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いきいき活用事例

石川県

伝統産業、九谷焼に現代の息吹を

清峰堂・清水則徳専務

清峰堂・清水則徳専務

江戸吹きガラスとの融合でデザイン賞

 1964年創業の清峰堂は、伝統工芸が盛んな石川県で九谷焼を製造販売している。同社が手がける「九谷和グラス」は台座に九谷焼を、グラスには藩政期より伝わる江戸吹きガラスを用いて新市場を開拓。2006年にはグッドデザイン賞を受賞した。

 九谷焼は艶やかなデザイン性で美術品としてはもちろん、記念品や贈答品として人気を博してきた。しかし、バブル経済崩壊とともに産地の売り上げは激減。現在は産地全体の売り上げ規模が最盛期の90年の約25%にまで縮小してしまった。

 それまで装飾置き時計などを製造していた同社の業績も例外ではなかった。「大きな花瓶などは現在の生活様式の中では受け入れられない」(清水則徳専務)。そんな危機感から、九谷焼のもつ世界を生かしつつも、現代のライフスタイルに違和感のない製品開発の必要性を痛感した。

 そんな中、ワインブームなどで「多様化した食のスタイルに合った食器類がほしい」という声が同社に聞こえてきた。「外側から日本酒が見える、ワインの色も楽しめる。しかも木の机に置いても調和がとれる」(同)。そんな製品を目指して開発に取り組んだ。

 かつて九谷焼を金属に接着させていた同社は、そのノウハウを生かし、2液性接着剤により飲料水を入れるグラス部分と、その土台となる九谷焼の接合を試みるが失敗してしまう。

 そこへ、未完成ながら磁器とガラスの新しい接合技術が同社へ持ち込まれた。この技術を独自で発展させ、試行錯誤の末、ようやく接合に成功。それは磁器とガラスの間に間接材を入れ、その表面を特殊処理することで接合させるというものだった。こうして02年に、伝統工芸の九谷焼と、松徳硝子(東京都墨田区)が提供する江戸吹きガラスが融合。自慢の製品ができ上がった。

 現在はインターネット販売と、贈答用のカタログ販売が受注の中心だ。07年からは全国の百貨店で使用されている外商カタログにも登場。年間約7,000個を販売するまでに成長している。台座部の絵柄や、上部のグラス形状を好みに合わせて選択できるので、自分だけのグラスが買えるという消費者の心をくすぐる戦略も、人気の秘密となっている。

 また、業務用として旅館やホテルなど宿泊施設向けの営業もスタート。「各施設のオリジナル食器として提供したい」(同)としている。九谷焼産地では業務用の採用は少ないだけに、新市場の開拓にかける熱意は並々ならない。

ジャパンクタニの再興へ

自慢の『九谷和グラス』の製品群

自慢の『九谷和グラス』の製品群

 さらに毎年、フランスで開かれているインテリアや生活雑貨などの国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」向けの出展製品づくりにも同社は協力。明治初期に欧米で人気を博し、「ジャパンクタニ」の名称で親しまれた九谷焼を再び世界へ送り出そうと、金沢市内の九谷焼販売店が中心となり企画したものだった。

 今後の課題は生産体制の見直しだ。現在は絵付けに1週間、接合に2〜3日間という製作日数を要している。今後は接合する磁器とガラスの研磨加工の工程数を削減し、生産効率のアップを目指す。これにより「年間生産を1万個、さらに2万個と拡大したい」(同)という。業務用、海外市場用など積極的に打って出る考えだ。歴史に培われた「メード・イン・ジャパン」にこだわりながら、九谷焼の新しい歴史を切り開こうとしている。

【コメント】清水則徳専務
失敗を恐れずやり遂げる決意が大事

伝統技術で製造した『九谷和グラス』の台座部分

伝統技術で製造した『九谷和グラス』の台座部分

 九谷焼をなりわいとしてきた以上、九谷の世界にこだわるしかなかった。あくまで伝統工芸の世界にとどまることで、その本線を守る。産地で、手で一つひとつしっかり作ったものの良さ、そして何よりも、九谷焼に期待する消費者のイメージを大切にしたいと考えた。この点を踏まえた製品開発を心がけなければ、市場には受け入れられなかっただろう。

 伝統産業の特徴を外すことなく、利用すれば消費者の目を引く。また、どのようにして現代風にアレンジするかがカギとなる。このバランスを大切にすれば、従来にない製品が誕生する。長い歴史に培われ、証明された九谷焼と、江戸ガラスという組み合わせがあったからこそ、高い評価を得た。失敗を恐れずに、絶対にやり遂げるという決意が大切だ。

会社概要

会社名:清峰堂株式会社
代表者:清水正徳社長
住所:石川県能美市新保町48
業種:窯業・土石
電話:0761-57-2133
URL:http://www.seihou-do.com/