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地域資源活用チャンネル

いきいき活用事例

富山

海洋深層水を医薬、健康分野で応用

五洲薬品・藤井 侃副社長

五洲薬品・藤井 侃副社長

「富山らしさ」が商品開発の基本

 五洲薬品は、富山湾で採取した海洋深層水をミネラルウォーター、入浴剤、健康食品などに幅広く活用している。独自のミネラル成分分離技術を用いて海洋深層水を3種類に分離し、それぞれの成分を生かした多彩な商品を投入。技術へのこだわりから生まれた商品の中には、特定保健用食品(特保)の表示許可商品もある。健康を切り口にした商品開発とともに、医療分野への用途研究にも取り組んでいる。

 富山湾で採水できる海洋深層水は、日本海固有冷水とも呼ばれ、年間を通じて水温約2度と低温で、水質が安定している。表層水と比べても大腸菌がほとんどいないほか、多種の微量ミネラルが溶け込んでいる。

 同社が深層水ビジネスへの取り組みを本格化したのは98年。魚の養殖などで利用されていた海洋深層水を非水産分野でも活用しようと、富山県などとの共同研究に参加した。すでに地元の北アルプス・立山連峰で採水したミネラルウォーターを発売していた関係から、「鉱泉水の2倍近いミネラルを含む海洋深層水は魅力的だった」(藤井侃副社長)と振り返る。

 約3年間の共同研究から海洋深層水の安全性、有効性など基礎研究を通じて品質の安定性を確認した。2000年に事業化のスタートを切った。

 商品化に当たっては「薬の富山」のイメージにふさわしい機能性を備えたブランドに育成することをミッションとした。海洋深層水は4−5年前にブームが起きたが、ブームの最中でも同社はこのスタンスを崩さなかった。「結果としてブランド維持に貢献できたのでは」(同)という。

 具体的な製品づくりでは、海洋深層水の特徴であるミネラルバランスの良さを生かすことを基本にしている。このため同社は、多段式電気透析法という方法を用いて海洋深層水を淡水、ミネラル濃縮水、濃塩水の3つに分離。それぞれを有効活用しているが、中でも海洋深層水の有効成分が凝縮されたミネラル濃縮水を多用している。ミネラルウォーター、化粧品類、入浴剤・トイレタリー類など、その用途は多岐にわたる。

 代表商品の一つに鉱泉水とブレンドし、硬度別に5種類をランアップしたミネラルウォーター類「ミネラヘルシー」がある。コーヒー、緑茶の香りが引き立つ硬度50の軟水、運動後の水分補給に適した硬度600の硬水など目的別に選べるのが特徴だ。「「薬の富山」のイメージにふさわしい商品に仕上げた」(同)と胸を張る。

医療分野で可能性を開く

海洋深層水を用いたミネラルウォーター、入浴剤などの商品群

海洋深層水を用いたミネラルウォーター、入浴剤などの商品群

 今後の期待の商品は北アルプスの天然水、富山湾の海洋深層水、高純度乳果オリゴ糖を配合した特保表示許可商品「キレアウォーター」と、亜鉛を補給でき栄養機能食品「ゼットウォーター」がある。この2製品は病院ルートで普及を図る。

 さらに、同社が海洋深層水の新しい活用領域として期待するのが医療分野だ。その一つとして海洋深層水を人間の臓器の保存に使おうという研究を進めている。海洋深層水が胎児が育つ羊水に似た成分バランスを持つことに着目し、同社は富山大学と連携し、移植用臓器の保存液としての用途研究に取り組んでいる。

 実験レベルでは、生理食塩水よりも保存状態が良かったという結果を得ている。モットーの「富山らしさ」を軸に、海洋深層水の可能性に挑んでいる。

【コメント】藤井 侃副社長
地域資源は差別化できる素材

 地域の中小企業が生き残るためには大手企業にない素材、技術での差別化が不可欠だ。その点、地域資源はそれ自体が差別化できる素材といえる。地域資源という素材に、独自の技術を付加することで、他地域にはない独自性の高い商品開発につながる。

 海洋深層水の活用は他地域でも取り組んでいるが、当社の場合は「薬の富山」のイメージが全国に定着していることから、医薬や健康分野を対象にした商品開発に力を注いでいる。富山県の地域特性を生かした商品開発を行うことが、他地域と競争には必要と考えているからだ。

 地域資源は自然と共存して行うものだ。都会にはない自然を活用した商品を提供することは、安全、安心への関心が高まっている消費者志向ともマッチしている。

会社概要

社名:五洲薬品株式会社
会社名:富山市花園町1-1-5
業種:製造業(医薬・バイオ)
電話:076-424-2661
URL:http://www.goshu.co.jp/