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地域資源活用チャンネル

いきいき活用事例

愛知県

欧州のアパレル企業に“売れる”ブランドを

ジョイント・尾州(JB)ブランド構築事業実行委員会・長尾大八郎委員長と、パリ展の出展作品

ジョイント・尾州(JB)ブランド構築事業実行委員会・長尾大八郎委員長と、パリ展の出展作品

海外品との価格競争から脱出、産地ブランド確立で生き残り

 愛知県一宮市を中心とする尾張西部地区は"尾州"と呼ばれ、1300年の歴史をもつ織物産地。近代以降は木曽川の水を利用した毛織物産業が発展。業界で尾州といえばウールを指すほどの、日本を代表する毛織物産地だ。

 同地区の強みは紡績、撚糸(ねんし)、染色、製織、整理まで一貫した生産体制をもつことだ。各工程を地元の企業が分業する形で共栄してきた。しかし1994年頃から、中国からの安価な繊維製品の輸入されるようになり、82年に約450社あった製織企業は、02年には約150社に減少。生産量は毎年15%ずつ減り続けた。

 危機感を募らせた産地は国や県、周辺市町村、業界団体の支援のもと84年に、財団法人一宮地場産業ファッションデザインセンター(FDC)を設立。同センターが中心となり地域再興策を検討することになった。

 まず念頭に置いたのは中国との差別化だ。「技術力だけでは、そのうち中国に追いつかれる。高い技術力に、ブランド価値を付加することで、差別化できるのでは」−。FDCでは03年8月に「尾州ブランド研究会」を立ち上げた。情報戦略工学の専門家を招き、業界の代表らが参加してブランド構築に向けたコンセプトや仕組み、ロゴマークなどについて研究会を開いた。

 その時々の最新のトレンドを取り入れた、高感度な服を提案することが求められるファッションの世界。単に「尾州」という名とロゴを付けただけでは、選ばれる商品にはならない。研究会は、競争力あるブランド構築を目指して、デザイナーの創作意欲をかき立てる生地の提供を、ブランドコンセプトに掲げた。

最新トレンド取り込み国内外で展示会

パリ展示会

パリ展示会

 従来はパリで出回っているテキスタイルをまねることもあった日本企業。しかし独自ブランドでそれは許されない。そこで世界のファッション業界をリードするフランスのトレンド予測・発信会社、ネリーロディ社と契約。その年のテーマとなる思想や哲学から色や質感など、さまざまな情報をもとに、1300年の歴史に裏打ちされた織りや染色整理の高い技術をフル活用し、産地の各社はオリジナル品の開発に取り組んだ。

 産地の商工会議所はこうして生み出された商品を本場に輸出することを目指し、パリ展示会の開催を企画した。一方で、「JB(ジョイント・尾州)」のブランドマークも作った。ネリー社からの情報取得やトレンド講座の受講料、パリの展示会開催費用などは、04年に採択されたジャパンブランド育成支援事業の助成金などで賄った。

 05年3月、産地の17社が参加し、パリのルーヴル美術館で「第1回JBパリ展示会」を開いた。春夏、秋冬向け合わせて215点の生地を出展。フランスや日本のアパレル企業、商社などから3日間で計368人が来場した。

 同年9月には、商談会を兼ねた第2回パリ展示会を開催。有名高級ブランドなどから640点のサンプル請求を受け、その中から受注第1号がでた。実際に"売れた"ことが産地の自信となった。そのうえ「欧州の有名ブランドに採用された」という実績は、国内大手アパレルに対する強い訴求力ともなった。

 現在はイタリア・ミラノでの展示会開催も計画中。国内外でのブランドの地位確立に向け産地は着実に前進している。

【コメント】長尾大八郎委員長
「ブランド確立には、まず狙いを定めよ」

尾州産地自慢の毛織物

尾州産地自慢の毛織物

 ブランド化というと、ブランド名を作って、ロゴマークを付ければ、完成すると思っている人が多いように思う。しかし、それでは本当の意味でのブランドにはならない。まず狙いを定めることだ。そしてその相手に対しブランドとして何を提供していくのかを深く考えることが大切。

 パリ展示会では、竹や和紙など環境に配慮した素材と、絞りや友禅などの伝統技術を組み合わせた商品に注目が集まった。日本独自のものを持ち込み、欧州にない、欧州が求める商品を提供できたことが、受注につながったと考えている。

 さらに重要なのは人材育成だ。尾州ではFDCが各種セミナーを開催し、モノづくりから販売まで、市場動向にいち早く応えるノウハウを蓄積、活用するための人づくりを進めている。

会社概要

団体名:ジョイント・尾州(JB)ブランド構築事業実行委員会
住所:愛知県一宮市栄4丁目2番1号 一宮商工会議所内
業種:繊維・繊維製品
電話:0586-72-4611
URL:http://www.joint-bishu.jp/index_jp.html