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地域資源活用チャンネル

いきいき活用事例

三重県

フグのブランド確立で地域活性化を目指す

あのりふぐ協議会・浅井利一会長

あのりふぐ協議会・浅井利一会長

漁師と観光業者がタイアップ

 伊勢湾の豊かな海に囲まれた三重県志摩市。あのりふぐ協議会は、同市の安乗漁港で捕れたトラフグをブランド化するため03年に組織された。メンバーは漁業協同組合、旅館組合、商工会など8つの団体からなる。漁業と観光業が一体となってブランドを作り上げ、地域資源活用と観光振興を同時に図ろうという注目の取り組みだ。

 志摩・安乗地区では、はえ縄を使ったトラフグ漁が戦後から行われていた。だが、フグの産地と言えば、山口県下関産が有名。同地区で捕れたフグは当初、無印のままで、フグの卸商が多い下関など関西方面中心に出荷されていた。一方、漁師たちは同地区のフグ漁を守るため、80年代後半から稚魚の放流や、漁の時期を限定する自主規制を設けるなどの活動を展開してきた。

 90年代末になり、漁業組合が「あのりふぐ」の名前で商標登録を申請するなど、地域で捕れるフグのブランド化を働きかけた。遠州灘から熊野灘にかけての海域で漁獲される700g以上の天然トラフグに対し、あのりふぐの名称を付けることを決定。さらに、漁師が守り育ててきたフグを、「なんとか地元で活用できないか」と漁業者と観光業者らがタイアップした。それが協議会発足へとつながった。

 同協議会では、あのりふぐを扱える店をあえて地元の三重・志摩の認定店のみに限定。店の前に認定看板を掲げてもらうことにした。ただ漁師にとっては全国へ流通させるチャンスがなくなってしまう。フグ漁歴20年以上の漁師で、協議会会長も務める浅井利一氏は「志摩に来て食べてもらうことが増えれば、ブランド価値が上がり、高い経済効果がある」と語る。地域活性化を狙った決断だった。

あのりふぐ取扱店用看板

あのりふぐ取扱店用看板

三重ブランドを目指す

 志摩でしか食べられないという販路限定作戦は希少価値を産み、着実にブランド力アップにつながった。現在の認定数はホテル、旅館や飲食店を含めて46店。年間約2万5000人が訪れ、毎年20t程度が地元で消費されるようになった。

 また、協議会が中心となり、県の補助金を活用して定期的にフグの調理技術研修会を開いている。フグを扱うには免許が必要なため、「調理技術をもつ人を増やす」(浅井会長)ためだ。味を良くする下ごしらえ、効率的な調理方法、ポン酢の合わせ方などフグ料理に関して幅広く学べる。研修会をきっかけに「観光業者だけでなく、漁師にも調理免許取得を促し、地域全体でフグが食べられる町として盛り上げたい」(同)としている。

 今後は、年によって変わる天然トラフグの資源変動に、どう対応していくかが課題だ。ブランドを維持するには安定供給が欠かせない。当面の07年度の漁期は好調なことが予想される。このため「新たな来客獲得のチャンス」(同)とし、イベントなどを通じたPRに力を入れる。

 また「地域活性化のための補助金なども、うまく活用していきたい」(同)と、行政との連携を強める考え。三重県が優れた県産品をブランドとして認定する「三重ブランド」への申請も目指している。すでに認定されている「伊勢エビ」、「松阪牛」などと並び、三重県発の代表的な食材となる日に向け、ブランド戦略の一層の高度化が期待されている。

【コメント】浅井利一会長
意識の共有を図る

安乗漁港に水揚げされた新鮮なあのりふぐ

安乗漁港に水揚げされた新鮮なあのりふぐ

 観光業者と漁業関係者が、協力してやっていこうという気持ちが生まれたことで、あのりふぐ協議会ができた。地域活性化は、さまざまな人たちと連携しなければ、成し遂げられないことが多いと思うが、とにかくお互いを思いやり、助け合う気持ちが大切だ。「そもそもブランド化とは何か」といった研修を、専門家を招いて開くなど、みんなで意識を共有するように努力している。

 またブランド化に取り組んだ結果、マスコミに取り上げられることが増えた。単に宣伝するというのではなく、自ら情報発信を心がけ、取材にも積極的に応えている。これらは消費者の「あのりふぐ」へのイメージづくりに大きく貢献しており、それが来客数の伸びにつながったと思う。だから、情報発信は非常に重要な活動だ。

会社概要

団体名:あのりふぐ協議会
住所:三重県志摩市阿児町安乗355-22(志摩の国漁協安乗支所内)
業種:水産・農業、サービス
電話:0599-47-3311
URL:http://anorifugu.info/

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