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農商工連携パーク

[農商工連携88選] 先行事例

選出された事業88件から、先行して事業に取り組んでいる事業者の声をお届けします。

北海道

地元産"幻の小麦"で多彩な食を開発
【江別麦の会】

ハルユタカを使ったつけ麺と、店舗販売用の生ラーメン

ハルユタカを使ったつけ麺と、店舗販売用の生ラーメン

雨が降る平日のお昼時。江別市役所(北海道江別市)に隣接する市民会館のレストランは意外に込み合っていた。役所の食堂と言えば職員で席を占めるのが相場だが、ちょっと様子が違っている。席を埋めているのは地元の主婦らが中心。みんなのお目当ては地元産小麦、ハルユタカをベースにする「江別小麦めん」のメニューだ。
 「食べてみなければ分からないでしょう」。江別麦の会の片岡弘正会長は、市内の生産者が栽培した小麦めんの味に自信を込める。メニューにはパスタやラーメンなど多くの品目が並ぶ。麺は太め。色は濃い黄色で強い歯応えがある。

新栽培技術で江別の顔に

今、この地元産の小麦めんが"江別の顔"になりつつある。市内約20の飲食店がこの小麦めんを使って多彩なメニューを提供し、地産地消のサイクルを形成。多くの人を呼び込んでいる。
 地元産小麦、ハルユタカ。かつて生産量の不安定さから「厄介者扱い」された小麦。そんな脇役を且蝟汲ノ押し上げたのが江別麦の会の取り組みだ。ハルユタカは風味が良く、高たんぱく質の強力粉としてパン用に適しているため、活躍が期待されていたが、病気に弱く、収穫直前に雨に当たると商品価値を失ってしまう弱さがあった。その生産性の低さゆえに"幻の小麦"とされた。

麦の会は、そんな地元産の小麦に新しい命を吹き込む。市内の生産者と農業支援機関を中心に結成された江別麦の会。メンバーは公設試験場などと組んで安定的な生産、供給に向けて初冬に種をまく新たな栽培技術を確立。雪が降る直線に種をまき、雪の下で発芽させて雪解けとともに生育を開始させる「冬まき」に一変した。それまでの「春まき」のリスクを抑えて生産者にとって安定した収入源となる品種に変えたのだ。

さらに産学官連携組織と組んで小麦めんなどの新商品開発や流通ルートの確立に取り組む。麺、パン用の小麦粉開発を当面の目標に据えて、地元の小麦農家、製粉・製麺会社、大学、飲食店などが集い、地域発の力を生み出している。人気メニューになった江別小麦めんの市販にあたっては製粉会社が原料小麦500kg〜1tで製粉する小ロットを導入。製麺会社も小ロットラインによって地元産の麺づくりをバックアップしている。

宿る地域の力

初冬まき技術によって、安定生産できるようになった「ハルユタカ」

初冬まき技術によって、安定生産できるようになった「ハルユタカ」

「生産者の顔が見える小麦づくりがしたかった」。自ら長年、小麦生産に携わりハルユタカの冬まき栽培技術を確立した片岡会長。指導農業士として後進の指導にもあたる会のリーダーは、麦の会の活動にこんな思いを重ね合わせる。小麦粉はいくつかの品種を混ぜて使用するため「生産者が自ら栽培した小麦がどんな使われ方をされているのか分かりにくかった」と片岡会長。でも、今は違う。連携の力によって、日の目を見なかった小麦が地域を代表する主役になりつつある。

「何度も試食を重ね、商品化まで1年半を要した」(片岡会長)生ラーメン。生産者らが笑顔で並ぶ写真、地元の小学生による絵画が印刷されたパッケージには、江別小麦めんに思いを寄せる地域の力が宿っている。今年は江別麦の会設立からちょうど10年目。街には「江別小麦めん」や「麦の里江別」ののぼりが立ち、多くの人がレストランにやって来る。
 小麦生産者の栽培にかける努力と工夫、地元企業のこだわり。麦の会のメンバーの思いはビジネスの規模だけを追いかけるのではなく、地域の活性化に向けられている。

コメント

これからも生産者の顔が見える開発を目指す

片岡弘正社長

片岡弘正会長

地元、江別市を中心に小麦の生産振興を図るため、生産、加工、流通、消費、研究など、各分野におけるプロフェッショナルが交流を深めることで『生産者の顔が見える』小麦商品の開発を目指す。『ハルユタカ』の初冬まき栽培技術について、データ蓄積、研究のほか、他地域への技術普及に取り組みながら、市販する『江別小麦めん』は、小麦の生産から製粉、製麺までをすべて市内で完結。麺の味そのものを楽しむ"産地めん"を、江別ブランドにして地域経済の活性化を図る。

会社概要

団体名:江別麦の会
事務局所在地:北海道江別市高砂町6 江別市経済部農業振興課
電話:011-381-1025


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