HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル

いきいき活用事例

佐賀

伝統ある有田焼の新たな取り組み

百田陶園・百田憲由社長

百田陶園・百田憲由社長

窯元と陶磁器商社の共同作業

 約400年の歴史を持つ有田焼の産地、佐賀県有田町。町民の多くが陶磁器産業にかかわるこの地で、地域資源の有田焼を使った新たな取り組みが成果を上げつつある。 それは、窯元と陶磁器商社の協力による新製品開発だ。窯元は製品を作るだけ、陶磁器商社は製品を売るだけと役割分担がはっきりしていた有田焼業界において画期的なものだった。

 百田陶園の百田憲由社長が取り組みの発起人となった。きっかけとなったのは不況に苦しむ有田地域の現実だった。大有田焼振興協同組合によると、有田・伊万里地域を中心とした陶磁器産地の生産出荷額は、05年が約210億円で、ピークだった92年の約661億円に比べて約32%にまで落ち込んでいる。そうした中、「地域の資源と技術を活用し、時代に合わせたものにしていかないと産業として成り立たない」(百田社長)という切迫した思いが生まれた。窯元はありとあらゆる技術を使って製品開発に挑戦する。陶磁器商社は売るための流通経路も固定観念を捨てて取り組む。地域資源を総動員して地場産業の復興にあたるという覚悟が必要だった。その共同作業が結実して「匠の蔵」シリーズが誕生した。"匠"は窯元、"蔵"は陶磁器商社を指す。05年11月に第一弾として発売した「至高の焼酎グラス」は、07年1月末時点で12万個を売り上げるヒット商品となっている。グラスは共通の形とし、6窯元が絵付けで独自性を出した。販売は有田焼卸団地協同組合の会員である23商社が担当する。焼酎ブームにも乗り、好調な販売はまだまだ衰えそうにない。

シリーズ化でブランド構築

至高の焼酎グラスの製作様子

至高の焼酎グラスの製作様子

 至高の焼酎グラスは細部にまでこだわって開発された。原点は「焼酎をおいしく飲む」(同)こと。そのため、酒店や蔵元などの専門家へも意見を求めた。グラスの特徴としては、口径に約75度の傾斜をつけて焼酎の気化を早め、まろやかな舌触りにしたことや、グラス底部に突起をつけて対流を良くし、味のバランスを整えたことなどが上げられる。また、それぞれのグラスのネーミングもこれまでの形式張ったものではなく、製品から受けるイメージでつけた。「何事も先入観を持ち込まず、名前についても改革したかった」(同)という。

 06年11月には、第2弾として「至福の徳利(とっくり)&盃(さかずき)」を発売した。杜氏(とうじ)からの意見を取り入れ電子レンジで温めることができるようにした。大手電機メーカーの助言も得ている。12窯元が参加した。すでに第3弾の開発にも着手しており、「シリーズ化してブランドを長く続けたい」(同)と意気込んでいる。そしてブランド力をつけるために「現在は数多く売れるものをつくっているが、後々はより嗜好(しこう)品の度合いを強め、企画によっては数量が出ないものにも取り組む必要がある」(同)と未来を見据える。またこれから先は広告展開も重要となる。販売が好調で一部では知名度も得てはいるが、全国的にはまだまだ無名。だが機能性やデザイン、企画力などを考慮するとポテンシャルはかなり高い。百田社長も「媒体を使った広告事業の展開」を考えており、さらなる飛躍のための知名度向上を狙っている。

【コメント】百田憲由社長
顧客本位の資源活用

至高の焼酎グラス

至高の焼酎グラス

 自分たちが住んでいる地域にどんな資源があるか、歴史背景も含めてまず知ることが大事だ。そして、その資源を使ってどういうことをして、どう提案すればよいかを考える。最も重要なことは「お客さんに、いかに喜んでもらうか」ということ。不服がでれば商売にもならない。そのため、地場の置かれている状況を把握して、"ここにしかないもの"にこだわらないといけない。いかに手を加え、付加価値をつけて特徴ある商品をつくるかがカギとなる。しかし、最終判断はお客さんが下すので、自己満足で終わってしまっては駄目だ。個人的には、一歩引いたところから商品を判断するように心掛けている。情報が不足すると判断できないので、日ごろから情報収集は怠らないようにしている。

会社概要

会社名:株式会社百田陶園
住所:佐賀県有田町赤坂有田焼卸団地
業種:卸売り・商社
電話:0955-42-2519
URL:http://momota-touen.jp