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農商工連携パーク

認定事業計画の事例紹介

農商工等連帯促進法に基づき、国の認定を受けた事業計画申請事業者の活気ある声をお届けします。

 山口

多獲性・低利用度の魚類を使った新製品を開発

漁業商業
中小企業者 ふるさと萩食品協同組合
農林漁業者 山口県漁業協同組合
完成した加工品。小アジとサゴシの佃煮

完成した加工品。小アジとサゴシの佃煮

山口県萩市、萩漁港に隣接した道の駅「萩しーまーと」は、2001年の開業以来、活況を呈している。昨年2008年度は約150万人が来場し、約9億円の売上高を記録した。この萩しーまーとを運営する、ふるさと萩食品協同組合は、地元の山口県漁業協同組合らと協力して、同施設と漁協の活性化に取り組んでいる。

利用されない地魚がもったいない

同組合が地元の漁協と連携して取り組んでいるのが、水揚げ量が多く、利用度の低い魚を原材料にした加工品の開発だ。年間10トン超という一定の水揚げ量があるにも関わらず、あまり市場に出回らない地魚――小アジ、ブリ小型、ホソトビウオなどは、比較的珍しい種類だったり、小型という理由から、超低価格で販売されたり、養殖のためのエサとして使われたり、ときには廃棄されることもあった。

「利用されない新鮮な地魚を生かさないのはもったいない」と、同組合はこれまで価値を見出せなかった低利用度の魚を原料に、新しい加工品の開発に着手した。先の小アジなどのほか20種類以上の魚を使い、塩干し、練り製品、薫製品、レトルトの煮物などさまざまな加工法での製品化を考えている。

現在、検討中のメニューは80品目を超える。干物やすり身、佃煮など馴染みのあるものから、ブイヤベース、エスカベッシュなど洋風の加工品までバラエティ豊かだ。これらメニューの開発に向けて、魚加工の盛んなスペイン・バルセロナやフランス・マルセイユへの視察も予定している。

マーケティングによる計画の見直し

地元の人や観光客で賑わう道の駅「萩しーまーと」

地元の人や観光客で賑わう道の駅「萩しーまーと」

低利用度魚類の加工に先駆け、高級魚を原材料にした加工品の開発も行った。地元萩で水揚げされる「真ふぐ」や「あまだい」などを使って製品を展開。道の駅だけでなく、通信販売によって全国に広がった。
 「萩ブランドの認知度アップや、漁価の上昇において、一定の成果があったことを実感している」と語るのは、同組合の中澤さかな専務理事。道の駅開業の計画から携わっている。

道の駅が開業して8年。この開業に合わせて、中澤専務理事はIターンで事業に参加。前職のメディア業界で培った経営企画やマーケティング、PRのスキルを生かして、既存の開業計画の問題点を見直した。

当初の計画では、観光客をターゲットに費用を投じて立派な施設設備を企画していた。売上げをはじめとした数値は都市部のマーケティング係数をそのまま当てはめ、オフシーズンの数値低下などは考慮されていなかった。

中澤専務理事は計画の問題点を洗い出し、すぐに現況調査を開始。各地の鮮魚センターや地元スーパーの鮮魚売り場をリサーチした。コンセプトから練り直し、ターゲットや商品群、設備や数値計画などを入念に立て直した。

その結果、地元の客層をターゲットに、地物鮮魚のほかに野菜や精肉を品揃えし、地産地消をねらった。施設設備も設計変更により大幅にコストを削減。この計画修正が功を奏し、道の駅は成功を納めた。

客観的な目線が効果的な方策を生む

萩魚市場の競りの様子

萩魚市場の競りの様子

中澤専務理事は自身のIターン経験から、停滞した地方の事業に、Iターン、Uターンの人材を生かすことが効果的だと考えている。都市の現場での実績と、地元の人間でない客観的な視点の双方を持ち合わせることで、現状の問題点や過不足が見えてくるのだという。

「道の駅の計画や、地魚を利用した製品開発は、「よそ者」だからできたことかもしれない。地元の人たちがあたり前のように目にしてきた素材の有効利用について客観的に見ることができるのも、第三者だからこそ」(中澤専務理事)という。

中澤専務理事の得意とするPRも大きな効果を上げている。テレビ番組の情報コーナー、新聞の連載記事などレギュラー企画のほか、ラジオやフリーペーパー、ウェブサイトなど多岐に渡る媒体で積極的にPR活動を展開している。
 「これら媒体を使った情報提供の宣伝効果は大きい。広告費をかけない有効な方法として、小さな企業は人脈や企画力を駆使して、大いに活用することを勧めたい」(中澤専務理事)。

現在、開発中の低利用の地魚による加工品。製品開発と同時に、PR活動や販路開拓などにも力を入れ、製品の全国展開によって魚価を上昇させ、漁協の経営の安定を目指したいとしている。

コメント

地域の人材育成にも貢献

ふるさと萩食品協同組合・中澤さかな専務理事

ふるさと萩食品協同組合・中澤さかな専務理事

事業開発の基本的な進め方やマーケティングなどに精通した人が少ないのが地方の弱み。これによって、開発可能な地域資源を生かしきれていないと感じることも多い。メリットや合理性などを的確に見極め、調査、分析するスキルを備えた人材育成が必要だ。
 現在、地域の人材を活性化する事業に参画しており、地元自治体の職員に対して、OJTによる教育指導を行っている。
 こうした動きが広がり、地域で活躍できる人材が多く育つよう、支援活動にも力を入れていきたい。

連携体代表者の連絡先

会社名:ふるさと萩食品協同組合
住所:山口県萩市椿東4160-61
電話:0838-24-4937
URL:http://www.axis.or.jp/~seamart/contents/annai/furusato/main.html