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地域資源活用チャンネル

いきいき活用事例

長野

諏訪の精密と木曽の伝統工芸が融合

スワコ精密工業・茅野和弘社長

スワコ精密工業・茅野和弘社長

文房具の金属部品で高い評価

 スワコ精密工業(茅野和弘社長)は1969年の創業。戦前から代々続けてきた地場産業の製糸業から、精密部品加工へと転身し会社組織とした。精密産業は当時から長野県諏訪地方では隆盛で、その意味では同社もその流れに乗ることで活路を見出したと言える。しかし、地域の多くの中小企業が手掛ける機械・電気関連の精密部品加工ではなく、ボールペンなど文具の口金部分といった金属部品に特化したところが特徴。旋盤による熟練の加工技術が評価され、国内大手メーカーからの受注を一手に引き受けるようになった。

 諏訪地方は下請け受注に頼る中小企業が多く、半導体や機械産業の好不況の並に影響されやすい。その中で、同様に精密加工技術がベースにもつとは言え、業種的に競合しないこともあって独自の位置を築いてきた。

 しかし、文具業界にも大きな変化が訪れた。ここ10年ほどで安価な筆記具などの部品はプラスチック化が進み、それに伴って大手メーカーの部品供給ルートは、コストを重視して海外にシフトした。そのため、同社の受注も落ち込んだ。そこでオリジナル商品の開発に取り組むことになった。加工技術に自信のある筆記具に独自の意匠を施したものはどうか。ちょうどそこに地元金融機関の紹介で、長野県木曽地方のろくろ細工木地師との出会いがあった。

ろくろ細工の温かみを生かす

オリジナルのボールペン

オリジナルのボールペン

 手動のろくろで木製の茶筒や盆を加工するろくろ細工は木曽の伝統産業。その中でも独自の技術をもつ野原工芸(長野県南木曾村、野原廣平社長)が、ろくろ細工の新たな可能性を模索していた。両社の出会いから生まれたのが、手にもつ軸部分に銘木のろくろ細工を採用したオリジナルのボールペンとシャープペンシルだ。ケヤキやイチイなどさまざまな銘木を使った使い込むほどに風合いが出る温かみのある筆記具の販売を始めた。

 現在、南木曾村のふれあい館で地元名産品として実演加工も行うなどして販売するほか、スワコ精密のホームページからの受注も受け付けを開始した。価格は1本3,000円程度からで、材料の持ち込みも歓迎している。思い出の木製品を筆記具に形を変えて手元に残したり、住宅の建て替え時に木材の残りを筆記具にして記念品とするといったアイデアも提案しているところだ。

 こうしたスワコ精密の取り組みに、長野県はこのほど、事業化可能性評価認定のAランクを与えた。今後は販路拡大などの課題もあるが、大量生産ではない、手作りの良さを残したオリジナル商品として大切に育てていく考え。

【コメント】茅野和弘社長
ほかにない高品質の金属加工を

 文房具は外観が重視される。当社は金属部品の挽(ひ)き目の美しさには自信をもっている。これはレベルが高い諏訪地方の精密産業の中で、量産技術が育まれてきたと言える。また、木曽のろくろ細工産業は新たな需要を喚起しないと衰退するのではないか、との危機感をもっている。今回長野県の2地方の地場産業から中小企業が、協業によって新たな可能性を発見しようということになった。

 一方で、文具業界にも国内回帰の動きが見える。海外生産一辺倒ではなく、品質の高い金属加工を国内に求めるようになってきた。文具だけでなく、自動車部品や弱電関連なども手掛けているが、やはり独自の加工技術を追求することで、ほかに競合することのない製品を提供していきたい。

会社概要

会社名:有限会社スワコ精密工業
住所:長野県諏訪市大和3-1-14
電話:0266-52-0988
URL:http://www.suwaco.co.jp