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地域資源活用チャンネル

いきいき活用事例

青森

洋風漆器を世界へ

彩工房元代表・竹村浩二氏

彩工房元代表・竹村浩二氏

漆器に「洋」を注入

 企業とのコラボレーションで伝統産業の裾野拡大へ−。彩工房は、青森県の伝統産業である津軽塗の職人集団。元来漆器といえば、椀(わん)や茶道具などの和風漆器が主流。同グループでは01年の結成以来、伝統の和風漆器に加え、洋風テイストを取り入れた食器の製造も手掛けている。

 「日本の住宅から和室が減ったことで、漆器も売れなくなってきた」。彩工房の竹村浩二元代表は、家屋の欧米化が進み、日本の伝統産業が衰退していると嘆く。江戸時代から約300年続く津軽塗にも、昨今は時代のニーズに合ったものづくりが求められている。漆器を残していくためには、「洋風に合った漆器作りが産地の明暗を決めるだろう」(竹村元代表)と今後を見据え、洋食器の製造に着手。これまでの津軽塗にはなかった新感覚の商品として、現在は海外市場への進出も視野に入れている。

 きっかけは93年。当時、漆器販売会社に勤務していた竹村元代表が時計メーカーと共同で、皇太子ご成婚へのお祝品として、深みのかかった青色"ロイヤルブルー"を取り入れた置き時計を製作。その色調を原点に、オフィス・リビング用品を世に出そうと、技術研究や顔料の選別などを経て、96年に「ロイヤルコレクション」シリーズとして商品化した。  津軽塗は、数色の漆を塗っては砥石(といし)で研ぐ"研ぎ出し変わり塗"と呼ばれる技術が基本。特に重要となるのが研ぎ出しの技術で、従来は、既に塗った下地部分まで研がないように下地の色を目安にして行うが、ロイヤルコレクションのような単色模様の研ぎ出しではそれができない。長年の経験と匠の技術が必要になってくるため、数人の職人のみ塗ることができるという。

 ロイヤルコレクションは、主にギフト向けとして価格は最高で2万円台と、ブランド商品としては低めに設定。1カ月に200点以上売れた時もあるという。漆器自体の売れ行きが悪い中、このようなブランド商品の存在は売り上げへの貢献に加え、地域資源の知名度向上の一助にもなっている。

他企業とそれぞれのノウハウを共有

研ぎ出しの作業写真

研ぎ出しの作業写真

 「我々職人にはデザインのノウハウはない。そこは他企業とコラボレーションして商品づくりをしていく」(同)。彩工房では企業と連携することで、ロイヤルコレクションを含めた新商品の開発に力を入れている。02年からは国内の大手食器メーカーと連携し、商品の販売を開始。そのほかにも、複数の企業や個人顧客から製作依頼が舞い込んでおり、商品の対象は食器に留まらず、宝石箱や応接用テーブルなどと商品ラインアップの広がりを見せている。

 また06年には青森県の協力を得て、オーストリアの大手ガラス品メーカー、ロブマイヤー社が自国で開催する展示会に出展。今年も同展示会への出展を目指しており、それを機に「本格的な海外販売に踏み切る」(同)と、海外市場への進出を図る。

 彩工房は、洋食器などこれまでの漆器では考えられなかった独創的な商品開発を通じ、漆器の魅力を引き出すことにも重点を置いている。こうした取り組みは、漆器が広く認知されるほか、若手技能者参入のための呼び水にもなりうる。日本の伝統産業が抱える課題に対する解決策としての効果も期待される。

【アドバイス】連携により資源活用の幅を拡大

ロイヤルコレクションの商品写真

ロイヤルコレクションの商品写真

 伝統産業の裾野拡大のためには、津軽塗などの地域資源を生かせる新たな商品づくりが必要となる。彩工房は01年、地元の漆器販売会社の職人ら数人で結成した。それ以来、国の地域活性化事業の活用や国内展示会への出展など積極的な働きかけを続けてきたことで、企業などとのネットワークを構築。それをうまく利用して、いくつもの新商品を生み出している。

 地域資源を活用して新事業を起こそうとするならば、事業で培ったコネクションなどを起爆剤に利用して、もう一段階ステップアップすることが重要。そのためには地場にとどまらず、彩工房のようにさまざまな企業などと連携することも一つの戦略。それにより、これまでの概念にとらわれない新商品の開発や新事業へつながる可能性もあるからだ。

会社概要

団体名:彩工房
住所:青森県弘前市東城北3−3−13
電話:0172‐34‐5681(小林漆器)