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第13回 電気通信関連事業でミャンマー進出にチャレンジ[双見通信工業]

2012年12月19日海外進出

本社を千葉県松戸市に置き日本国内ではテレビの電波障害の工事から始まり、携帯地局設置の通信関係工事を請け負う双見通信工業株式会社。実はこの会社、10年以上前からミャンマーでの事業展開を試行錯誤しており、今ようやくそれが花開く段階となった。

現地を知り、ビジネス立ち上げのタイミングを図る

双見通信工業本社

双見通信工業本社

双見通信工業の中井文雄社長とミャンマーとの出会いは14年前に遡る。知人の勧めでミャンマーに視察に行ったのがきっかけだ。当時、中井社長には「海外でビジネスがしたい」という想いがあった。知人に相談したところ、「中小企業が海外進出するなら、大手企業があまり進出していない国を考えてみてもいい。たとえばミャンマーなどはまだ手付かずだから可能性がある」と言われ、海外視察に参加した。
 当時のミャンマーは世界から経済制裁を受けて経済は停滞、政府にもお金がなかった。「インフラ整備」をビジネスとしている双見通信工業にとって、ミャンマーにすぐに進出できる可能性は低かったにもかかわらず、中井社長はなぜかミャンマーに惹かれ、その後、年に何回もミャンマーを訪れた。
 もちろん、ミャンマーへの渡航は遊びではなかった。本業での進出はすぐには難しいだろうが、いずれそのタイミングはやってくる。それまで他のビジネスに取り組みながらミャンマーで何か商売ができないかと考えたのである。中井社長はミャンマーに行くたびに多くの人に会った。自社で取り組めるビジネスがないかという視点で様々なものを見た。気がつくとミャンマーの現地企業のトップに知り合いが増えていた。
 何回ものミャンマーへの渡航の末、10年ほど前に取り組んだビジネスがある。それはミャンマーの籐製品や家具の日本への輸出だ。その後、日本のソフトクリーム原料を現地に持って行き、ソフトクリーム店をやったこともある。それほど儲かるものではなかったが、ソフトクリーム店は昨年まで営業していた。「家具輸出やソフトクリーム店はもう辞めてしまったが、小さな投資でできる商売をやってみて、ミャンマーという国がよく分かってきた」と中井社長は言う。
 中井社長は現在、ミャンマーでの本業展開の準備中だ。
 「弊社は通信電気工事をやっているが、工事に使う架線金物がミャンマー国内では生産されていない。それらの資材は輸入で賄っているが品質がよくない。ミャンマーが今後、経済発展段階を迎えれば、家庭やオフィスに電気を運ぶ設備(配電設備)がきちんと整っていなければならない。それを見越して、弊社ではミャンマーの現地企業と合弁で配電設備資材の製造に取り組むことにした。いわば本業(電気通信工事)の展開をする前の種まき。本業については、すでにミャンマーに現地法人を立ち上げ、来年の稼働に向けて準備中だ」

ミャンマーで事業を立ち上げる際の「成功のポイント」とは?

14年の時間をかけて、ようやく本格的なミャンマー進出に取り組めることとなった中井社長。彼の目から見たミャンマーとは?また、これから中小企業がミャンマーでの事業展開を考える際に、どんなことに注意しなければならないのだろうか?
 中井社長はこう言う。
 「最近、日本ではミャンマーが話題になったこともあり、ミャンマーに興味を持つ人が増えていると感じる。しかし、実際にミャンマーに行ったことのある経営者は非常に少ない。真の情報は表に出てこない。日本から見ているだけでは、ミャンマーの真の姿はほとんど理解できないと思う。ミャンマーに限らず、もし海外進出を検討しようと思っている経営者がいたら、まずは現地に行ってみることを勧める。あれこれと準備にとりかかる前に、まずその国に行って見てみないことには正しい経営判断はできない」
 さらに、中井社長は「経営のスピード」についても語る。
 「とにかく日本企業は、ミャンマー進出に対してスピードが遅い。何か新しい投資案件の情報が入ってきても、日本企業は期限までに決断できずに終わってしまう。その点、中国や韓国の企業の決断は早い。日本も中小企業ならオーナー経営者が多いので、経営判断はスピーディーにできるはず。それを期待したい」

同時に「海外進出を考えても一歩前に踏み出せない経営者の気持ちも分かる」と中井社長は言う。
 「当たり前だが、ミャンマーに進出するにはまずこれをすればいい、というような正解はない。ミャンマーで現地法人はどうやって立ち上げる?言葉の問題は?人脈はどう作ったらいい?...つまり分からないことだらけ。さらに、ミャンマーではビジネスチャンスが表に出てこないことが多い。だから、初めて海外進出しようとする人にとっては非常にハードルが高い。でも、解決策はある。既にミャンマーでビジネスをやっていて現地にしっかりとした人脈(情報源)を持っている企業などにサポートしてもらうことも成功の鍵だろう」

また、海外進出に関して、多くの経営者が漠然と不安に思うことに「人材」の問題がある。現地法人を作るにせよ、「誰に現地のビジネスを任せるのか」という問題は多くの経営者の共通の問題である。これに関して中井社長は「ある程度軌道に乗るまでは、社長自らがやるしかない」と言う。
 「社長自らが取り組むから、経営判断もスピーディーに行える。それが多くの企業との競争に勝つポイントでもある。もちろん、すべて社長が行うわけにはいかないので、日本側の社員を現地に派遣することも必要である。当社では、現地での展開を考え、日本でミャンマー人を2011年から3名採用している。3名のうち2名には現場での仕事を覚えてもらい、現地での本業がスタートしたら、ミャンマーに帰国して活躍してもらおうと考えている」

さらなる抱負

今、中井社長は「ミャンマーの現地企業と日本の企業とのビジネスマッチングを進めている。近々、現地企業のトップを招き、日本企業の視察を行い、そこで提携についての交渉の場を持つ予定だ」と語る。中井社長のもとには、ビジネスチャンスに繋がる情報も数多く入ってくる。しかし、自社だけでは対応できないことも多く、その際は、対応できそうな日本企業を探して打診している。「私が情報の仲介人になって、ミャンマーの現地企業と日本企業を結びつけることが、必ず両国の企業にとってプラスになると思っている」と中井社長は語る。

中井社長は自らのミャンマー進出の経験を活かし、「もっと日本とミャンマーを結びつける動きをしたい」とも言う。
 「まだ詳しく話ができる段階ではないが、私個人でビジネスマッチングを行うだけではなく、もっと大きな動きにしたいと考えている。ミャンマーではこれからも多くのビジネスチャンスが生まれる。そのチャンスを実際の成果に変えるために、日本企業とミャンマーの現地企業が手を結ぶことは、ミャンマーにとってもよいことだと思う」

10年超の準備期間を経てのミャンマーでの本業稼働。そして双見通信工業と中井社長が取り組む「草の根の国際ビジネスマッチング活動」。中井社長の想いがミャンマーを舞台に今、花開こうとしている。

企業データ
企業名 双見通信工業株式会社
代表者 中井 文雄
所在地 千葉県松戸市日暮5-332
業種 設備工事業(通信電気工事、配電設備資材製造)

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