HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル

いきいき活用事例

北海道

体験観光の先駆者

北海道ネイチャーセンター・坂本昌彦社長

北海道ネイチャーセンター・坂本昌彦社長

四面楚歌

 「設立後3年間は売り上げゼロだった」(坂本昌彦北海道ネイチャーセンター社長)という企業が今や、北海道にとどまらず、全国を代表する体験観光企業になっている。広大な自然が残る北海道十勝地方西部を舞台に、体験観光事業を展開する北海道ネイチャーセンターは、「地域資源」どころか「アウトドア」という言葉でさえ、一般的ではなかった1990年に設立。一貫した提案型営業と、地域一体となった観光振興への思いが、同社の成長を引っ張ってきた。

 「北海道の屋根」と言われる大雪山国立公園には今もなお、手つかずの森林が息づく。北海道ネイチャーセンターの事業フィールドは、こんな大自然の中にある然別湖畔に位置する。現在は年間およそ3万人が、カヌー、リバーウオッチング、熱気球フライトなどの体験観光メニューを通じて雄大な自然とふれあい、自然環境の大切さを実感している。

 体験観光事業者のパイオニアを自負する坂本社長は大手ホテルを経て、出身地である道内資本のホテルに入社。海外視察などを通じ、季節変動の少ない集客対策としての事業企画を学んだ。自然環境を生かした体験観光は、ホテル経営を取り巻く課題の中から生まれたビジネスだった。

 今では同業者が全国に「約3,000社ある」(同)というほどに市場が広がった体験観光ビジネスだが、同社が歩み出したころはアウトドアの言葉もない時代。「社内外で反対ばかりで、四面楚歌の状態だった」(同)という。事業化の前例がないだけに参加者の安全確保のための保険契約一つとっても、当初は事業内容自体が保険会社に理解されず、営業面でも旅行業界など外部の理解を得るのにエネルギーを注いだ。

発展途上

(上)熱気球で十勝平野を空中散歩、(下)シーカヤックとカヌーで湖上散策

(上)熱気球で十勝平野を空中散歩、(下)シーカヤックとカヌーで湖上散策

 光明が見え始めたのは2年間、直接営業をしていた大阪府のある私立高校だった。自然環境に触れることができる修学旅行に同社のプランが採用された。会社設立から「6、7年目のことだった」(同)。高校生の体験が口コミで関西圏に広がり、旅行代理店へとつながった。受け入れ人数の増加に伴い、同社も体験プログラムを拡充。自然を満喫するプランとは別に、十勝地方の代表産業でもある農業体験もそろえた。不慣れな地元施設などと人材やノウハウを共有することで一体感を生みだし、参加者の受け入れ基盤を整えている。

 「何度も無理ではないか」(同)と考えた体験観光事業だが、事業領域は「まだまだ発展途上にある」(同)と話す。少子化の進展や修学旅行の海外シフトなど、環境変化による課題はあるものの、坂本社長がこれまでも経験し、現在を生み出してきた企画力がある。シニアマーケット市場の調査、生態調査など官公庁からの受託事業、体験観光のコンサルティングなど、「知恵を売るビジネス」の拡大を見据える。

 体験観光企業として周囲の注目を集める北海道ネイチャーセンター。インストラクターなど社員のレベルアップにも力を入れ、坂本社長自身も短大講師や体験観光の業界団体の先導役を務めるなど企業経営の質を一段と高めている。地域のもつ資源を生かしたビジネスのパイオニアは、次を見つめながら新たな開拓の歩を進める。

【コメント】坂本昌彦社長
本質をつかむ

 内外に北海道のブランドを売る仕事をしているが、地域連携でもそれぞれのノウハウをつなぐコーディネーターが不足しているように感じる。「北海道」は加工食品や原料などでブランドになっているが、供給能力の不足で本当に事業化しているものは少ない。「地域がもつ本当の資源やブランドとは何か」、「どう成立していくのか」を追求することが大切で、事業化までの各段階で既存の枠組みを変えることも必要になってくる。

 地域資源を使った事業においても、地域それぞれの民活を中心にしなければビジネスとしての成立は難しいのではないか。乗り越えなければならないハードルもたくさんある。地域の資源を生かした事業は有効なツールともなるが、表面を触るだけでは本質的な力は育たない。

会社概要

会社名:株式会社北海道ネイチャーセンター
住所:北海道河東郡鹿追町然別湖畔
電話:0156-69-8181
URL:http://www.nature-center.jp/