

平成20年8月末までに、490件の相談が全国10カ所に設置された地域活性化支援事務局に寄せられました(図1参照、注;経済産業局ベースでの集計となっているため中部・北陸は合算しています)。
相談が寄せられるまでの過程を見ますと、地域活性化支援事務局の主催するセミナー・講習会がきっかけとなったり、ほかの支援機関とのネットワークから相談を受けるケースが多く、特に今年からスタートした地域力連携拠点経由のケースが多く見られました。
地域活性化支援事務局では、寄せられた相談に対し本法律の認定要件に合致するかどうかを確認したり、あるいは事業計画の認定に向けての必要なアドバイスを行います。
地域ごとの認定状況は図2のとおりです。
![]() 図1 地域ごとの相談状況(件) |
図2 地域ごとの認定状況(65件) |
図3 農林漁業別の認定状況
次に第1回認定事業の特徴について見てみましょう。図3は、65 件の認定事業を農林漁業の事業別に分けたものです。これを見ると農業分野が全体の約8割を占めているのがわかります。この割合は相談件数においても同様の傾向を示しています。ちなみに総務省統計局の事業所・企業統計調査(平成16年)によりますと、当該3事業の事業所数の割合は農業76.3%、林業9.0%、漁業14.6%となっており、概ね事業所数を反映したものと言えそうです。
図4 農林漁業者から見た連携状況
一方、図4は認定事業の連携状況を農林漁業者側から見たものです。連携相手の中小企業者を商業と工業に分類し、いずれと連携をしているのかを表しています。これを見ますと、連携相手として「工業者とのみ連携している」が約7割となっており、その内訳は食料品製造業との連携が主となっています。表1は認定事業の新事業活動を商品レベルで分類したものですが、これを見ますと食品が全体の約8割を占める代表分野であることがわかります。
その一方で、商業者と連携しているケースも約3割あり、需要開拓を目標とする農商工連携の特徴を示すものと言えそうです。すなわち、商品企画の段階にいかに消費者の視点を入れていくのかは現代のマーケティング戦略に欠かせない要素と言えますが、その点消費者に一番近い存在である商業者を連携体の構成員とすることで、事業計画の実現性を高める効果が期待されます。
| 大分類 | 中分類 | 件数 | 構成比 |
|---|---|---|---|
| 食品 | 農産食品 | 4 | 5.5% |
| 畜産食品 | 1 | 1.4% | |
| 水産食品 | 1 | 1.4% | |
| 農産加工食品 | 19 | 26.0% | |
| 畜産加工食品 | 6 | 8.2% | |
| 水産加工食品 | 8 | 11.0% | |
| 酒類・飲料 | 11 | 15.1% | |
| その他食品 | 7 | 9.6% | |
| 食品計 | 57 | 78.1% | |
| 非食品 | 観光・サービス | 4 | 5.5% |
| 機械装置 | 2 | 2.7% | |
| 化粧品 | 2 | 2.7% | |
| 情報システム | 3 | 4.1% | |
| その他非食品 | 5 | 6.8% | |
| 非食品計 | 16 | 21.9% | |
| 総計 | 73 | 100% | |
それでは、どのような連携パターンがあるのかについて、事例を交えながら紹介いたします。
農商工等連携促進法に基づく基本方針では農商工等連携事業の内容に関して「新商品の開発、生産若しくは需要の開拓又は新役務の開発、提供若しくは需要の開拓を行うもの」と定めています。
今回は新商品の開発、新サービスの開発という2つのパターンに加え、特に生産段階に特徴が見られるパターンについて見ていくこととします。
図5 新商品開発型連携パターンのイメージ図
まずは新商品開発型の連携パターンを紹介します。図5は当該連携パターンをイメージ化したものです。農林漁業者と中小企業者が手を組んで、素材(農林水産物)を活かして何らかの新しい商品にチャレンジし、市場化をめざすという連携パターンです。
新事業活動の商品分類区分において食品が約8割を占める代表分野であることは前述したとおりですが、第1回認定事業で最も多く見られたのがフードチェーン型の新商品開発です〔フードチェーンとは「一次生産から消費までの食品及びその材料の生産、加工、配送、保管及び取扱いに関わる一連の段階及び活動」を指します(ISO22000:2005による定義)〕。
ただし、これまでの典型的なフードチェーンは前工程者が次工程者の要求品質を満たす生産物を提供する一方向的な関係でしたが、農商工連携においては最終製品が市場化品質に達するまでの責任を参加者のそれぞれが負担しあうこととなりますので、例えば試作販売段階で市場の声を聞き、それを解決するために農林漁業者と中小企業者が相互に創意工夫をするような双方向的取組みが期待されます。
次の事例はフードチェーン型で、かつ中小企業者側に商業者が参画した3社連携のものを、農業分野からと漁業分野からそれぞれ紹介いたします。


図6 新生産方式導入型連携パターンのイメージ図
次に生産の方法に特徴がある連携パターンについて見ていきましょう。この場合、中小企業者のもつ技術・ノウハウなどにより農林水産物そのものの高付加価値化を目指すパターンが多く見られます。図6は当該連携パターンをイメージ化したものです。
前述したフードチェーン型との大きな違いは、「新しい生産方式」を導入した農林漁業者から「高付加価値化された(1次)商品」が生み出される点です。また「新しい生産方式」を提供する中小企業者側からも「新しい生産方式そのものを商品」とし市場へアウトプットする場合もあります。事例で見ていきましょう。
中小企業者であるホト・アグリのもつLED光源を作物栽培に導入した新しい生産方式の導入事例です。農林漁業者側である京丸園は、作物栽培中の光制御により野菜に含まれるポリフェノール・ビタミンなどの機能性成分を強化した野菜(リッチリーフ)を生産することができます。一方、ホト・アグリは栽培ノウハウを含めた栽培用光源システムを販売します。

図7 新サービス開発型連携パターンのイメージ図
最後に新サービス開発型の連携パターンを見てみましょう。農商工連携における新サービス開発とは、「モノ」である農林水産物に無形(ソフト的)な付加価値(サービス)を加え、市場に提供していくことを目指すものと言えます。図7は当該連携パターンをイメージ化したものです。
また新サービス開発型では、次の事例のような観光資源などの外部資源を活用した事業展開も1つの方向性としてあげられます。この場合、市場化に向けては当該農林漁業者と中小企業者の有機的連携にとどまらず、地域との連携がより重要になってくる点に特徴があると言えそうです。
