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地域資源活用チャンネル

いきいき活用事例

青森

地元の食材を活用した人工キャビアの開発

ホクユーフーズ・三上進社長

ホクユーフーズ・三上進社長

「トンブリ+イカスミ」がヒントに

 畑のキャビアともいわれるトンブリ(ホウキグサの実)−。このトンブリとイカスミを一緒に食べたら「キャビアみたいだった」という言葉をヒントに、人工キャビアを開発、事業化したのがホクユーフーズの三上進社長。

 三上社長はもともと和菓子職人で、青森県内のスーパーなどで数カ所、店舗を経営していた。和菓子需要の低迷で会社の業績が悪化、1980年以降は東京や静岡で食品の輸入や和菓子の商品開発などに携わった。93年、定年後の60歳過ぎになって青森市に戻り、菓子団体の役員や発明研究会のメンバーとして活動する中で、冒頭の一言から「人工キャビアができないか」というアイデアが浮かび上がってきた。

 資源・環境問題から天然キャビアは100g数万円から最高級で同10万円と高値で量的にも入手難。フランス、イタリア、中国などの養殖ものもなかなか安定入手が困難で、流通経路も限られているのがキャビアの世界。人工キャビアはロシアなどで例はあるが、日本ではほとんどなく、三上社長は市場性があるとみた。当時、弘前大学でイカスミに抗がん作用があるとの研究発表があり、安心でヘルシーな食品になるとの考えも開発を後押しした。

 和菓子など食品製造の知識・経験からアルギン酸とカルシウム溶液を混ぜると被膜になることは分かっていた。これにイカスミを入れて造粒すれば、人工キャビアの粒になる。中身にはホタテやウニ、カキなど魚介エキスを入れ、より本物に近い味を求めることにした。イカ、ホタテなど原料の海産物は青森県内で調達できるものが多く、地の利もある。

大手食品のPB商品に採用

本物の食感を追求した人工キャビア

本物の食感を追求した人工キャビア

 96年秋から本格的に製造法の開発に着手、当初は造粒・注入するのに注射器などを用いたりしたが、その後、医療用の点滴器具を応用するなど製造方法を工夫。98年半ばに「イカ墨を活用したキャビア様人工魚卵の製造法並びに小型造粒機」で特許を出願した。同年9月に「イカ墨を活用したキャビア様人工魚卵の製造法」で青森県の中小企業創造活動促進法の認定を取得。銀行の融資も得て10月に現在地に事務所・工場を設置、12月から製造・販売を開始した。

 販売先はレストラン、ホテル、仕出し店、居酒屋、旅館など業務用として卸販売を主としているが、幸運だったのはスタート時に大手食品関連会社の目にとまり、プライベートブランド(PB)商品として採用されたこと。これが安定的な販売のベースになり、「厳しいながらも、今日まで事業を継続する原動力になっている」(三上社長)という。

 04年には、人工キャビアの技術を応用し、被膜層(アルギン酸など)と内包液(各種フルーツ果汁)を包み込んだ二重構造の粒のフルーツ・ボールを商品化した。中の果汁がはじけるような食感、味わいが特徴。イチゴ、青リンゴ、オレンジ、グレープ、マンゴーなど各種あり、乳製品の混合材料、デザート食品の副材料、菓子類の装飾材などとして売り込んでいる。

 三上社長は「これからもホタテ、ナマコなど、できるだけ地元・青森の食材を活用した加工食品を商品化していきたい」と地域に根差した事業展開に意欲を燃やしている。

【コメント】三上進社長
すき間産業的な高単価商品をターゲットに

 加工食品の場合、原材料コストが分かってしまうので、普通のものをやっても価格競争に巻き込まれてしまう。人工キャビアもいってみれば、すき間産業的な商品で、高い単価が設定できるものにターゲットを絞って商品開発すべきだろう。

 モノは何とかつくれるが、問題は販売。県内だけでは限られるから、日本全国、さらに世界へと販売を拡大するルートを確保するのが大事。要は組む相手次第で、当社の場合はタイミングよく大手のルートに乗せることができたのが幸運だった。

 事業経営としては、始めたのはいいが、たいへんでもう後に引けないというのが本音。私の場合、経営者としての経験があったのでできたが、新規事業では意欲、やる気、興味、関心、発想、経験などがどれだけあるかが大事な要素だと思う。

会社概要

会社名:有限会社ホクユーフーズ
住所:青森市松原2-3-13
業種:加工食品製造
電話:017-775-9202
URL:http://www.hokuyufoods.jp/