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技術開発を支援する!SBIR[中小企業技術革新制度]

企業レポート 特定補助金等 活用企業

神奈川県

臭気を検知し、社会に貢献する

企業名 株式会社SNT
テーマ 環境測定用小型アンモニアガス・メルカプタンガスセンサの事業化
特定補助金等の名称 中小企業・ベンチャー挑戦支援事業のうち事業化助成金
小型アンモニアガスセンサ

小型アンモニアガスセンサ

SNTは慶應義塾大学発のベンチャーで、同大理工学部准教授の白鳥世明社長が研究テーマとするナノ(ナノは10億分の1)レベルの薄膜製作技術を使った装置の開発、製造を主力事業に2002年に設立した。同技術を軸に製品開発を進め、野菜や果物の鮮度を保つ「鮮度保持シート」や空気浄化フィルターなどを製品化している。06年には、同技術を応用した「小型アンモニアガスセンサの事業化」にて、中小企業技術革新制度(SBIR)対象の補助金(特定補助金等)を受けた。

人の嗅覚の100倍のセンサを開発

アンモニアガスセンサを開発しようと思ったきっかけは、「老人ホームを訪れた際のある印象が強かったから」(白鳥社長)という。神奈川県内の特別養護老人ホームを訪問すると、異臭が鼻をついた。

「介護士の人に直接話を聞くと、一番気になることは臭いだということがわかりました」ただ、人は一定の環境に長くいると順応して、「くさい」ことにも慣れてしまう。そのため、「感覚でくさいと感じるよりも、くささを数値化することで、視覚的に実感してもらうことが重要」と白鳥社長は開発の経緯を語った。

開発に成功した「低濃度小型アンモニアガスセンサ」は、300ppb〜10ppmという極低濃度の検知能力を持つ。通常、人はアンモニア濃度が3ppmで異臭を感じることから、最大で約100倍の感度をもつことになる。

同センサには、水晶振動子にナノサイズの細孔をもつ薄膜を製膜した。独自開発した同膜は、特殊な処理を施しており、アンモニア以外のガスにほとんど反応しないため、高効率でガスを検知することができる。

センサの大きさは、縦170mm×横85mm×奥行き35mmという手のひらサイズ。電源はACアダプターのほか、電池でも使用できるため携帯しても使用できる。「正確に数値化できれば、例えば清掃業者がビルの清掃をする場合、どういう順番でどこを重点的に清掃すればいいかがわかる。清掃時間の短縮につながるし、清掃業者の客観的な評価材料にもなります」

実際、デパートや高速道路のパーキングエリア(PA)のトイレ清掃業者に納入しており、評価を得ているという。

開発のきっかけとなった老人ホームには、同社が開発した空気清浄機とのセットでの販売を提案している。室内に設置したガスセンサと空気清浄機を連動させ、一定の臭気になると清浄機が作動する。また、同センサと職員が常駐する部屋とを無線LANで接続し、ガスセンサを一律に管理できるシステムも開発した。

「センサが反応したときだけ職員が部屋に向かい介護することで、夜間作業が減り、職員の負担軽減になります」

白鳥世明社長

白鳥世明社長

人脈と情報で勝負

SBIR制度対象の補助金を受けた効果について白鳥社長は、「助成金がつき研究開発費が潤沢になったという金銭的なことだけではなかった」という。公的機関からの審査を経た事業であるため「事業内容に説得力がつき、信頼を得ることができた」(白鳥社長)。また、「公的機関から紹介を受け企業とのパイプという人脈づくりに役立ったほか、特許や支援ツールなどの情報収集面でも有益だった(※)」(同)という。

アンモニアガスセンサの販売台数は、レンタルを含め累計40台。価格が49万8,000円と高額なため、今のところ業者向けの販売となっている。「販売台数が増えれば、価格を下げることもできる。ゆくゆくは3万円台にまでもっていき市販もしていく。性能を落とすことで価格を低くする方法もあるが、製品の信頼性の点から採用はしない」と気概をのぞかせた。

今後は、SBIR制度対象の補助金を受けたことで獲得した企業とのパイプや情報力を活用し、代理店方式による販売などの手法をとり、営業力を強化していく。

※ 同社が受けたSBIR制度対象の補助金、中小企業・ベンチャー挑戦支援事業のうち事業化助成金は、独自の支援策としてコンサルティングを行っていました。しかし、他のSBIR制度対象の補助金については、中にはコンサルティングを行っているものもありますが、同様にコンサルティングを行っているわけではありません。なお、中小企業・ベンチャー挑戦支援事業のうち事業化助成金は現在、事業終了となっています。(J-Net21)

会社概要

会社名:株式会社SNT
代表取締役 白鳥世明
住所:神奈川県川崎市幸区新川崎7-1慶應義塾大学K2タウンキャンパスO棟103
電話:044-580-1566
URL:http://www.snt.jp/