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農商工連携パーク

認定事業計画の事例紹介

農商工等連帯促進法に基づき、国の認定を受けた事業計画申請事業者の活気ある声をお届けします。

東京都

ITを駆使した農産物の新しい販売法

農業商業
中小企業者 株式会社グルメン
農林漁業者 有限会社泰保
野菜などを詰めた段ボールにICタグを取りつけて出荷する

野菜などを詰めた段ボールにICタグを取りつけて出荷する

農家と連携して農産物の販売にITを導入−。グルメンは、農産物を生産する泰保(宮崎県木城町)などと共同で、ICタグを用いて野菜の栽培記録や収穫日時などのデータを管理・提供する仕組みを構築した。沢田幸雄社長が全国約30カ所を回って農家の現実を目の当たりにしたことで、農業に先端的な技術を活用する取り組みが始まった。

2010年1月、年明け間もないグルメンの本社に、東京都中小企業振興公社と中小企業基盤整備機構の担当者が集まっていた。グルメンが農商工連携活動に乗り出すことを支援する目的だった。沢田社長は「最初は断ったが、担当者の熱意にも動かされて取り組むことを決めた」と振り返る。

農家の厳しい現実に直面

農商工連携で栽培した野菜などを展示会で販売した

農商工連携で栽培した野菜などを展示会で販売した

実は沢田社長は社として取り組む前から、農商工連携に強い関心を示していた。全国各地を回って農商工連携に取り組む農家を取材。情報を収集する一方で、農家が置かれている厳しい現実を知った。「平均年収は200万円ほど。担い手の高齢化も進んでいる。1年間の休みを合わせても2週間に満たない農家もあった」(沢田社長)と言う。売り上げの減少や後継者不足などの課題に悩む農家の姿も、沢田社長を農商工連携に突き動かした。

2010年2月、グルメンが泰保などと考案した農商工連携事業「ICタグを利用した自営農家と共同でつくりだす新農産物販売法の確立(感動と夢を与える産直BツーBツーC)」が国から認定を受けた。泰保が生産した野菜などを詰めた段ボール箱にICタグを取りつけ、栽培記録や流通の流れなど、農産物に関するさまざまな情報を管理する仕組みを構築する。生産から出荷、市場への流通、首都圏の中小の小売店での販売まで一連のトレーサビリティー(履歴管理)に役立つ。

ICタグで安全性を“見える化”

ICタグで管理した情報を店頭で発信することで、消費者が食に求める安全性を“見える化”できる。野菜ソムリエによる農産物を利用したレシピやおいしい食べ方の情報なども提供する。食品卸のアグリプロデュース(宮崎市)が集荷や梱包を担当し、野菜の安定供給を支えた。  沢田社長は「ICタグの取りつけを始めたころは、作業者が『そんなことまでやるのか』という(懐疑的な)様子だった。畑での撮影なども必要で大変だった」と振り返る。  ただグルメンには、スーパーマーケットの物流センターで使うカーゴ台車の管理にICタグを導入した経験や、漬物や練り製品の卸売りなどの豊富なノウハウがある。またグルメン自身が小売店「アットマート」を展開していることもプラスに働いた。大企業では発揮できない強みや独自性を、連携事業に生かしたと言える。一方の泰保も農産物の販路拡大を目指しており、トレーサビリティーによって消費者の信頼を得ることに期待を寄せ、連携して新たな仕組みを作り上げた。

今回の取り組みは、新たな段階に入りつつある。採れすぎた野菜を長期間保存する技術の開発だ。収穫時の鮮度をそのまま保つことができれば、生産した野菜をムダに廃棄することなく、販売量や金額を増やせる。グルメンの取り組みは、農家の厳しい環境の改善につながっている。

コメント

農家のつらさ、計り知れない

グルメン・澤田幸雄社長

グルメン・澤田幸雄社長

農商工連携を広めるために全国各地の農家を回っていたときのことだ。キュウリを箱詰めしていた農家が「今、出荷したら損をする」とつぶやいた。収穫量が多すぎると市場価格が下がる。そうなると作業コストや輸送費用がまかなえない。出荷したくてもできずに、廃棄せざるを得ないことがあるのだ。丹精込めて育ててきた農作物を捨てる農家のつらさは計り知れない。
 そのため収穫後の野菜などの鮮度を保ち、長期的に保存する技術を開発したい。取引価格に影響されることなく出荷でき、農家の収益を高めることにつなげられるからだ。

連携体代表者の連絡先

会社名:株式会社グルメン
住所:東京都港区東新橋2-16-1
電話:03-5472-1313
URL:http://www.gurumen.jp/