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地域資源活用チャンネル

いきいき活用事例

福島

地元の果物をジュースに

福島乳業・梅宮勇造社長

福島乳業・梅宮勇造社長

本物志向でヒットしコンビニで勝ち抜く

 福島乳業は地元のモモ、リンゴをまるごとしぼった果汁100%ジュース「もも」(180グラム入り105円)と「りんご」(同)を05年から季節限定で発売、06年は2カ月で60万個を売り切るヒット商品となった。農産物の地産地消の運動から地元の代表的果実であるモモとリンゴを使った100%ジュースは「本物志向」にあった商品としてスーパーやコンビニでも季節商品ながら持続して売れる商品に育っていった。

 牛乳を主力とした福島乳業は地元では「福ちゃん牛乳」として知られているが、現実には大手牛乳メーカーに押され、厳しい戦いを強いられ、「07年度は大手の下請け生産が50%を超える」(梅宮勇造社長)ほどになる見通し。しかしながら「本物志向」の路線を絶やすことなく続けてきたことが、ヒット製品誕生にもつながった。

 ヒット製品の第1弾となったのが「デンマークヨーグルト」。ビフィズス菌「FK120=通称福ちゃん株」をデンマークの展示会で見つけた梅宮社長が輸入を決め、製品化し、98年10月に発売した。発売にあたってはデンマーク大使館の協力を得て現名称を使うことになった。現在でもフリーズドライの状態で輸入し、そのまま利用している。このヨーグルトは中小企業では第1号となる特定保健用食品として認定された。

大手との差別化を意識

まるごと1個をジュースにした「もも」と「りんご」

まるごと1個をジュースにした「もも」と「りんご」

 本物志向で中小企業でも取り扱える商品として開発されたのが100%果汁のジュース。パッケージには「もも、まるごと1個しぼっちゃいました!福島県産のもも」と同様に「みちのく特産りんご」とかかれている。ちょうどモモ1個をしぼると180グラム程度のジュースになり、「まるごと」が文字通りそのまま生きることになる。

 大手が作るジュースは大量に作ることから日持ちが必要で、殺菌温度を高く設定する必要がある。これに対して同社では105度という低温殺菌でチルド商品として本物の味をそのまま生かしている。また、ネクターなどと違いペクチンなどの添加物を使用していない。「モモなどは原価が高いし、量がそろわない。大手が手を出せないすき間製品だった」(同氏)とする。

 このほか1000ミリリットル入り100%果汁ジュースで原料にリンゴの代表的銘柄の「ふじ」を使ったリンゴジュースも発売している。これも差別化を意識してか、ふじの名前の由来をラベルに紹介して関心を呼んでいる。

 販売には牛乳や各種飲料で協力関係にあるエルビー〈東京〉(埼玉県蓮田市)や高梨乳業(横浜市)のルートを活用してスーパーやコンビニでも販売、とくにコンビニでは「4週、5週過ぎても売り上げが落ちなかった」(同氏)ことから大きな自信となった。

 同社の売上高は22億円、このうち牛乳が35%、ヨーグルトなどの発酵乳が33%、果汁が15%の割合。特徴は5トンタンクが11本あるという発酵乳に強いということ。一つのブランドとして出来上がった「デンマークヨーグルト」に次ぐジュースをどのように育て上げるかが大きな課題だが、「業界はいまだにデフレ状態にあり、その脱却が先」(同氏)とするが、最も厳しいコンビニで手応えがあったモモとリンゴのジュースだけに何とか時期も早めて売り上げの柱になるようにする考えだ。

【アドバイス】ジュースも文化に

 果樹王国ふくしまを代表するモモとリンゴのジュースは地産地消ブームの中でやっと出てきた本命商品。ふくしま乳業が開発したジュースは本物志向だけに見た目も味も差別化されているといえる。飲料業界はお茶や、水が主流になりつつあり、ジュースを定着させるにはもっとラインアップが必要かもしれない。新連携のような取り組みで各産地のブドウやミカンなどもそろえることにより、ジュース復権も可能なのではないだろうか。焼酎や日本酒、ワインが一つの文化になっているように100%果汁のジュースも健康にも結び付く文化になるような展開になればおもしろくなってくるし、その可能性もあると思っている。中小企業が差別化したニッチ製品で勝負することは正しいということが証明された。

会社概要

会社名:福島乳業株式会社
住所:福島市飯坂町平野字上前田6-1
業種:牛乳および乳飲料、ジュース製造販売
電話:024-542-6181
URL:http://www.fukuchan-milk.co.jp/