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農商工連携パーク

第1回認定事業の概要・特徴

2008年9月19日、農商工等連携事業計画の第1回の認定が全国で一斉に行われました。ここでは第1回の認定計画65件の概要や特徴を見てみましょう。

農商工等連携事業計画第1回認定状況

平成20年8月末までに、490件の相談が全国10カ所に設置された地域活性化支援事務局に寄せられました(図1参照、注;経済産業局ベースでの集計となっているため中部・北陸は合算しています)。

相談が寄せられるまでの過程を見ますと、地域活性化支援事務局の主催するセミナー・講習会がきっかけとなったり、ほかの支援機関とのネットワークから相談を受けるケースが多く、特に今年からスタートした地域力連携拠点経由のケースが多く見られました。

地域活性化支援事務局では、寄せられた相談に対し本法律の認定要件に合致するかどうかを確認したり、あるいは事業計画の認定に向けての必要なアドバイスを行います。

地域ごとの認定状況は図2のとおりです。

図1 地域ごとの相談状況(件)

図2 地域ごとの認定状況(65件)

第1回認定事業の特徴

1.農林漁業別の事業分類

図3 農林漁業別の認定状況

次に第1回認定事業の特徴について見てみましょう。図3は、65 件の認定事業を農林漁業の事業別に分けたものです。これを見ると農業分野が全体の約8割を占めているのがわかります。この割合は相談件数においても同様の傾向を示しています。ちなみに総務省統計局の事業所・企業統計調査(平成16年)によりますと、当該3事業の事業所数の割合は農業76.3%、林業9.0%、漁業14.6%となっており、概ね事業所数を反映したものと言えそうです。

2.連携体の構成

図4 農林漁業者から見た連携状況

一方、図4は認定事業の連携状況を農林漁業者側から見たものです。連携相手の中小企業者を商業と工業に分類し、いずれと連携をしているのかを表しています。これを見ますと、連携相手として「工業者とのみ連携している」が約7割となっており、その内訳は食料品製造業との連携が主となっています。表1は認定事業の新事業活動を商品レベルで分類したものですが、これを見ますと食品が全体の約8割を占める代表分野であることがわかります。

その一方で、商業者と連携しているケースも約3割あり、需要開拓を目標とする農商工連携の特徴を示すものと言えそうです。すなわち、商品企画の段階にいかに消費者の視点を入れていくのかは現代のマーケティング戦略に欠かせない要素と言えますが、その点消費者に一番近い存在である商業者を連携体の構成員とすることで、事業計画の実現性を高める効果が期待されます。

表1 新事業活動の商品分類区分
大分類 中分類 件数 構成比
食品 農産食品 4 5.5%
畜産食品 1 1.4%
水産食品 1 1.4%
農産加工食品 19 26.0%
畜産加工食品 6 8.2%
水産加工食品 8 11.0%
酒類・飲料 11 15.1%
その他食品 7 9.6%
食品計 57 78.1%
非食品 観光・サービス 4 5.5%
機械装置 2 2.7%
化粧品 2 2.7%
情報システム 3 4.1%
その他非食品 5 6.8%
非食品計 16 21.9%
総計 73 100%

3.連携事業の内容

それでは、どのような連携パターンがあるのかについて、事例を交えながら紹介いたします。

農商工等連携促進法に基づく基本方針では農商工等連携事業の内容に関して「新商品の開発、生産若しくは需要の開拓又は新役務の開発、提供若しくは需要の開拓を行うもの」と定めています。

今回は新商品の開発、新サービスの開発という2つのパターンに加え、特に生産段階に特徴が見られるパターンについて見ていくこととします。

(1)新商品開発型の連携パターン

図5 新商品開発型連携パターンのイメージ図

まずは新商品開発型の連携パターンを紹介します。図5は当該連携パターンをイメージ化したものです。農林漁業者と中小企業者が手を組んで、素材(農林水産物)を活かして何らかの新しい商品にチャレンジし、市場化をめざすという連携パターンです。

新事業活動の商品分類区分において食品が約8割を占める代表分野であることは前述したとおりですが、第1回認定事業で最も多く見られたのがフードチェーン型の新商品開発です〔フードチェーンとは「一次生産から消費までの食品及びその材料の生産、加工、配送、保管及び取扱いに関わる一連の段階及び活動」を指します(ISO22000:2005による定義)〕。

ただし、これまでの典型的なフードチェーンは前工程者が次工程者の要求品質を満たす生産物を提供する一方向的な関係でしたが、農商工連携においては最終製品が市場化品質に達するまでの責任を参加者のそれぞれが負担しあうこととなりますので、例えば試作販売段階で市場の声を聞き、それを解決するために農林漁業者と中小企業者が相互に創意工夫をするような双方向的取組みが期待されます。

