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技術開発を支援する!SBIR[中小企業技術革新制度]

企業レポート 事業化支援策 活用企業

山梨県

温めてきたアイデアをSBIRで実現

企業名 株式会社ダイワロックス
テーマ ATM等の完全セキュリティを実現する錠前システムの開発
特定補助金等の名称 ものづくり中小企業製品開発等支援事業のうち試作開発等事業に係る助成金
活用した事業化支援策 日本政策金融公庫の低利融資(特別融資)
FAUSキーシステム錠

FAUSキーシステム錠

「アイデアはあった。ただ、開発するための資金がなかった」―。複製が困難な工業用錠前システムの製造を主力とするダイワロックス(山梨県甲斐市)の大島和雄社長は、当時のもどかしい胸の内をこう明かす。

現金自動預払機(ATM)や自動販売機の製造工場など、高いセキュリティが要求される現場には「錠のみが渡され、筐体を開閉するための鍵は渡されない。鍵は設置段階になって始めてユーザーに手渡されるのが通常」(大島社長)という。メーカー側で鍵の開閉確認ができない点や、オートロック錠を誤って閉めてしまい開錠するのに時間を要するトラブルの解決策が課題となっていた。ダイワロックスには、これらの弊害を克服するアイデアがあった。

補助金を活用しスピーディーに開発

資金的な面で実現する術がなく、手をこまねいていた同社の光明となったのが、中小企業技術革新制度(SBIR制度)だった。中小企業診断士から同制度の利用を打診されたことがきっかけとなり、SBIR特定補助金等に指定されていた「ものづくり中小企業製品開発等支援事業(試作品開発等支援)」に2009年8月に応募、11月に認定が下りた。

開発資金を手にした同社は、温めてきたアイデアを実現するため、サンプル材や工作機械部品の調達に乗り出した。補助金額約4500万円を活用し、鍵・錠穴加工や捨て鍵と呼ばれるビット(金属片)加工が一台でできるオリジナル複合加工機を開発したほか、独自の数値制御方式に基づくコード生成プログラムを完成させた。これらのハードとソフトを用いて10年3月に試作品の開発に成功したのが「FAUSキーシステム錠」だ。

同システムに用いられる鍵には、ピッキングに強いディンプルキーを採用した。ATMなどの製造工場で使用する鍵(FAキー)と、ユーザー側で使用する鍵(USキー)の2種類があるため、メーカー側で「開閉の確認やオートロックされた際のリカバリーなどが容易にできる」(開発課坂田茂一氏)。セキュリティ面では、USキーの先端にビットを取り付けて鍵穴に挿入し、金属片を鍵奥に固定することで解決した。FAキーの形状と鍵穴が合わなくなり、ビット挿入後はFAキーが使用できなくなる。工場とユーザーで同番キーによる運用ができるシステムは「現在のところ存在しない」(大島社長)という。鍵溝には特許を取得した、両側面で異なる波形加工を施しピックキングしにくい形状にした。

SBIR支援策を活用し新工場建設で量産体制を整備

開発課の坂田茂一氏

開発課の坂田茂一氏

研究開発フェーズを終え事業化段階に移ると、SBIR支援策を活用し、取引銀行の日本政策金融公庫から低利率で約4000万円の融資を受け、専用工場の建設に着手した。10年6月に稼働した同工場の建屋面積は約260平方メートル。2億種類以上の穴加工組み合わせコードをコンピューターで自動生成するシステムや、「どのような工具がどの方向から切り出しているかは企業秘密」(大島社長)という、オリジナル複合加工機が所狭しと並ぶ。

大島社長は11年度を「販売促進元年」と位置づける。ダイワロックスには、営業専属の社員がいない。「簡単にはマネのできない付加価値のある製品」(大島社長)を多くラインアップするため、営業に注力しなくとも同社の技術力を聞きつけた顧客の方から注文がくるからだ。

ただ、リーマンショック以降、同社の売り上げも頭打ちの状況となっている。今後は、補助金を利用し作成したパンフレットなどの販促物を用いて、展示会などに積極的に出展し「FAUSキーシステム錠」の認知度を高める方針だ。

会社概要

会社名:株式会社ダイワロックス
代表取締役社長 大島和雄
住所:山梨県甲斐市竜地5831
電話:0551-28-4410
URL:http://www.daiwalocks.co.jp/