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よそ者も入って、地域の宝を磨きます−。農林水産品、産地の技術、観光、伝統文化など全国の各地域には経済活性化につながる多くの「宝の山」が眠っている。ただ地元の人間にはなかなか見えないのが難点だ。地域経済を支える中小企業の経営者らが自ら足元を見直し、地域の「強み」となる地域資源を掘り起こし、磨く。こうした中小企業の先進的な取り組みを国は07年度から力強く後押ししている。経済産業省は07年2月に「中小企業地域資源活用促進法」を通常国会に提出。新法は6月に施行された。新法を軸にマーケティングなどに精通した専門家(よそ者)による事業化のアドバイス体制を整備するほか、資金、税制など総合的な支援策が動く。地域の底上げへ、新たな幕が上がった。
地域の応援に向けて、経産省・中小企業庁は地域資源活用支援事業をスタートし、地域から大都市圏へ。そして、世界への売り込みを目指す。「市場」を強く意識した支援策を投入する(下図)。
地域資源を活用した新事業に対する支援の意義は、地域間の格差が背景にある。大企業を中心とする景気の回復感は地方の中小企業にまでは届いていない。大都市圏以外での回復の遅れが目立っており、公共投資に依存しない自立型の経済構造への転換が急務になっている。
そこで価格競争に巻き込まれない、消費者に強く支持される新サービス、新商品づくりなど、地域の創意工夫が求められてくる。その一つの有効な素材になるのが地域にある優れた地域資源だ。これをいかに第三者の手を借りて、地域の熱意により磨き上げるか。国はプロジェクトの企画段階のサポートから始まり、販売などに結びつける「出口」戦略まで支援するのが基本スタンスだ。
地域資源活用支援事業により、国は地域資源を活用した新事業を強力に支援し、5年間で1000件の新事業創出を目指す目標を掲げた。同支援事業は地域のやる気に火をつける仕掛けともいえる。経産省は07年度の予算要求で総額101億円を計上。経産省はじめ総務省、国土交通省、農林水産省など6省連携の施策にも位置付けられた。
中小企業地域資源活用促進法では、地域資源を地域産業資源としている。定義の要約は(1)地域の特産物として相当程度認識されている農林水産物または鉱工業品、(2)特産物となる鉱工業品の生産にかかわる技術、(3)地域の観光資源として相当程度認識されているもの−の3点が明記された。地域資源の具体的な形は多岐にわたる。基本的には地域の中小企業らが有効に活用する素材であり、皆が知っているものが考えられる。
地域資源を活用した中小企業の取り組みは大きく分けて(1)産地技術型、(2)農林水産型、(3)観光型−の3類型となる。全国にはこの3類型に当てはまる地域資源を活用した果敢な挑戦がすでに動いている。キーワードは「これならうちでもやれる」だ。
山形カロッツェリアプロジェクト(山形県)では、世界的に著名な工業デザイナーが中心となって、03年度に鋳物、木工、繊維などの県内の優れた職人が高品質の商品化を目指す「山形カロッツェリア研究会」がスタートした。06年1月には選抜した5社の製品群を「山形工房」のブランド名で、海外の国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」に出展。多数の商談が進行中だ。
千葉県富浦町(現南房総市)は主要産業の観光関連産業が衰退し、91年には観光客が20万人に激減。そこで、とみうら(南房総市)は特産品の枇杷(びわ)を活用したソフトクリームなどの開発や「南房総いいとこどり」と題した観光情報の発信などを総合的に展開した。現在は観光客数は年間100万人以上という。とみうらのプロジェクトは年商6億円(利益約1,500万円)に発展している。この事業化を契機に地域内に同様の事業を行う加工事業者なども生まれている。
熊本県南小国町にある黒川温泉。10年ほど前までは全国に数ある温泉街の一つに過ぎなかった。危機意識が高まるなかで地元・温泉旅館の新明館が中心となり、敷地内の岩山を掘り抜いた露天風呂や樹木整備などを行い、独特な雰囲気の温泉郷を実現した。これを機に地域内の温泉旅館が協力して、地域一体となった景観づくりが進んだ。こうした取り組みにより現在、年間観光客数は約130万人を超えている。
