーのデザイナーだったクロスワークスタジオ(奈良市)の北井勲社長が事業全体のコーディネート役となるほか、商品化や素材開発でトーア(大阪市生野区)、宮坂家具工芸(京都市西京区)など7社と連携する。

 これまでに完成した商品はかばん、ベルト、照明器具、料理箱、置き時計、パーティション(間仕切り)など。かばんは吉野杉を厚さ0.3ミリ×幅2ミリメートルの細さにスリット加工して染色。それを厚さ0.4ミリ×幅2ミリメートルに加工した皮素材と組み合わせて作成するなど地元資源をフル活用する。これら商品には「ECOmO(エコモ)」という統一ブランドも設け、今後はネット販売も計画中だ。

デザイン塾で完成度を向上

吉野杉を使って開発したかばんなど。

吉野杉を使って開発したかばんなど。

 プロジェクトは、06年度の小規模事業者新事業全国展開支援事業を活用して展開中だが、軌道に乗るまで順風満帆だったわけではない。リーダーの中井社長も「私の会社は木材業。まさか一般消費財のような商品をてがけるとは思わなかった」と振り返る。それだけに参加メンバーの間には、戸惑いもあった様子。プロジェクトの前身である「吉野ウッドプロダクト」では数々のインテリア商品を生み出してきたが、完成度を高める必要があった。よって「今回のプロジェクトでは、開発商品に"磨き"をかけることに重点を置いている」(中井社長)という。そこで「プロジェクト委員会」と「デザイン塾」を設けて検討を進めてきた。

 グラフィックデザインの企画などを行う企業にも加わってもらい、販売促進のための協力も得た。デザイン塾は2月末までに9回を数え、ロゴやパッケージの重要性などについて勉強してきた。その結果、2月13日から4日間の日程で東京ビッグサイトで開催された「ギフトショー」では、「杉と革を組み合わせた素材に注目が集まった」(同)という。また「イタリアから素材についての問い合わせもある」(北井社長)とし、今後は販売にも力を入れていく考えだ。

【コメント】中井章太社長
まずは知ってもらい、見てもらうことが大切

 まずはプロジェクトの目的や意義を明確にして、それをメンバー間で共有すること。そして目標が決まったら、段階的な目標を立て取り組むことが大切です。このプロジェクトでもかばん、ベルト、間仕切りなど売れる製品をたくさん作りだすことが最終目標となりますが、現段階では、まず消費者やメーカーの人に"吉野の素材"を見てもらい、知ってもらうことが重要だと考えています。開発した素材を通して、循環型の吉野スタイルに理解と賛同がいただければ、活路は開けてくると思います。

 一方、この手のプロジェクトに参加する経営者は、本業をしながら新規事業を育成するということになります。よって時間、労力、コストのバランスを保つことが難しくなってくるので、その点を気をつけてください。

会社概要

団体名:吉野町商工会
住所:奈良県吉野町丹治163-1
電話:0746-32-3244
URL:http://www.yoshino.ne.jp/wakwak/