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地域資源活用チャンネル

いきいき活用事例

埼玉

カエデが引き出した地域力−国際交流、環境保護

お菓子な郷の推進協議会・中村雅夫専務理事

お菓子な郷推進協議会・中村雅夫専務理事

カエデの潜在性

 お菓子な郷(くに)推進協議会は、2003年3月に埼玉県秩父市内の製菓業者16社が集まって、秩父の特色を打ち出した菓子をつくれたらという思いでスタートした。秩父の名産物はイチゴ、シイタケ、キュウリ、ブドウなどだが、どれも他地域で名産となっており、今さら秩父が取り組んでも、太刀打ちできない。同会メンバーが悩んでいた際に、カエデという資源に辿りついたのは、専務理事である中村雅夫氏が山登りをしていたとき。中村氏は一緒に山登りをしていた人の「カエデは木の幹に穴を開けると、樹液が出る。これを煮詰めるとメイプルシロップになる」という言葉にヒントを得た。

 メイプルシロップといえばカナダが名産地。だがカエデの品種を調べてみると、カナダ産は2種類しかないのに比べて、秩父市には約25種類が自生している。秩父地域は冷温帯と呼ばれ、夏と冬の気温差が40℃近くあり、カエデが育つのに適している。またカナダ産に比べ、カルシウムとカリウムが2、3倍と栄養価が高い。

 ポテンシャルは高いものの、果たして採算ベースに乗るだけの樹液を採取し、メイプルシロップをつくれるのか。国などの補助金を活用した調査が始まった。カエデは自生しているため、市や県の保有林を調査する許可をもらい、調査を始めた。木に1cm弱の深さの穴をドリルで開ける。これに管を差し込み、石油用のポリタンクに入れる。採取時期は2月から3月。紅葉の時期とずれるため、木肌などの特徴でカエデだと判断しなくてはならない。カエデは左右対称に枝分かれするため、これを目安に木に穴をあけた。1本のカエデから、10日で1kgの樹液が採取でき、煮詰めて50gのメイプルシロップをつくれた。安定して樹液が採取できるように、穴を開けたあとのケアも忘れない。

 併せてカエデの植林にも取り組んでいる。秩父は花粉が発生しやすいスギなどが多かったが、カエデを植え、スギを伐採し、バランスの取れた植林を行うことで、環境整備にも役立っている。こうした中で、素材研究を行うNPO法人や大学で行う「秩父・カエデプロジェクト」が生まれた。

商品づくりで生まれたカナダとの交流

カエデの樹液

カエデの樹液

 過去の事例をみると、大勢で意見しつつ、一つの製品をつくるとうまくいかない場合が多い。そこでメイプルシロップを軸にし、会員各社が独自の製品開発に取り組んだ。ルールは他社の模倣は禁止。各社が完成したお菓子を持ち寄り、県の担当者、主婦などを招き、品評会を開いた。人気順に上位4品に絞り込み、4月から販売する。07年に世界的に権威がある食品品評会のモンドセレクションにエントリーし、将来は1品ごとに年商1億円を目指す。

 まだ樹液が採取できるか不明だった時期に秩父中村屋で、カナダ産のメイプルシロップを使い、秩父名産の養蚕をイメージしたマシュマロ「ちちぶまゆ」をつくった。これを05年に研修目的でカナダに渡航したときに持ち込んだ。カナダでは、お菓子はシロップ、クッキー、チョコなど限られているため、たいへん喜ばれた。

 またカナダ人はとても親日的。カエデを通じて、カナダの都市と提携し、中学生、高校生の留学交流をしたり、カナダで林業を体験できるツアーなどを検討している。

【コメント】中村雅夫専務理事
一寸の光を見つけようとすることが大切

 ただ素材を生かしたものを売り込むだけでは弱い。お菓子にいろいろな「ものがたり」を織り込むことで、それが土産話になり地域のファンを増やすことにつながる。また手探りの中で、一寸の光を見つけることも大切。

 協議会としては数々の国の補助金を活用したり、国の地域資源活用プログラムに県代表として採択されるなどが自信につながった。和菓子屋の弊社でマシュマロづくりに挑戦したときに、売れないと一番に反対したのは家族だった。私は3年半、製菓機械メーカーに勤務し、マシンの立ち上げに従事していた。配合材料で味などが分かるので、通常、エンジニアは試食をしない。だが弊社のライン立ち上げの際、エンジニアたちが興味深そうに試食した光景を見て、いけると確信した。

会社概要

団体名:お菓子な郷(くに)推進協議会
住所:埼玉県秩父市東町13-7
業種:製菓
電話:0494-22-0838