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農商工連携パーク

認定事業計画の事例紹介

農商工等連帯促進法に基づき、国の認定を受けた事業計画申請事業者の活気ある声をお届けします。

東京都

森林ツアーで知る総檜住宅の良さ

林業工業商業
中小企業者 株式会社丸二
農林漁業者 加子母森林組合

森を守る人々と語らう

森林を守る人から話を聞く

森林を守る人から話を聞く

一戸建て住宅やマンションなどを手がける丸二は、長野県境に近い岐阜県・加子母(かしも)の豊かな森を舞台とした「加子母森林ツアー」を主催している。加子母森林組合(岐阜県中津川市)と連携して山の手入れや間伐作業など森を豊かに保つ現場を見て学び、郷土料理を味わい、温泉につかる。加子母ヒノキのファンを育て、総檜(ヒノキ)住宅など国産材の利用を増やそうとしている。

ツアーの醍醐味(だいごみ)は森林保全に携わる人々との語らいにある。訪れた人は加子母の自然や歴史、暮らしに触れる。切る木の選び方、木の切り方一つとっても、そこには無数の試行錯誤があり、一つひとつの工夫に作り手の思いがこもっている。語らう中で新たな発見や感動があり、自身の生き方を考えるきっかけとなる。日本のように成熟した社会に向いた新たな観光だ。

山を豊かに保つために、人の手による無数の努力が積み重ねられている。価格や構造材としての強度などの経済合理性では計りきれない価値と言える。この価値を伝えるには作り手と親しくなり「いつか家を建てるときは、この人たちが育てたヒノキを使いたい」と思ってもらうことが一番だ、と渡辺偕規社長は考えた。

伊勢神宮と同じヒノキで家作りも

口コミが広がっていった森林ツアー

口コミが広がっていった森林ツアー

森林ツアーは2012年で10回目を数える。チラシなどで定期的にPRしているが、当初ツアー参加者はなかなか集まらなかった。「初めは従業員に知人を誘ってもらい、徐々に口コミが広がっていった」という。1回平均20人、これまで200人ほどがツアーに参加した計算だ。

加子母のヒノキは伊勢神宮の式年遷宮に使われる御用材でもある。色はややピンクがかっていて、ヒノキの香りが強い。加子母森林組合の管理する森林の隣には、国有林に指定された原生林が広がっている。20年に一度の伊勢神宮の遷宮は2013年。御用材が切り出されるたびに注目が集まる。「伊勢神宮と同じ加子母のヒノキで家を建てたい」と考えるファンも多いという。

間伐材の用途を広げ、価値を高める

森林ツアーで木と触れ合う

森林ツアーで木と触れ合う

だが、豊かな森を維持するための“山の経済”は簡単ではない。森を育てるためには定期的な間伐作業が欠かせない。渡辺社長は「太さ14−15センチメートルの木が育つまでに30−40年かかる。しかし、それを間伐材として切り出しても一本に500円の値しか付かない」と不満を漏らす。

一般に間伐材には、不適格な木材というイメージがある。「実際は構造材としても強く、細い柱を多く使うことで家の強度も確保できる」(渡辺社長)。そこで渡辺社長は間伐材の用途を広げ、一本の値段を500円から1000円への引き上げを目指している。わずか500円の差だが、森の担い手にとっての意味合いは大きい。「一日に10本の間伐材を切り出して1万円の日当が払えるかどうか。それが若い人が山で働けるかどうかを分けるギリギリの値段」(同)だからだ。

森林ツアーを通して、間伐したヒノキにも脚光が当たりつつある。構造材に利用した総檜住宅の実績はまだないが、床や壁に使う仕上げ材に加子母のヒノキを指定する顧客が増えたという。普段の生活で触れる床や壁にヒノキを配置し、自然の年輪から木のぬくもりを感じる。「加子母のヒノキに囲まれながら、子どもに山を守る人たちのことを話し、自然の尊さを伝えていく。そうした生活スタイルが好まれ始めている」(同)という。

ツアーに参加した保育園の園長からは、ヒノキをつかったスベリ台など、遊具の製作依頼が来ている。加子母森林組合が木工所などを運営し、付加価値を高めた製品にすることも考えられる。「まだ小さな芽が出た段階だが、時間をかけて大きく育てていきたい」と渡辺社長は考えている。

コメント

もっと一次生産者に敬意を

丸二・渡辺偕規社長

丸二・渡辺偕規社長

森林ツアーの回数を重ね、累計の参加者は200人ほどになった。今後も継続して1000人、2000人に増やしていきたい。我々の事業として考えれば、このうち10人が感心して、5軒の住宅を建てさせてもらえば採算がとれる。

加子母森林組合では、世代を超えて林業を続けられるように30年単位の複層林計画が進んでいる。直接触れる仕上げ材などにヒノキの利用は広がりつつある。我々も山と一緒で長期的な取り組みにしていきたい。

建設業はもっと一次生産者に敬意をもつべきだろう。我々は加子母ヒノキがあってはじめて家を建てられると考えている。建設業も工務店も大学の先生も、もっと山に入り、森林で働く人たちと話した方が良い。

連携体代表者の連絡先

会社名:株式会社丸二
住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町1-35-1
電話:0422-21-3211
URL:http://www.maruni-wave.co.jp/