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農商工連携パーク

認定事業計画の事例紹介

農商工等連帯促進法に基づき、国の認定を受けた事業計画申請事業者の活気ある声をお届けします。

東京都

無農薬パセリ・レタスなどの周年栽培と販路開拓

農業商業
中小企業者 株式会社創風土
農林漁業者 有限会社矢澤園芸
矢澤園芸の収穫の様子。天葉といわれる枝の先の葉だけを収穫する

矢澤園芸の収穫の様子。天葉といわれる枝の先の葉だけを収穫する

「農薬を使わない栽培」をうたう野菜卸売会社の創風土。無農薬栽培が特に難しいといわれる大葉の栽培を、試行錯誤の末に完成させた。いま新たにパセリや葉物野菜の生産に取り組んでいる。無農薬栽培は、人件費や手間がかかるなどのリスクがあるが、流通体系を確立し、生産農家の利益の確保とともに、安全な食品の供給に力を注いでいる。

難しい大葉の無農薬栽培に成功

同社が大葉の無農薬生産に取り組んでから約7年が経った。大葉はもともと病害虫に弱く、無農薬での栽培は困難といわれる品種。くわえて葉に虫食いや変色などがあると商品にはならない。他の葉物野菜であれば、傷んだ部分を取り除けば出荷できるが、大葉は葉全体が整っていないと商品にならないという難題を抱えた品種である。

大葉の栽培の挑戦は茨城県の生産農家、矢澤園芸と二人三脚で取り組んだ。ヨトウムシを始めとした害虫や、斑点病などの病気など、あらゆる病害虫の被害を克服して、ようやく元気な大葉栽培の成功に漕ぎ着けた。

無農薬栽培の特長は、安全で味や香りが良いだけでなく、一般の慣行栽培よりも日持ちするという利点がある。食の安全が求められる昨今、こうした安全な農作物への関心は高まり、需要も伸びている。

流通体系を確立し生産農家を支援

袋詰めは、手作業で一枚ずつていねいに行う

袋詰めは、手作業で一枚ずつていねいに行う

一方、栽培には手間が掛かり、人件費も慣行栽培より高くなる。また、病害虫の大敵である湿気対策として、間隔をあけて風通しの良い環境で栽培するため、面積当たりの収穫量が減少するというリスクを抱えている。

これらの問題点をカバーするため、同社は流通体系の確立に力を入れている。大手スーパーのOBである同社会長の人脈を生かして、食の安全に関心の高い量販店に営業したところ、約半数が取り引きに応じてくれた。安全な商品を扱うことは、スーパー側にとってもメリットが大きいのだ。
 「予想外の成約率の高さに驚いたが、無農薬の大葉や葉物野菜の付加価値は高く、スーパーにとっても魅力が大きいと改めて確信した」。創風土の名取仁社長は、小売店の反応に大きな手応えを感じた。

同社は生産農家が安心して無農薬栽培に取り組めるよう、全量買い取りを原則とし、小売店に対しては、計画的な発注と、納品量の制限を求めた。現状の生産体制では、まだ小売店の発注希望に対応するのは難しいからだ。小売店にとっては厳しい条件だが、それでも安全な商品の展開は消費者のニーズも高く、スーパーの強みになる。

名取社長は流通業に就く前、農業に従事していた。この農業経験から、小売店に対して農作物の特長を的確に説明できる。これが量販店の説得に大きな効果を上げたのは言うまでもない。

生産農家、品種ともに拡大を目指す

大葉の売り場に貼るポップ。イメージキャラクターは“しーそーくん”

大葉の売り場に貼るポップ。イメージキャラクターは“しーそーくん”

無農薬の大葉の成功を手始めに、農薬残留性の高いパセリや葉物野菜、トマトなどの栽培にも着手した。大葉の栽培のハウツーを生かして、徐々にではあるが、品種、生産量を増やしている。

品種を増やし出荷量を伸ばすため、課題は生産農家の育成だ。現在、3カ所の農家で栽培を行っているが、将来的には15カ所まで拡大したいという。矢澤園芸で農業研修を行い、無農薬栽培の技術を一から指導している。既存の農家だけでなく、若手の後継者や異業種からの参入による農業未経験者の参加も少なくない。 「収益性や作業効率など戦略的に取り組めることから、異業種の農業経営は成果が見込めそうだ」(名取社長)と期待も大きい。

販売促進のための戦略にも力を入れている。有機野菜を扱う店舗などをリサーチして、効果的なアプローチ方法を煮詰めているところだ。すでに、キャラクターやポップを作製し、小売店と協力して売り場づくりに取り組んでいる。

今秋には品種を拡大して、充実した売り場展開を予定している。「農薬を使わない栽培」を消費者に広くアピールし、安全な食品の普及とともに、生産農家の経営の安定を図りたい考えだ。

コメント

的確なアピールは生産者と流通業者の連携から

創風土・名取仁社長

創風土・名取仁社長

小売業への営業の際、生産者と流通業者の連携不足を感じることがある。生産者は作った後は関知しない感があり、流通業者は農業の現場を知らないことから、営業の際に特長や魅力を十分に伝えることができないといった状況が見受けられる。こうした連携不足が成約できない原因とならないよう、生産者と流通業者が互いに情報交換することが必要だと感じている。
 生産者と流通業者の双方の経験を生かして、流通体系の充実に寄与することができればと思う。

連携体代表者の連絡先

会社名:株式会社創風土
住所:東京都中央区築地2-10-6 BPSスクウェア10F
電話:050-8882-3490
URL:http://www.soul-food.co.jp/