次の事例はフードチェーン型で、かつ中小企業者側に商業者が参画した3社連携のものを、農業分野からと漁業分野からそれぞれ紹介いたします。

新商品開発型
[農・工・商による連携事例]
「プロバーテンダーの監修による栃木県産の「農作物を使ったカクテル」の開発と販売」
(株)横倉本店は宇都宮市の農産物の需要拡大と産業の振興を目的とした「うつのみやアグリネットワーク」に参画し、情報交換の中で栃木県産の果実や野菜を使ったカクテルを「宇都宮カクテル倶楽部」のプロのバーテンダーの監修により開発することを決意した。
この検討の過程において、カクテル製造に関してはリキュール製造のノウハウを保持する鳳鸞酒造(株)が担当、原材料の農産物(果実・野菜ジュース)の生産の技術・ノウハウに優れた荒牧りんご園が連携するに至った。
[漁・工・商による連携事例]
「乳業メーカーの殺菌・衛生管理技術を活用した高品質なシラス製品等の開発・製造・販売」
武儀商事(株)は漁業者の高橋久二氏と15年程前からの知り合いであり、また中部乳業(株)とはうなぎの肝の加工処理がきっかけで、数年前に知り合う。本事業の核となる過熱水蒸気を利用した殺菌処理法は中部乳業(株)が独自の技術で開発に成功。
この殺菌処理を行ったシラスの商品化を目指していることを武儀商事(株)と高橋久二氏に伝えたところ、賛同を得られたことから、互いの技術ノウハウを活かし連携して事業を行っていくこととなった。
(2)新生産方式導入型の連携パターン

図6 新生産方式導入型連携パターンのイメージ図

次に生産の方法に特徴がある連携パターンについて見ていきましょう。この場合、中小企業者のもつ技術・ノウハウなどにより農林水産物そのものの高付加価値化を目指すパターンが多く見られます。図6は当該連携パターンをイメージ化したものです。

前述したフードチェーン型との大きな違いは、「新しい生産方式」を導入した農林漁業者から「高付加価値化された(1次)商品」が生み出される点です。また「新しい生産方式」を提供する中小企業者側からも「新しい生産方式そのものを商品」とし市場へアウトプットする場合もあります。事例で見ていきましょう。

中小企業者であるホト・アグリのもつLED光源を作物栽培に導入した新しい生産方式の導入事例です。農林漁業者側である京丸園は、作物栽培中の光制御により野菜に含まれるポリフェノール・ビタミンなどの機能性成分を強化した野菜(リッチリーフ)を生産することができます。一方、ホト・アグリは栽培ノウハウを含めた栽培用光源システムを販売します。

新生産方式導入型
[農・工による連携事例]
「機能性野菜「リッチリーフ(R)」栽培用光源の開発とリッチリーフ(R)の商品化」
(株)ホト・アグリは、植物の機能性成分をLEDなどの補光により高める研究を行う中で、機能性野菜「リッチリーフ」の開発に成功、農家向けのLEDの光源の開発を進めるとともに「リッチリーフ」の量産化に乗り出した。量産化のノウハウを求める中で、従来より技術供与を受けていた京丸園(株)と当事業について協力、連携を開始することとなった。
(3)新サービス開発型の連携パターン

図7 新サービス開発型連携パターンのイメージ図

最後に新サービス開発型の連携パターンを見てみましょう。農商工連携における新サービス開発とは、「モノ」である農林水産物に無形(ソフト的)な付加価値(サービス)を加え、市場に提供していくことを目指すものと言えます。図7は当該連携パターンをイメージ化したものです。

また新サービス開発型では、次の事例のような観光資源などの外部資源を活用した事業展開も1つの方向性としてあげられます。この場合、市場化に向けては当該農林漁業者と中小企業者の有機的連携にとどまらず、地域との連携がより重要になってくる点に特徴があると言えそうです。

新サービス開発型
[農・商による連携事例]
「省エネルギー技術による環境制御技術を活用した1年中イチゴ狩りができる観光農園と浜名湖という特色を活かした周辺農産物を取りそろえた直売所の経営」
大手農業関連企業から独立し(株)GFD を設立。地産地消をコンセプトとした特色ある直売所と1年中イチゴ狩りができる観光農園の経営に向け鈴木偉也氏との協力・連携を開始。また、浜名湖地区での観光ゾーン形成への協力として遠鉄観光開発(株)、大和リゾート(株)、(有)浜名湖フィッシングリゾートが参加。さらに、ニチモウ(株)が直売所経営および農業支援で参加をしている。