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第54回 海を越えて世界に広がる「串かつ」の味[一門会]

2015年9月14日海外進出

一門会は、1929(昭和4)年に創業された串かつ専門店「串かつだるま」を運営する会社であり、代表取締役会長の上山勝也氏は4代目にあたる。
 上山会長が「串かつだるま」を引き継いだのは2000年11月のことだった。引き継いだ当時の「串かつだるま」は、わずか3坪12席の小さな店舗の状態であったが、上山会長はそこからスタートし、国内14店舗、海外2カ国3店舗の規模にまで成長させてきた。

わずか3坪12席の小さな店舗が海外展開に至るまで

一門会はほとんど広告を出していない。「串かつだるま」がここまで評判になり、規模が拡大したのは口コミの影響が大きいという。口コミで評判が広がり、マスコミにも取り上げられ、また、安倍晋三総理が訪問したということから話題性もあり、国内、そしてアジアに幅広く認知されるに至った。

現在の国内店舗の客層は、海外(中国、台湾、韓国、香港、タイ、シンガポール、マレーシア)からの観光客も多いという。外国人観光客の比率は全体の2割程度であり、店内ではメニューの多国語対応化を行い、留学生アルバイトも多数雇っている。

上山会長が海外展開を考えるに至ったのは3年前のことだという。日本の人口構造の変化を考えると今後、日本の胃袋は小さくなっていくことが予想される。そのため、今後の社員たちの生活を考えると不安だ。そこで、上山会長は自らが若いうちに(動ける間に)、と早めに海外展開に踏み切ったのだという。

展開先地域は、特に今後人口増加と経済発展の見込まれる東南アジアに決めた。そして最初の展開先は、経済成長の高さと在住日本人の多さを特色として持つタイのバンコクだった。

タイのバンコク店

タイのバンコク店

海外展開における壁

出店地は日本人居住者の多い立地を選んだという。展開を決めてからオープンまでは1年程度の時間をかけた。
 食材に関しては、衣(小麦粉)とソースは日本のメーカーのものを使う。具は現地の食材を使うが、水が違うので調理の仕方には若干の工夫が必要だ。スタッフは、日本から2名派遣し、他にはタイとミャンマーの人たちを20名程度採用している。

慎重に国と地域、そして立地を選んでの海外展開ではあったが、ものの考え方や国民性、食生活の違いなど、さまざまな文化の違いが実際の店舗運営では壁になったという。
 多国籍の従業員を雇用しているため、言葉の問題にも苦労している。現地語しか理解できない従業員たちもいるため、英語を介した通訳でコミュニケーションをとらなければならない。
 また、現地では店舗の又貸しによる詐欺にも遭ったという。そのほか、現地の食材店に注文した食材が注文どおりに届かないなど、アバウトな面も多いという。

拡大していく海外店舗

タイの店舗の来店者の比率は、日本人が8割程度だが、タイでも同店の評判は口コミで広がっており、地元の人の来店も増えてきているという。

「串かつだるま」の評判は韓国にも広がり、ソウルの企業からライセンス契約締結のオファーもあった。ライセンス契約では店舗の内外装は日本の店舗に準じ、衣(小麦粉)とソースは日本のものを使い、他は相手企業に任せることとした。相手企業は日本で2カ月程度の研修を行った後、ソウルに2店舗をオープンした。

韓国・江南店

韓国・江南店

また、フィリピンの企業からもオファーがあり、今年ライセンス契約でマニラに店舗をオープンする予定である。他にも台湾・台北にも出店の話が出ている。
 一門会はライセンス契約をする場合は、今後も一国一企業の原則で海外展開を進めていくつもりだという。

にぎわう韓国の江南店

にぎわう韓国の江南店

海外展開時の留意点

上山会長はこれまでの海外展開の経験から、アドバイスを踏まえて次のように語る。

「海外展開には、商標を取り十分な準備をしたうえでもリスクが付きものである。現地企業とは、国内外の準拠法の知識を基にしっかりと契約を結ぶことが大事である。ただ、一般的に海外企業との契約ではどこかで妥協しなければならない点もある。やはり相手はパートナーとなる企業である。よい関係を長く継続したい。そのためには双方の利益を考慮して、ある程度の譲歩も必要である」

また、海外で飲食店をオープンする際は、日本から初めての食材を供給する際に(税関手続きなどで)時間を取られるケースがある。そのため店舗のオープンには余裕を持ったスケジュールが必要である、とも語った。

着実であるが大きな発展を

上山会長に今後の抱負を聞いてみた。上山会長は今後、東南アジアの国々にそれぞれ少なくとも1店舗ずつ「串かつだるま」を広げていきたいという。そしてアジアから太平洋を超え、アメリカ・ニューヨークにも店舗を持てたらよいと夢を語った。

2000年当時、たった3坪12席の小さな店舗から始まった上山会長の「串かつだるま」は、今、海を越えて世界に着実にそして大きく広がりつつある。

企業データ
企業名 株式会社一門会
代表者 代表取締役 上山 勝也
所在地 大阪市浪速区恵美須東1-6-8
業種 串かつ専門店

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