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地域資源活用チャンネル

いきいき活用事例

三重

四日市発の新しい土鍋を産み出す

ミヤオカンパニーリミテド・宮嶋邦彦社長

ミヤオカンパニーリミテド・宮嶋邦彦社長

洋食器からセラミックスへ

 古くから陶磁器産地であった三重県四日市市。同市に立地するミヤオカンパニーリミテドは、米国などでは「ミカサ」ブランドで有名な洋食器メーカーだ。製品のほとんどは海外向けで、生産も86年に設立したマレーシア工場を主力拠点としている。一方の国内では、大手電機メーカー向けセラミック製品の開発に注力、第2の柱として成長を遂げている。

 ミヤオカンパニーの長い洋食器生産の歴史の中ではボーンチャイナ、強化磁器など当時の新材料に果敢に取り組んできた。特に「米国の洋食器ブランドではトップ5に入る」(宮嶋邦彦社長)ほど地位を確立した。

 セラミック製品の開発を始めたのは1980年代の中ごろ。電子レンジ用耐熱性トレーが最初だった。洋食器で培った材料技術、製法などのノウハウを生かし、商品化に取り組んだ。90年代には松下電器産業にトレーを納めるのに成功。「陶器に機能を付加して売り込むようになった」(宮嶋邦彦社長)。

 そのころ同社は、新市場として電磁誘導加熱(IH)調理器用鍋の開発に着手した。耐熱強度の高い独自材料を開発。さらに生産工程には50以上の規格を設けて、厳格な検査を重ね仕上げた。

 もともと、伝統的な四日市の焼き物は「萬古焼」の名で知られており、土鍋が代表的だった。洋食器メーカーだった同社が「四日市発のまったく新しい土鍋を産み出した」(同)瞬間だった。05年には、200ボルト対応鍋の「エブリデイ」シリーズがグッドデザイン賞も受賞した。

炊飯器用内釜がヒット商品に

タイガー魔法瓶と共同開発した炊飯起用内釜

タイガー魔法瓶と共同開発した炊飯起用内釜

 最近、最も生産が忙しいのが炊飯器用内釜に使う土鍋だ。タイガー魔法瓶(大阪府門真市)が、同社のIH鍋の技術に目を付け、共同開発したものだ。鍋の底に銀ベースの発熱体を張り付けて、IHコイルにセラミックスが反応して、うまく熱が伝わる独自技術を開発した。土鍋でふっくらとした炊きあがりをIHで実現した。その組み合わせが注目され、06年の発売以来、ヒット商品となっている。

 こうした大手電機メーカーへの製品供給に対応するまでには苦労も多かった。例えば、炊飯器用内釜は炊飯器本体と組み合わせるのに高い寸法精度を要求された。「少しでも精度が違ってしまえば、米のふっくら感が損なってしまう」(同)からだ。

 内釜の生産は素焼き、仕上げなど3度の焼成工程を経る。そのため開発当初は収縮率にバラつきが生じ、不良品が大量に並んだこともあった。現在の生産体制になるまでには、工程一つひとつを見直し、ようやく実現した。現場では大手メーカーが求める厳しい耐久性にこたえるよう改善活動を繰り返している。

 このセラミックスの第2の展開は「洋食器のころからの開発精神を持ち続けているからこそ、切り開くことができた」(同)。売上高の4割近くをセラミックス製品が占めるまでになった。「まだIHH市場は広がっていく」(同)とし、関連製品の開発を続けていく方針。

 現在は三重県、三菱化学などとコンソーシアムを組んで、次世代エネルギーとして期待される燃料電池用セパレーターの開発も始めた。今後も「大手から頼られる存在」(同)を目指し、開発型企業として前進する考えだ。

【コメント】宮嶋邦彦社長
得意分野を生かして新技術に挑戦を

海外で『ミカサ』ブランドとして有名な洋食器

海外で『ミカサ』ブランドとして有名な洋食器

 まずは、他社にまねのできない技術を磨いていくことが大切。この時、われわれ中小企業は人材、技術、財源に限りがあるので、どうしてもすき間を狙っていく必要がある。

 大企業が参入しそうにない、適当な規模の市場を見つけ、特殊な技術分野で実現していくようなイメージだ。ただ、あまりに自社の得意分野から離れてしまったら、うまくいかない。自分たちの既存技術に近い分野、周辺技術を応用しつつ、新しい視点で商品を開発することが必要だ。

 後は顧客の声に耳を傾けて、何を望んでいるのか、何に困っているのか、何が課題なのかを探る。これをヒントにして開発テーマにつなげる。そうやっていくうちに徐々に、市場に受けいれられる商品ができるようになると思う。

会社概要

会社名:株式会社ミヤオカンパニーリミテド
住所:三重県四日市市羽津中3-2-5
業種:窯業
電話:059-331-9111
URL:http://www.miyawo.co.jp/