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農商工連携パーク

[農商工連携88選] 先行事例

選出された事業88件から、先行して事業に取り組んでいる事業者の声をお届けします。

静岡県

チンゲンサイの花芽誘導装置を開発、花芽食べる食文化を啓発
【やまと興業】

花芽を1年中つけさせるシステム

「青菜花(チンツァイファー)」の商品名で発売したチンゲンサイの花芽。葉だけよりも栄養価が高く、にがみや青臭さがなく、逆に甘みを感じるほどだという。

「青菜花(チンツァイファー)」の商品名で発売したチンゲンサイの花芽。葉だけよりも栄養価が高く、にがみや青臭さがなく、逆に甘みを感じるほどだという。

野菜は開花直前の花芽の状態がもっともおいしく栄養価も高い。中国でも野菜の花芽が珍重されているという。

やまと興業が本社を置く静岡県西部地域は、チンゲンサイの生産高が日本一。チンゲンサイの花芽は、自然界では冬を越えた春先の1回しか収穫できないため、私たちが普段、食べているのは温室で育ち、葉の状態のままで年間7、8回収穫されているものだ。

そこでやまと興業は発光ダイオード(LED)を使って、人工的に花芽を誘導する装置「バーナリくん」を開発した。装置内の冷暗育成室が疑似的な冬の環境をつくり出し、LEDが光合成を促進して花芽の育成を誘導する。LEDは熱を発せず、波長をコントロールできるため光源に最適。装置内で苗を2週間から1ヵ月間育成してから、農家のハウスに移植し約1ヵ月育てる。そうすると、花芽のついたチンゲンサイが年3、4作収穫できるという。

連携テーマは「高輝度LEDによる花菜類の花芽誘導装置の開発及び花芽の普及」。コア企業のやまと興業が装置の全体設計を、つぼい工業(浜松市北区)が冷蔵装置を担当した。花芽の販売や市場開拓は、ヤママツ鈴木農園(同西区)と浜中(同南区)が協力。静岡大農学部はLED光源体の誘導分子分析や対象野菜の成分分析を行う。

やまと興業の本業は自動車や2輪車部品製造で、コントロールケーブルやパイプ加工が主力。創業期には農耕具を手がけた歴史もあり、農業とも無縁ではない。

LEDを農業に使えないか

花芽誘導装置内で育成中のチンゲンサイ苗

花芽誘導装置内で育成中のチンゲンサイ苗

創業50周年を迎えた95年に「世の中を明るくしよう」とLED事業に参入した。当時は日亜化学工業の中村修二氏が20世紀中は不可能と言われていた青色LEDの量産技術を確立し、脚光を浴びた時期。中村氏とつながりのあった静岡大を通じ、高価で希少品だった青色LEDを組み込んだ商品開発にいち早く取り組んだ。

最初に製品化したのはペンライトやディスプレーなど。その後、静岡大学との産学連携を契機に「LEDを農業分野に活用できないか」という話が持ち上がった。さらに「生産高日本一を誇るチンゲンサイを高付加価値化させたい」という熱意あふれる地元の栽培農家に出会い、産学農のタッグが成立した。

05年には花芽誘導装置の開発、販売を目的に新連携の認可を受け、製品の出荷を開始。しかし、農業の本当のたいへんさを知ったのはその後だった。

同じ規格の製品を大量生産する自動車部品と異なり、農作物は生き物。「花が散ったら商品にならない。品質管理は予想以上に難しかった」と、藤安健太郎新規事業部営業開発課係長は振り返る。農業ならではの流通ルートや、価格変動の激しさにもとまどった。

しかし最近になり、中国からの輸入野菜の問題などで、食の安全に対する消費者の目が厳しくなったのは「ブランドを広めるチャンス」と藤安係長。地元農協への2台の花芽誘導装置導入も決まり、普及活動にも弾みがつきそうだ。

コメント

花芽と装置で年10億円以上を目指す

小杉昌弘社長

小杉昌弘社長

チンゲンサイの花芽は、「青菜花(チンツァイファー)」と名付け、地元の大手スーパーなどで販売を始めた。食の安全に対する信頼が揺らぎ、多少高価でも安心できるこだわり野菜を購入する消費者が増えているのは追い風だ。装置を販売するためにも、花芽を食べる食文化を啓発していきたい。

チンツァイファーは柔らかくてクセがなく、中華料理のほか、天ぷらやおひたしにしても美味。2010年に花芽出荷と装置販売で10億円以上の売り上げを目指す。技術開発を強化し、チンゲンサイ以外の野菜にも挑戦したい。

会社概要

会社名:やまと興業株式会社
住所:静岡県浜松市北区横須賀1136
電話:053-586-3111
URL:http://www.yamato-industrial.co.jp/


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