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地域資源活用チャンネル

いきいき活用事例

長崎

本物の松浦地域を体験できる観光商品を提供

体験観光ネットワーク松浦党・明石克磨主任

体験観光ネットワーク松浦党・明石克磨主任

積極性や生きる力を引き出す

 長崎県の松浦市や平戸市など西九州地方を中心に栄えた豪族・松浦党。平安時代のころから地域の漁民らを支配下に置き、主に朝鮮半島や中国沿岸と交易していた。そんな歴史のある地域の資源を活用して観光振興を図る組織が、体験観光ネットワーク松浦党だ。

 活動の発端は松浦地域を対象にした広域的な振興策「海洋クラスター都市構想」にある。この構想は交流人口の拡大をテーマに掲げ、1995年から構想実現に向けて研究を開始。全国でハコモノによる振興が苦戦する中、地域資源を活用した体験型観光振興策に活路があると判断、02年から観光商品の開発を進めた。

 観光商品のテーマは松浦地域のありのままの姿を旅行客に体験してもらうことだ。ターゲットは東京など都会で暮らす生徒で、修学旅行を受け入れて普段体験できない農業や漁業の仕事などを経験してもらう。こうした作業の中で地域住民らと接することにより、コミュニケーション能力や生きる力の向上を図る。明石克磨主任は「教育効果の高い商品」と自信を見せる。

 定置網漁や刺し網漁などの漁業体験メニューを用意しており農林業ではシイタケ栽培や酪農作業、炭焼きなどのメニューをそろえた。このほかアジの開きづくりといった味覚体験も提供。さらに元寇や松浦党の史跡などの自然歴史体験、シーカヤックなどのアウトドア体験も用意した。「学校が求める体験メニューを提案する」(明石主任)という。

 一方、宿泊は地元で実際に暮らす農家や漁師の家を提供する。いわゆる民泊で、生徒が地元住民らと一つ屋根の下で一緒に料理をつくり寝泊まりする。見ず知らずの人と接し心を通わせ信頼関係を築くことで「生徒の自信につながり、積極性が身に付く」(同)と話す。

地域住民に誇りと活力が生まれる

イワシ漁に加わる生徒

イワシ漁に加わる生徒

 現在、体験できる地域は青島など離島を含めて13地区あり、ホームステイ先は全部で約500戸ある。最大で約2000人の受け入れが可能という。体験観光ネットワーク松浦党が宿泊から体験の提供まで、すべてコーディネートする。明石主任は「ありのままの姿を提供することが、都会の人には非日常の世界になる」と分析する。

 ただ、こうした観光商品を開発する際、すべてが順調に進んだわけではない。とりわけ民泊できる家を探すことに苦労した。公募方式で集めた家庭だと、信頼性や安全性などの点で不安がある。一方、住民らも民泊に対して情報が少なく手を挙げにくい。そこで信頼の置ける地域の代表者らに依頼し、紹介してもらうようにした。

 02年から旅行代理店と一緒に「松浦党の里ほんなもん体験」というツアー名で営業を開始。03年度には約1000人の生徒を受け入れた。04年度には約3300人、05年度には約4500人の生徒の受け入れを実施。06年度は約1万人に達する見通しという。

 体験した生徒からは「魚がさばけるようになった」や「もう1泊したい」といった評価を得ており中には卒業旅行で再び訪れる生徒までいるという。一方、地域も現金の収入源になっているほか「何よりも住民が仕事に自信や誇りを持ち、地域に活力が生まれている」(同)。

【コメント】明石克磨主任
地域資源を最大限に活用

 地域にある優れたソフトを活用すれば、お金をかけずに振興できる。また地域のありのままを提供すれば、無理なく実施できる。具体的には民間が主体的に動き、役所が下支えするという構図が良いだろう。

 一方で国に対し提案もある。我々のような地域資源を使った観光商品を提供する場合、旅行客からすれば交通費の負担が大きい。教育効果の高い商品には航空運賃など交通費を低廉にしてほしい。

 体験観光ネットワーク松浦党は修学旅行の生徒を増やし、年間3万人の受け入れを目指す。団塊世代や個人の旅行客を対象にした観光商品も開発し、早ければ07年度からスタートしたい。地域資源を最大限に活用することが、今後の地域おこしのカギを握っている。

会社概要

団体名:体験観光ネットワーク松浦党
住所:長崎県松浦市志佐町浦免1808‐1
業種:観光サービス
代表:村田嘉久理事長
電話:0956‐27‐9333
URL:http://homepage3.nifty.com/taiken/