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地域資源活用チャンネル

いきいき活用事例

鹿児島県

シラス緑化基盤を全国に普及

ストーンワークス・上中誠社長

ストーンワークス・上中誠社長

保水性が良く軽いのが特徴

 ストーンワークスは「シラス緑化基盤」を製造販売している。主原料は鹿児島県に多い火山の火砕流堆積(たいせき)物・シラス。保水性がよく軽いという特徴を持つ。資源としては無尽蔵にあるため、これまで地元研究機関がその利用法を研究してきた。その開発事例の一つがこの製品だ。

 現在シラス緑化基盤が利用されているのは屋上、公園、駐車場、歩道など。緑化自体の目的のほか、高保水性機能を生かしてヒートアイランド現象の緩和や、路面の照り返し、温度上昇抑制などに利用されている。また植物の根が基盤を突き抜けないため、一般土壌に比べ雑草が生えにくいという特徴を持つ。同社はこの事業を中心に経営を行っており、今後さらにシラス緑化基盤を普及させていく方針だ。

 同社の上中誠社長は会社を構える鹿児島県大崎町出身。中学を卒業すると、左官職人の修行のため関東に出た。そして27歳で独立し、故郷で左官業を始めた。だが昭和の終わりごろから洋風化が進み、建材が普及して左官の仕事は急速に減った。そこで新しい事業として目を付けたのが人工大理石。左官業をやめて1年間勉強し、人工大理石製造販売のストーンワークスを90年に設立した。会社はバブル時代の恩恵を受けて順調に成長したが、バブル崩壊と輸入物増加のダブルショックで98年には売上高がピーク時の3分の1まで激減した。再び上中社長は新事業開拓に取り組んだ。

 事業化しようと考えたのは廃棄物利用のエコ商品。その試作品の実験を委託するため、鹿児島県工業技術センターを訪問し、そこで袖山研一研究員と出会ったことが上中社長とストーンワークスの運命を決めた。

ゼロスランプ加圧成形法を開発

シラス緑化基盤

シラス緑化基盤

 袖山研究員はシラス研究がライフワーク。上中社長の依頼は受けたが、上中社長が訪問するたびに「いつの間にかエコ商品は立ち消えになり、2人の話しはシラス一色に変わっていった」(上中社長)。上中社長も熱心に話す袖山研究員に引き込まれ01年4月、工業技術センターと共同でシラス緑化基盤の開発に取り組むことになった。

 開発の最大課題はシラスの特性を生かしたプレス製造法。従来の流し込み成形ではシラスの特性が生きない。もともと強度が弱い軽石と同じシラスだから、製品はその欠点を克服しながら特性を生かすという結果が求められた。結局、「ゼロスランプ加圧成形法」という独自の成形手法を開発、01年10月に特許を出願した。開発着手から9カ月間、2人は寝食を忘れて研究開発に取り組んだ。シラスに混ぜる少量のセメント、添加剤をどう配合するか、型にどれだけ材料を入れるか、プレスの加減は−など数えられないほどの試作品を作った。袖山研究員はそれを試験して、データを上中社長に返す。その繰り返しで「袖山さんの研究室は夜の電気が消えたのを見たことない、と言われるほどだった」(同)。

 その後、実用化のめどがつき02年9月にシラス緑化基盤を発売。現在、同社は約1億3000万円まで年間売上高を伸ばしてきた。今後は「土木市場への普及を目指したい」(同)という。その布石として宮崎県で砂防ダムの壁面緑化、鹿児島県で河川緑化に取り組んでいる。このデータをまとめ、07年度から土木市場に乗り出す方針だ。

【アドバイス】共同研究開発が大切

シラスの山

シラスの山

 新事業・新商品を立ち上げようとする場合、中小企業が自力でやるのは難しい。やはり工業技術センターや行政などの支援がないと成功しないのではないか。さらにだれと共同でやるかのマッチングが重要だ。我々はたまたま最適の袖山研究員と出会ったが、研究員のだれでもいいわけがない。そのためには何かないでしょうか、といった無目的の相談ではなく的を絞ったアプローチが必要だ。

 また経営者は長期的ではなく短期で開発成果を上げる覚悟がいる。中小企業にとって3−5年かけてやるのは大変だし、結局、時間の浪費にもなる。要するに、ある程度の技術を確立し、製品化のめどをつけた実用化の段階で共同開発するのが一番効果的。さらに社長自らが先頭に立って新事業に取り組むことが大切だ。

会社概要

会社名:株式会社ストーンワークス
住所:鹿児島県曽於郡大崎町野方2980の1
電話:099-478-3149
URL:http://www.stoneworks.co.jp