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第5回 国内事業成長で得た資金を、市場成長著しい海外へフルコミット投資[ソーシャルワイヤー]

2012年8月 2日海外進出

同社インドネシアのレンタルオフィス「CROSSCOOP JAKARTA」

同社インドネシアのレンタルオフィス「CROSSCOOP JAKARTA」

ソーシャルワイヤー株式会社(以下ソーシャルワイヤー)は2006年9月に設立され、プレスリリース配信事業を中核とし、第二の柱としてレンタルオフィスを中核としたインキュベーション事業を展開している。2つの事業のどちらもアジア制覇を掲げているが、具体的に先行しているのがインキュベーション事業だ。2011年1月に海外展開向けの持ち株会社をシンガポールの地に設立し、あわせて、2011年7月にレンタルオフィス(CROSSCOOP SINGAPORE)をオープンした。

なぜシンガポールを初進出の地に選んだのか尋ねると、藤原取締役は「アジア全域でビジネス展開をすることを考えた時に、その中心であるという地理的な要素と、国家として法令や仕組み自体がハブ機能を有しているということが大きな理由です」と答え、さらに言葉を継いだ。

「アジア、とりわけASEAN主要国に事業展開しようと考えている企業にとって、まずシンガポールに拠点を置くのは法令やその地の利からベストであり、その方針をハード面、ソフト面から支援するのが当社の役割だと考えています」

なぜ海外進出を考えたのか?

同社インドネシアのレンタルオフィス「CROSSCOOP JAKARTA」

同社インドネシアのレンタルオフィス「CROSSCOOP JAKARTA」

ソーシャルワイヤーがアジアを目指したのはなぜか。

「おかげ様で当社の国内事業は順調に成長しておりますが、内需が上止まりの外部環境においては、いずれの時期には業界単位・企業単位での市場奪い合いという構図になります。一方で、海の外(特にアジア各国)ではマーケット自体が急速に拡大している場所がいくらでもあります。その場所で事業をすることは、まさに、上りエレベーターの中で事業をするようなもの。低コスト拠点としてではなく、マーケット拠点としての海外投資が企業の投資活動の主流となる、企業のキャピタルフライト元年がすぐそこに来ていると考えたのが、海外進出を考えた大きな理由です」(藤原取締役)

中国はじめアジア各国へ日本企業の海外進出が活発になってくることを見越し、そこに日系企業のオフィス需要があるのではないかと考えたのだ。

その考えは当たり、シンガポールのレンタルオフィスはオープン後すぐに稼働率が上がった。そしてすぐに次の展開に移った。それはインドネシアの首都ジャカルタへの進出だ。インドネシアはシンガポールからも近く、多くの日系企業の進出が見込まれている。2011年11月、ジャカルタにレンタルオフィス(CROSSCOOP JAKARTA)を開設した。このオフィスはシンガポールよりも早いスピードで稼働率が上がった。さらなる需要の盛り上がりを想定して、2012年4月にシンガポールオフィスの増床を行い、2012年11月にジャカルタに2つ目のレンタルオフィスを開設する予定だ。このオフィスもすぐに稼働率が100%近くになるものと見込んでいる。

アジアにこそ「大きな成長マーケット」がある

シンガポール、ジャカルタともにオフィスの入居企業は圧倒的多数が日系企業だ。しかし、入居企業の顔ぶれには違いがあるという。

「シンガポールは初めて海外に進出するという中小企業やベンチャー企業が多いですね。それに対しジャカルタはすでに中国やシンガポールで海外進出をしており、次の展開としてインドネシアを選ぶ、いわゆる大手企業が多いです」(同)

ジャカルタでは、なぜ大手企業もレンタルオフィスを借りるのか。それには理由がある。ジャカルタではビルのフロアの一部分だけを借りるという、日本では当たり前のことが基本的にはできない。借りるのであれば1フロア全部を借りなくてはならない。そうなると賃料コストが跳ね上がる。ソーシャルワイヤーのレンタルオフィスであれば、必要なスペースだけを借りることができるので、コストを大幅に抑えることができる。

驚くことに、入居企業の募集に関する営業活動はほとんどしていないという。「入居が決まるパターンは大きく分けて2つです。1つ目はすでに入居している企業からの紹介で入居するパターン。そして2つ目は現地視察に訪れた企業が弊社オフィスに立ち寄り、利便性を感じて入居を決めるというパターン」だと言う。

「どの企業も外国に視察に行く時には、現地でできるだけ多くの処を訪問しますよね。その時に『現地オフィスはどうすればいい?』という話になって、視察先として弊社のレンタルオフィスがリストアップされるようなのです」(同)

海外展開を順調に立ち上げるポイントとは?

