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無農薬で水洗いも不要の野菜(左からサラダ菜、フリルアイスレタス、リーフレタス)
農事組合法人ハイテクファームは、キユーピーが開発した完全制御型の植物工場を導入し、無農薬で清潔な野菜を通年生産している。手掛けるのはサラダ菜、フリルアイスレタス、リーフレタスの3種。密閉式工場で、外気や病害虫が入らないため、殺菌や水洗いをせずに、そのまま食べられるのが特徴。傷や痛みがほとんどない歩留まりの良さも、取引先や消費者から高い評価を受けている。キユーピーの販売網を活用した取引先の拡大でも連携している。
現在の拠点は武生工場(福井県越前市)と、園部工場(京都府南丹市)の2カ所がある。武生は1日当たり約800株を生産。園部は南丹市の保有設備で、委託生産の形で同約1,000株を出荷している。販売先は地元の福井県や京都府内のスーパー、総菜店などが中心で、固定客もつき、人気がじわじわと出てきている。
もともと兼業農家だった代表理事の松村秀雄氏がたまたま新聞でキユーピーの植物工場の記事を見付けたことが創業のきっかけ。収入が安定しない農業への不安や「ほかの人がしないことしたい」(松村代表理事)との思いもあって、キユーピーのプラントの導入を決めた。国や福井県、武生市(現・越前市)の補助金を活用して、1993年度に武生工場を立ち上げ、事業をスタート。栽培ノウハウの提供や新商品開発、全国の販売網を活用した販路開拓などキユーピーのさまざまな支援にも魅力を感じ、起業・連携に乗り出した。

毎日種まきし、育苗する
生産するサラダ菜やレタス類は1個100g程度で通常の3分の1ほどの大きさ。小ぶりで「親子ひと家族が1回で食べきれるサイズ」(同)という。露地ものが収穫まで2〜3カ月かかるのに対し、植物工場では30〜36日で収穫できる。一定品質の野菜を一定量出荷でき、値段変動も少ない。スーパーでの実勢価格は100円台後半が多いようだ。
ただ事業を軌道に乗せるには売り先の確保が不可欠。福井県内を地盤とするスーパーは知人の協力もあって契約は案外すんなり決まった。だが、総菜店やベーカリーなどへの営業が難題で、無農薬で清潔な利点や、歩留まりの良さをアピールしても、普通の野菜と比べると割高なため「ずいぶん営業回りをしたが、なかなか契約できなかった」(同)と振り返る。

立体水耕栽培で生産
しかし、食の安全や安心に力を入れる総菜店などへ粘り強く営業を続け、徐々に契約が決まった。現在、武生工場の出荷割合はスーパーと総菜店が半分ずつで、園部工場は総菜店が約9割を占める。2006年度の売り上げは93年度の2倍の約6,500万円に伸びている。パート雇用者も93年度の5人から06年度には12人に、取引業者も大幅に増え、業容は着実に拡大している。
それでも悩みは尽きない。今は原油高騰の影響による電気代や諸資材の値上がりに不安が募る。こうした状況を打開するためにも、今後は北陸や京阪神地域などで販売先を一段と広げる構え。食の安全安心を前面に押し出して、ホテルなどにも売り込み、ネット販売も行う計画。大学などとの連携も視野に、新しい農業を提示し続け、さらなる飛躍を目指している。
会社名:農事組合法人ハイテクファーム
住所:福井県越前市勝蓮花町62-13
電話:0778-28-1614
URL:http://www.hightech-farm.com/
水洗いのいらない清潔な野菜
松村秀雄代表理事
ハイテクファームの野菜は土を使わずに養分を混ぜた水を根に吹きかけ、太陽光の代わりにランプを使って育てています。工場内の空気は清浄で、収穫した野菜は水洗いや水切りの手間がかからず、サンドイッチやサラダ巻きの具に向きます。天候や季節に左右されないので、日々一定量の均質な野菜を顧客に直販しています。天候不順で野菜が急激に品薄になった際は、キユーピーのプラントを導入した他社の工場に野菜を融通してもらい顧客の出荷増の要求に極力応えています。