本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

中書企業の海外展開入門トップに戻る

第3回 ライバル企業に負けない競争力と「日本を知る」現地責任者の必要性[東京マンションサービス]

2012年6月 8日海外進出

平和堂の中国進出店舗「五一広場店」はじめ3店舗の清掃業務も受託している

平和堂の中国進出店舗「五一広場店」はじめ3店舗の清掃業務も受託している

株式会社東京マンションサービスは、渋谷に本社を置くビル・マンションの総合管理メンテナンスの会社である。同社では23年ほど前から、メンテナンスの現場で働く戦力として、中国人留学生を受け入れている。その中で1人の優秀な留学生が貴重な戦力として活躍していたが、この留学生が学校を卒業し母国に帰ることになった時、彼はこう言った。「中国は今後益々発展していく。ビルメンテナンス業にも需要がある。上海で事業を立ち上げたい」と。
 そこから話がスタートし、彼の所属先であった「ジン・ジャン・グループ」との合弁で、1995年、現地法人「上海日物管理有限公司」を設立した。東京マンションサービスの社長、毛利茂氏の父、元英氏がこの決断を行った。現在、毛利社長は現地法人の董事長(いわゆる会長職)を務める。

毛利社長は次のように語る。
 「進出した当時、上海にビルメンテナンスを行う企業はあったが国営企業ばかりだった。それらと比較すると、当社のサービスの品質や従業員の意識には優位性があった。また、さまざまな清掃資機材を使っての清掃のクオリティなどにも競争力があった。清掃作業は多くの作業者による労働集約型ビジネスである。多くの作業者たちをきちんとコントロールするシステムにおいても当社は優れていたように思う」

現在では多くの超高層ビルが建ち並ぶ上海も、進出した1995年頃は開発が始まったばかり。日本からの進出企業も製造業だけではなく小売業なども目につきはじめていた。たとえば、1995年に上海浦東地区にオープンし、東洋一の規模を誇った商業施設に八百伴(ヤオハン)百貨店がある。この八百伴百貨店の2号店の清掃業務を受託した。大型商業施設では、他にも湖南省の省都である長沙市に進出したスーパーチェーン平和堂の百貨店3店舗をはじめ、イズミヤなどの受注を次々に決めている。

毛利社長は語る。
 「中国に進出した日系企業は、清掃などのメンテナンスにも日本と同等のクオリティを求めていた。そんな彼らから見ると、日本人の董事長がいる当社は安心して仕事を依頼できる存在だったと思う」
 その後、中国最大の高さを誇る上海ワールドフィナンシャルセンター(森ビル)から業務を受託。また、日系企業だけではなく、中国進出を果たしたカルフールや上海虹橋国際空港も取引先だ。現在の売上は、日系企業50:その他企業50というバランスになっているという。

成功のポイントは…

上海を中心に中国全土でメンテナンス業務を展開している同社だが、その成功のポイントは何だったのだろうか?
 毛利社長は「日本人の感覚が分かる中国人の総経理(いわゆる社長職)を置いたこと」と語る。「現地責任者に当たる総経理には日本への留学経験のある中国人を就任させた。彼には権限をしっかりと移管し、責任を持たせて取り組ませており、それが成長の基礎となっている。当社は中国全土に3,000人を超える作業者を抱えている。それらの人間をコントロールするのは容易ではない。日本人の考え方を理解しつつ多くの社員をしっかりと管理・教育できる総経理を任命できるかどうか。これが重要だ」
 海外に法人を設立した時に現地責任者を誰にするのかという点は、多くの進出企業において避けて通れない問題だ。この対応を間違うと、現地責任者と現地社員との間に溝が生じ意思疎通が図れず、うまく行くはずのビジネスにブレーキがかかることもある。

毛利社長は「日本で鍛えたメンテンナンスの技術や経営管理手法に強い競争力があった」ことを成功のポイントとするとともに、「日本国内と同等の高いサービスレベルを求めている日系企業に対して積極的なアプローチを行った」ことも重要なポイントとして挙げた。

中国は内需拡大が進み、それに合わせて全国各地に大規模施設も続々と建設されている。これらの新しい需要をしっかりと押さえつつ、サービスレベルのさらなる向上を図ることが毛利社長にとってのこれからの課題だ。

*中国最大のホテルチェーンを有し、さまざまな業種で事業を展開している。上海では「上海錦江飯店(ホテル)」が有名

企業データ
企業名 株式会社東京マンションサービス(現地法人
代表者 毛利 茂
所在地 東京都渋谷区道玄坂1-15-3
業種 ビル・マンションの総合管理メンテナンス業

このページの先頭へ