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第10回 タイで金型の保守・点検と新規金型の受注代行、新しいビジネスモデルを構築[フィーサ]

2012年12月10日海外進出

フィーサは射出成形金型に組み込むノズルなどを製造、販売している。2008年にはタイに現地法人を設立し、家電製品や自動車向けセンサーやヒーターの試作製造などを始めた。タイ現地法人の事業を拡大し、2013年2月期には前年度比75%増の売上高7000万バーツ(約1億8000万円)を達成する計画だ。

プラスチック成形用金型をメンテナンスするタイの工場

プラスチック成形用金型をメンテナンスするタイの工場

新たなビジネスモデルを目指す

フィーサがタイに進出したのにはさまざまな背景がある。1つは顧客である日系企業の海外移転に伴って販売サービスの拠点をタイにつくること。もうひとつは日本の金型市場の縮小への対応だ。金型の新しいビジネスモデルを構築するため、タイ進出を決意した。
 その新しいビジネスが金型の保守・点検と新規金型の受注代行だ。同社はプラスチック射出成形金型に組み込むノズルのメーカーとして、多種多様な金型とかかわってきた。ただタイでは金型を作る企業が少なく、顧客から「金型ごと注文したい」という要望がある。フィーサ自身が金型を作るわけではないが、これまでの蓄積を生かすことができると判断した。

「中国は経済のピークを迎えているが、ASEAN地域は伸びている」とタイに現地法人を設立した斎藤進社長

「中国は経済のピークを迎えているが、ASEAN地域は伸びている」とタイに現地法人を設立した斎藤進社長

2010年にタイで同事業を開始。2011年のタイ洪水後には、水没した金型の修理の注文が急増した。新規金型についてはタイ現地法人で注文を受け、中国の金型メーカーに外注するビジネスを本格化した。本社に商社機能を残し、利益を還元する仕組みにしている。
 さらに「中国は経済のピークを迎えているが、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域は伸びている。タイ現地法人を拠点にASEANへ投資したい」(斎藤進社長)と、東南アジア市場での事業拡大に意欲を燃やす。「香港やシンガポールを利用し、日本に利益を還元する」(同)仕組みも思案中だ。

人材の問題、現地人起用で切り抜ける

海外事業をここまで成長させる道のりは平たんではなかった。2008年秋のリーマン・ショックでは運転資金がゼロになった。この時の状況を斎藤社長は「どうしていいかわからなくなった」と振り返る。この時期は金策や総務の仕事などで忙しく、タイ現法の稼働は予定より8カ月遅れた。売り上げはゼロで、経費だけが毎月100万円程度かかり、タイで使える資金がなくなった。
 当時は会社ばかりでなく、斎藤社長にとっても「出口が見えない」(同)2年間だったという。2009年6月は腹膜炎破裂で1カ月ほど仕事を休み、同年10月には腹膜炎が再発し「すべてがどん底だった」(同)。
 人材の面でも問題があった。タイ工場が実際に操業を始めたのは2008年11月。現地駐在の責任者に日本人を起用したが、相性が合わなかったり、現地従業員の反感を買ったりという事情で、わずか2年で2人が辞めていった。
 そこで現地の習慣を理解するタイ人の従業員を総務のリーダーに起用。すると仕事がうまく回り始めた。おもしろいように仕事が進み、斎藤社長も本来のマネジメント業務に専念できるようになった。「タイ人の総務を入れることが重要だと2年間かかってわかった」と斎藤社長は振り返る。
 タイに最初進出した時は正攻法で正式な手続きをとったため非常に時間がかかったという。だが現地の事情に精通するコンサルタントを雇うと「4カ月かかったビザ申請が2日で取れた」(同)。
 斎藤社長は「海外現地法人は本社にお伺いを立てるといった傾向が強いが、現地の従業員に責任を持たせる仕組みに改めたい」と、今後の海外現地法人のあり方について語る。「中国、タイ、日本の3つの拠点があるおかげでいろいろとイメージが浮かび、知恵も働く」(同)と新しいビジネスの仕掛けに考えを巡らせる毎日だ。

企業データ
企業名 フィーサ株式会社
代表者 斎藤 進
所在地 東京都大田区池上7-12-11
業種 製造業(プラスチック加工機械製造)

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