海外におけるレンタルオフィス事業が非常に順調なソーシャルワイヤーだが、海外展開スタート時に苦労はなかったのだろうか。藤原取締役は「シンガポール進出の際には、弊社シンガポール持ち株子会社の一人がシンガポール政府で仕事をしていた経歴があり、事がスムーズに進んだところは多いですね。しかし、当社に海外展開ノウハウがあったわけではありません。ですから海外進出を検討し始めた時はわからないことだらけでした。」と語る。

そこでソーシャルワイヤーが取った戦略は、海外進出する際の現地法人は、現地企業や現地人材との合弁会社にするということだった。シンガポールでもジャカルタでもそうやって法人を設立した。

「やはり現地のことは現地の人(企業)が一番よく知っているのです。弊社のビジネスや理念を理解してくださるビジネスパートナーを見つけ、一緒に取り組むことができたのが順調な海外展開を実現できた大きな理由と言えます。あとは、海外展開をすると決めたら、中途半端にちまちませずに、経営幹部全員が、フルコミットして経営資源を投下することでしょう」(同)

海外進出時に現地企業と合弁会社を立ち上げるというのはよく聞く話だが、ソーシャルワイヤーはどうやってビジネスパートナーを見つけたのだろうか。

「パートナーを探すのはいくらでも方法があります。会社の取引銀行が現地に駐在事務所を置いていれば、条件に合う企業を紹介してもらうことができます。また、海外進出支援を行なっている企業もたくさんありますから、そこに紹介を依頼することもできます。また私達自身の人脈の中でも、丁寧に探してみると海外展開している企業につながったりするのです。まずは現地に飛び込まなくてははじまらないのではないでしょうか」(同)

紹介してもらった企業や人に会うために現地視察ツアーを実施し、接点を持ち、利害関係が一致して、なにより価値観が共鳴できた相手とシンガポール、ジャカルタで法人を設立した。「両国のビジネスパートナーは日本語が話せて意思疎通もしやすく、ビジネスを展開する上においてとても心強いパートナーになっている」という。

ソーシャルワイヤーがユーザーに支持されている理由

ソーシャルワイヤーのレンタルオフィス入居企業に好評なのは、「日本語で対応可能な現地スタッフ、そして、なにより日本人が常駐していること、そして、我々が日本で事業をしている日系企業であること」。入居企業の担当者は皆、英語や現地の言葉を話せるのだが、それでも「日本語で気軽に話すことができるのは大きな安心につながっているようです。オフィスには現地採用スタッフもいますが、日本語が話せるスタッフを必ず常駐させています」。

また入居者の中には、これから進出を検討している企業も多い。そんな彼らには分からないことだらけだ。

「現地での一般的な商習慣や税金のこと、問題が起きた時にどこに相談すれば解決してくれるのかなど、現地スタッフには多岐に渡るビジネス情報を身につけさせ、入居者への対応ができるようにしています。こういった点も高く評価いただけています」(同)

競合他社との競争に明け暮れている企業こそ考えるべきアジア進出

今後のアジア展開については、インドのデリーに2012年10月にオフィスを開設する予定であり、2013年3月までには北京、ホーチミン、マニラへの進出も視野に入れている。

長引く国内の景気低迷と歯止めのかからぬ人口減少は、多くの企業に海外進出を考えさせるきっかけになっている。企業にとってソーシャルワイヤーの海外展開の事例は大きな示唆を与えてくれるだろう。国内で同業他社との競争に明け暮れている企業こそ、アジア進出の可能性を真剣に検討すべきではないか。アジアのマーケットをいち早く手に入れることが、企業継続の有効打になるのではないか。国内では差別化が厳しい業態でも、他社よりも早く進出することで先行者メリットを享受できる。

それを自社単独で進めようとすると困難が伴う。しかし、現地にビジネスパートナーを見つけることができれば大きな推進力を得ることができる。さらに海外でビジネスを立ち上げることができれば、それを横展開することも可能になる。ソーシャルワイヤーが行なっていることは、まさに「成功の方程式」そのもののように思われる。

企業データ
企業名 ソーシャルワイヤー株式会社
代表者 矢田 峰之
所在地 東京都新宿区新宿4-3-17
業種 サービス業

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