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地域資源活用チャンネル

コラム

●地域ブランドが地域活性化に一役

 「地域ブランド」がすっかり定着した。各地が誇る農水産物、伝統工芸品などを地域の振興や活性化さらに知名度アップに役立てようと、われもわれもと商標権の登録目指して手を挙げている。商品の品質を商標で保護し、「おらが町」を売り込むにはもってこいの「地域団体商標制度」である。特許庁が2006年4月に同制度をスタートしてちょうど1年を迎えた。4月10日までに累計188件の登録査定が行われた(その後、申請者が登録料を納付すると商標権が発生する)。出願団体は登録後にしっかりブランド管理をして、イメージを落とさないことが大事だ。

 地域ブランドは各地域に昔から作られている工芸品、農水産物、織物、菓子などがある。例えば「夕張メロン」、「関さば」、「豊岡鞄」などが知られる。ただ、改正前の商標法では「地域名と商品名からなる商標の登録を受けるためには、全国的な知名度が必要」としていた。このため「全国的な知名度を得るまでは登録を受けられない、それまでの間に他者の便乗を排除できない」という問題があった。つまり知名度が全国的に高まらないと、商標登録できず、他人が横取りしても仕方ないという、なんとも不条理な法だった。

 そこで特許庁は「地域名と商品名からなる地名入り商標について、一定の範囲で周知となった段階で地域団体商標として登録を受け付ける」とし、さらに「出願前から同一商標を使用している第三者は、自己のためならばその商標を使用できる」と規定した。一方で「登録後に週知性や地域との関連性が失われた場合には無効審決の対象とし、商品の品質誤認が出るような不適切な方法で登録商標を使ったら取消審決の対象とする」と、悪質な手口には厳正に対処する。これらを盛り込んで商標法を改正、昨年4月1日に施行した。

 その効果はてきめん。施行と同時に続々と登録出願が出され、特許庁によると今年3月31日現在で697件の出願があり、このうち188件が登録査定された。地域別の出願状況は近畿の222(登録査定53)を筆頭に、東海80(同22)、九州67(同24)、関東58(同18)、北陸56(同19)、東北47(同13)と甲信越が48(同11)、中国38(同10)、沖縄30(同6)、北海道24(同4)、四国24(同8)その他3。産品別出願件数では農水産1次産品329と圧倒的に多く、次いで工業製品181、加工食品85、菓子30、麺類28、温泉24、酒類12、その他8となっている。

 特許庁では出願から約半年かけて審査を行っている。2月13日に登録内定したのは「上州牛」(群馬県)、「輪島塗」(石川県)、「岩槻人形」(埼玉県)、「江戸押絵羽子板」(東京都)、「江戸衣裳着人形」(同)、「江戸木目込人形」(同)、「山中温泉」(石川県)、「美濃焼」(岐阜県)、「淡路瓦」(兵庫県)、「府中家具」(広島県)、「庵治石」(香川県)、「熊本名産からし蓮根」(熊本県)、「宮崎牛」(宮崎県)の13件。直近の4月10日には、「豊橋筆」(愛知県)、「加西ゴールデンベリーA」(兵庫県)、「なると金時」(徳島県)の3件が加わった。

 最近は登録出願の勢いは当初に比べ鈍くなっているが、これまでの単に知名度によるものでなく、地域ブランドとして国のお墨付きが得られるのだから、今まで以上に全国への発進力が付くうえ、信用度も高まり、競争力も上がる。

 とはいえ、基本はあくまで地域団体である「組合組織」が正当な出願人であることだ。組合の出した商標が登録され、組合員がその商標を使えるようになる。つまり誰がブランド力を高めたかが明確で、ブランド管理がしっかりしていることが基本である。

 ただ地域に長年育てられ、全国的に知られていても登録できない可能性もある。このため同一ブランドを複数の団体が別々に出願せずに、一本化することが望ましい。

 地域ブランドは地域振興、地域の活性化といった、まちづくりを後押しするうえで、大きな意味があると期待されている。それだけに商標権を得たら、団体はホームページなどで商品の場合には品質や輸送技術などを詳細に掲載することで、消費者に安心してもらうことが必要だ。町興しが町潰しになっては、大変なことになってしまう。
 地域ブランドの価値を認識し、さらに高める努力をすることが大事ではないか。

(日刊工業新聞社 柏木 慶永)

*4月2日(月)〜4月27日(金)地域ブランドフェスティバルが開催されました。