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地域資源活用チャンネル

いきいき活用事例

新潟

新潟から生まれる百年の物語

黒川 玲コーディネーター

黒川 玲コーディネーター

日用品ブランドの構築へ

 新潟県の産品と言えば米や酒など農産関連品のイメージが強い。しかし新潟県は金属洋食器や刃物など金属加工製品の一大産地である燕・三条地区を有する生活用品産地の側面もある。現在、国内の生活用品市場で新潟県勢は価格競争力を持った海外製品の攻勢で苦境に立たされている。

 そのような状況に対して産地に根付いた技術を生かしながら生活用品を開発、テーマ別にまとめて提案する取り組みが進められている。それが新潟ブランドを構築する取り組み「百年物語プロジェクト」だ。

 百年物語プロジェクトは、にいがた産業創造機構などの支援を受けたメーカーが主体となって取り組んでいる。プロジェクトは「ブランド構築は最低でも10年はかかる」(黒川玲にいがた産業創造機構コーディネーター)という考えに基づいている。デザインコンペを毎年開催するなど関連する取り組みを含めると10年以上続いている息の長い取り組みだ。

 プロジェクトは製品開発の基礎となるデザイン力の育成に始まった。それは産地の課題を分析した結果だ。新潟県の生活用品メーカーは卸業者や小売業者の存在のほか大消費地から離れていることから消費者との間に距離を感じていた。また取引業者の注文通りに作れば売れる時代もあった。それらを考慮すると自ら企画して開発する力を養う必要があった。

百年使われるモノを作る

新潟県内のメーカーが百年物語プロジェクトで開発したポットとカップとボウル

新潟県内のメーカーが百年物語プロジェクトで開発したポットとカップとボウル

 ブランド名「百年物語」を使った製品の開発は2003年度から本格的に始まった。05年から毎年、開発した製品をドイツの見本市で発表している。当初から欧州市場も狙っているためだ。

 開発のテーマは食卓用品、お茶、男性用の道具など毎年変わる。そして複数の企業が統一テーマで商品を開発する。さまざまな種類の製品をまとめ、それらを使った生活を提案できるのが生活用品メーカーが多い新潟県の強みだ。1社や1業種で開発するより消費者の選択の幅が広がる。

 製品PRもブランド構築を念頭に置いて慎重だ。展示の場所も「色が付く展示会はしない」(同)と厳選。販売ルートもブランド価値を損なわないようにと各メーカーが厳選している。

 開発に参加する企業は募集ではない。にいがた産業創造機構が市場調査をしてテーマを決め、開発するものを決め、それから各メーカーに声をかける選定方式だ。声をかけるのは一定の品質を満たせる製品が作れるメーカーだけ。さらに、設定したテーマに見合う製品を作れるかどうかで対象を絞る。

 選定方式を採用しているのはブランド構築の最低条件である高品質を守るため。1メーカーの品質によってブランド全体の信用が傷付く恐れもある。そのためメーカーの選定には慎重だ。開発メーカーには責任感も求められる。開発費用や商品パフレットの製作費などはすべてメーカー持ちとなっている。

 開発される製品は、その名が示す通り「親から子、子から孫まで100年間使い続けられるもの」(同)だ。一つの道具を使い続けることは製品を作るエネルギーや資源の観点から環境負荷が少ないという考えがある。製品には長年使い続けることでしか起きない色の変化など味わいが出るものが多い。将来は骨董(こっとう)品になれると期待されている。

【アドバイス】継続的な支援をチーム編成で

 ブランド構築は1年や2年ではできない。中長期的なプロジェクト、少なくとも10年の戦略が必要。そのためには継続して支援できる仕組みをつくることが重要となる。ブランドには時間も含まれる。商品の歴史やデザインの蓄積は価値になる。

 ブランド構築には商品だけではなく情報と流通が必要。どれかが欠けても成り立たない。メーカーへの支援には特に情報と流通が必要だ。百年物語のメーカーへのサポートは、にいがた産業創造機構だけでなく、多くの専門家がチームで行っている。支援はするがあくまでも主体はメーカー。支援は助言にとどめている。商品のテーマは毎年変わるが日本文化があるということは変わらない。最終的に生き残るのは文化力だと思う。

会社概要

【支援機関データ】
機関名:にいがた産業創造機構
住所:新潟市万代島5-1
業種:企業支援機関
電話:025・246・0025
URL:http://www.nico.or.jp