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第28回 日本茶文化を鹿児島から世界へ[下堂園]

2013年12月12日輸出

株式会社下堂園は、1954年に鹿児島県で創業した鹿児島茶の会社を起源とする。しかし、当時の鹿児島茶は静岡茶や京都宇治茶などと比べると知名度や評判は低かった。そうした評価を覆したいという思いが、「日本一美味しいお茶を作る」という大きな原動力となった。そして今は、「日本のお茶の美味しさを世界に伝えたい」という思いの原動力にもなっている。

下堂園が海外で販売している緑茶

下堂園が海外で販売している緑茶

海外進出のきっかけ

1990年、下堂園は、パリで開かれた国際食品展SIALに毎年出展していた日本企業の代理として初出展した。しかし、バイヤーたちは緑茶に興味を示さなかった。職人たちが自信を持って「絶対に美味しいお茶だ」と思って作っているのに、それが伝わらなかったことが悔しかった。よさがわかってもらえなかったという悔しさがバネになり、もう一度出展しようと決意した。
 そして翌年、ドイツで開催された世界食品メッセANUGAに出展したところ、そこで自然食品製造販売会社のバイヤーと出会った。当時のドイツでは中国産の黄色いお茶が流通していたが、濃い緑のお茶にバイヤーは驚き、これだと思ったという。その出会いが縁となって、翌年1992年から下堂園はバイヤーの勤める自然食品製造販売会社と海外取引を開始した。

海外の展示会での緑茶販売場面

海外の展示会での緑茶販売場面

しかし下堂園は、ドイツの残留農薬規制という大きな壁にぶつかった。まだオーガニック認証のなかった日本の企業にとってその規制は厳しいものだった。そこで下堂園は自ら有機栽培に取り組むことを決意した。契約農家とともに改善を重ね、3年後の1995年10月、念願のEUオーガニック認証をドイツの認証機関から取得した。
 また、「今後はグローバルに展開していくにつれて生産量が必要になる」と考えた下堂薗社長は、それまで培ってきた有機栽培のノウハウを活かして、1998年2月に自社農園「農業生産法人 有限会社ビオ・ファーム」を設立した。そして同年10月には、ドイツの世界食品メッセで出会った自然食品会社のバイヤーを社長に迎え、ドイツ現地法人「下堂園インターナショナル」を設立しヨーロッパへ本格的に進出することとなったのである。

下堂園は自社の有機農園を持っている

下堂園は自社の有機農園を持っている

海外事業展開の基本姿勢

下堂園インターナショナルは、自然食品会社で培った既存の販路を使い、オーガニック・スーパーやティー・ショップに商品を卸し、決して大型スーパーなどに大量に卸すというやり方はしなかった。
 下堂園には茶に対するこだわりがあり、ワークショップを開いて、美味しい緑茶の淹れ方や味わい方を伝えたりもしている。緑茶は非常にデリケートな飲み物であるため、初めて緑茶を扱う人が淹れ方を間違えると、とたんに苦く渋くなる。正しい緑茶の淹れ方をきめ細やかに伝えることで、本当の緑茶の価値を知ってもらっている。
 また、毎年、新茶フェスティバルも開催している。ヨーロッパ中の取引先をドイツに招き、様々な種類の緑茶の試飲会や日本の茶道のイベントを開催し、日本の茶文化を伝える活動も行っている。

自社有機農園での作業。下堂園の緑茶はフランスの国際有機認定機関ECOCERTのオーガニック認証も得ている。

自社有機農園での作業。下堂園の緑茶はフランスの国際有機認定機関ECOCERTのオーガニック認証も得ている。

下堂薗社長は、「時間はかかるかもしれないが、高品質なお茶が売れる環境を築いていくことが大切だ」と考えている。高品質なお茶は生産が大変難しく、職人の技術がないと出来ないものである。高品質なお茶が売れる環境を築くことは、すなわち日本の茶文化を守り広めることであり、職人技術の結晶ともいえる日本茶を世界に普及させていくために必要なことだと考えている。言い換えれば、自分自身たちを「茶の伝道者」とも位置づけている。そのため茶に関する教育も踏まえた販売に力を入れているのだ。

海外から評価される下堂園の緑茶

下堂園の緑茶は、海外からどの点が評価されているのだろうか。下堂薗社長は次のように考える。
 「川上から川下まで全部できるお茶屋さんはほとんどないのです。そのため、自社に有機農園を持っている点は高く評価いただいています。また、より厳しいオーガニック認証であるフランスの国際有機認定機関ECOCERTの認証を得ているということも、大変高い信用に繋がっています。そして何よりも、過去15年間緑茶を輸出し続けてきたという実績が大きいと思います」

また、下堂薗社長は海外から評価を得るために気をつけていることに関して次のように付け加えた。
 「日本と同じです。素早く対応し、なるべくきめ細かなフォローをすることです。小さな積み重ねですけど、それが実って大きな取引になるということもあります。日本では当たり前かもしれませんが、海外ではそれが当たり前ではなかったりします。だからこそ海外から評価を得るためにはその姿勢が必要なのだと思います」

下堂園が描くビジョン

最後にこれからの夢やビジョンを聞いた。「海外の大陸ごとに下堂園の支社を作りたいとも考えていますが、鹿児島をオーガニックの一大産地にしたい。それもお茶に限らず、『鹿児島産=オーガニック』という1つのブランドにしたい。鹿児島にオーガニックの市場、築地市場のようなものを作って、世界中からオーガニック関係のバイヤーさんが集まって来る、そんな市場を作りたい」と語る。

ヨーロッパだけでなく、これからアメリカやアジアにも進出しようとしている下堂園。壮大な夢に向かって下堂園は世界に挑戦し、鹿児島がオーガニックのイメージで世界で語られる日が来ることに期待したい。

企業データ
企業名 株式会社下堂園
代表者 下堂薗 豊
所在地 鹿児島県鹿児島市卸本町5-18
業種 農業(緑茶)小売業

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