HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル

いきいき活用事例

岩手

「地産地消パン」で地域に貢献

白石食品工業社長・白石茂氏

白石食品工業社長・白石茂氏

地元名産品を材料に利用

 白石食品工業は東北6県を中心に、パンや和・洋菓子などの製造・販売を手掛けている。2006年には、岩手県産の山ブドウなどの地元農産物を材料に用いた“地産地消パン”を商品化。材料の加工や研究開発などで地元の産学官と連携し、地域一体による地産地消の推進に取り組んでいる。

 岩手県はヤマブドウの生産量で日本一を誇る名産地。しかしながら、それを使ったジュースやジャムなどはあまり手応えがなく、有効活用できる商品づくりが求められていた。

 そこで同社は、山ブドウを使ったパンの開発を目指して地元の第3セクターと共同研究を開始。06年3月に「いわて地産地消シリーズ」として、「山ぶどうジャム&ホイップ」をはじめ4種類のブランドパンを商品化した。

 商品の中には山ブドウのほか、県産のリンゴや豚肉を材料に使ったものもある。さらに、パッケージに岩手山のイラストを入れるなど、地元色を強くしたことで販売個数は40万個と「予想以上に売れた」(白石茂社長)。

 同年9月に発売した第2弾からは、ジャムの加工に地元の高校が参加したほか、商品自体も「いわて地産地消ベーカリー」にブランド名を変更し、地元デザイナーの協力を得てパッケージデザインをリニューアル。さらに岩手県立大学発のベンチャー企業と共同で、クイックレスポンス(QR)コードを活用した「クレームパンシステム」を開発し採用するなど、より地域色の濃い連携に取り組んだ。

 同システムは、パッケージに印刷されているQRコードを携帯電話で撮影して読み取ると、食材や製造元の情報を表示する。これによって「どこで作ったのかがすぐにわかる」(同)ため、消費者へ、より安心して食べられるパンを提供できる。

 白石社長はブランド食品の販売事業について「一番難しい点は、生産量が多くないためにどうしても高価格になってしまうこと」と、難しさを指摘する。高価格品でも最初は新規性や珍しさなどから消費者は反応してくれるものの、そう長くは続かないという。

 そこで同社では、販売期間を約50日間に限定。これによってブランド価値の低下を防ぎ、一定の売り上げが見込めるほか、商品に期間限定という希少価値も付いた。こうした販売戦略により、同社は山ブドウや豚肉、わかめ、イチゴなどさまざまな地元名産品を食材に利用し、これまでに合計17種類の“地産地消パン”を商品化してきた。07年2月に発売した第3弾の販売終了時までには、全体で100万個の販売を見込んでいる。

連携先にも相乗効果

 食品業界は現在、大手メーカーの攻勢などもあり、中小企業は苦しい立場に立たされている。白石社長は「大手と同じ商品を出していては競争にならない」と、中小企業独自の商品開発を重視している。

 地産地消パンの製造は、連携先企業へ東京からパンに使われた食材について問い合わせがくるなど、関連企業・団体の知名度向上といった相乗効果もある。今後も年3回ほどのペースで新商品の発売を考えており、07年6月には第4弾を発売する予定。「県内には、目立たない資源がまだまだある」(同)と、地域資源の探求に余念がない。

【アドバイス】食材選びと連携先との意見交換

岩手県が生産量日本一を誇るヤマブドウ

岩手県が生産量日本一を誇るヤマブドウ

 地元食材を使ったブランド食品の事業化では、第一に食材選びが重要。それによって商品の味が決まり、ブランドの質を左右するからだ。白石食品工業の場合、ブランドパンづくりのきっかけとなった山ブドウは、地元の銀行からの紹介。そういった意味で、地域の産学官などとのつながりをもっていることも大事な要素の一つと言えるだろう。

 また商品化までには、生産業者など連携相手と綿密なコミュニケーションを図っていく必要がある。食品を扱うだけに、それぞれの関連業者が同程度の衛生管理レベルをとることが求められるし、統一されたブランドコンセプトをもっていなければ事業化は難しい。そのため、連携相手とは細部にわたって意見交換を重ねていくべきだろう。

会社概要

会社名:白石食品工業株式会社
住所:岩手県盛岡市黒川23-70-1
業種:食品製造業
電話:019-696-2111
URL:http://www.siraisi.co.jp/