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農商工連携パーク

認定事業計画の事例紹介

農商工等連帯促進法に基づき、国の認定を受けた事業計画申請事業者の活気ある声をお届けします。

沖縄県

未利用バイオマスを活用した資源循環型ビジネスで「今帰仁アグー」のブランド化

林業工業
中小企業者 株式会社ゆがふバイオテクノ、名護林業生産加工販売事業協同組合
農林漁業者 農業生産法人 有限会社今帰仁アグー
沖縄固有種の豚(アグー)

沖縄固有種の豚(アグー)

北部に希少動植物の宝庫、やんばるの森が広がる沖縄本島。だが沖縄には使える木は少ない。木造家屋が少なく植林が成り立たないからだ。そのため養豚業者は豚舎の敷材のおが粉を本土から購入しているほどである。

同事業は産業廃棄物として出てくる伐採木に着目した。これを加工し、豚舎の敷材にした後、有機肥料として野菜などを栽培するという未利用バイオマスのリサイクルを目指す。

未利用バイオマスを循環

ダムやゴルフ場などの開発に伴う伐採木は産業廃棄物となる。コア企業のゆがふバイオテクノはこれを引き取る産廃業者だが、産廃の木くずの行き場がなく山積みになっているのが課題だった。一方で同社は植物由来の安全な農薬の開発やバイオディーゼルなども手がけている。

名護林業生産加工販売事業協同組合は伐採木を木製品に加工しているが、公共工事の減少で原料が減り、売り上げが低迷。今帰仁(なきじん)アグーは沖縄在来種のブタ(アグー)にこだわる養豚業者。肉は東京や京都で高値取引されているが、養豚敷材のおが粉を本土から購入するためコスト高が経営を圧迫、また増産体制の確保が課題となっていた。

それぞれに課題を抱えていた3者にとって農商工連携の枠組みがぴたりとはまった。経営不振だった名護林業組合の経営診断を行っていた中小企業診断士の西里喜明氏から「3者の課題解決のために農商工連携にチャレンジしてみては」との勧めがあったことが直接のきっかけとなり、未利用バイオマスのリサイクルによって、それぞれの課題を一挙に解決することを狙って連携した。

事業内容はゆがふバイオが引き取った伐採木を一次破砕して名護林業組合に販売。同組合の持つ粉炭・おが粉製造技術により「粉炭入り消臭おが粉」に加工、これを今帰仁アグーが豚舎敷材として活用する。

豚舎で使用済みのおが粉はゆがふバイオの堆肥(たいひ)化技術で堆肥にして有機農業に活用する。豚舎敷材を県内資源で安価、安定的に供給することが第一の狙いだが、ブタだけでなく安全な農作物生産にも活用し、資源循環型社会の構築を狙っている。

連携3者はアグーの飼育に最適なおが粉と粉炭の割合を共同研究し「今帰仁アグー専用粉炭入りおが粉」を開発中。炭はにおい成分や細菌などを吸着する機能があるため、獣臭の少ない健康な豚肉の生産が可能になるそうだ。

今帰仁アグーは現在、年間360頭を出荷しており、同事業で600頭程度に増やす計画。それでも需要に追いつかないという。在来種にこだわり、抗生物質の投与を避けているため、閉鎖育種が求められ、短期間の増産は難しく「希少ながらも安定的な供給でブランド価値を高める」(前田康太ゆがふバイオテクノ社長)方針だ。

資源循環型ビジネスの沖縄モデルを

粉炭入り消臭おが粉

粉炭入り消臭おが粉

同事業では廃棄物の循環利用、それぞれの技術の融合によるコストダウン、今帰仁アグーの高度な飼育環境の確立が第一の目的だ。それにとどまらず、農薬の混入や偽装問題で食の安全が問われているなか、連携3者で一貫経営、素性のはっきりした資材を使い、抗生物質や農薬を使わないことで、消費者に安全・安心な豚肉や野菜などを供給する狙いもある。

アグーについてはDNA分析で在来種であることを保証し、さらにトレーサビリティーシステムの電子化を進める計画。これらによって今帰仁アグーのブランド価値を向上させる。

また現在は大半を枝肉として出荷しているが、同事業の中で肉の加工、販売も手がける。ミートセンターの建設を進めており、ここで生ハムやソーセージなど加工品を開発し、店頭販売や通販、インターネット販売などを計画している。またアグーの表皮にはコラーゲンが大量に含まれているため、これを活用したスイーツなどの商品開発も検討している。

将来は県内資源のリサイクルをスムーズに回すことにより、アグー1,000頭の飼育が可能な豚舎の建設を3〜4年後をめどに計画。これには畜産担い手育成総合整備事業を活用する方針だ。

またバイオマスタウン構想、農山漁村活性化プロジェクトなど国の事業を活用し、ビジネスを拡大すると同時に、環境学習、体験学習施設を建設し、県内外の人々を受け入れ、資源循環型ビジネスのモデルを発信していく構想を描いている。

コメント

当たり前のことをやれば経済的価値も生まれる

ゆがふバイオテクノ・前田康太社長

ゆがふバイオテクノ・前田康太社長

沖縄のバイオマス利用というとサトウキビを使ったバイオエタノールが有名だが、私たちの連携はたとえローテクでも地元の農家にも役立ち、消費者にも安全で信頼される手法を目指している。産廃だった伐採木を加工し、養豚の敷材にして健康なアグーを育て、使用済みの敷材を堆肥にして有機・無農薬の野菜をつくる。それで高品質のアグーや野菜を増産しブランド化する。
 沖縄のブタはアグーを西洋種とかけ合わせて大型化したハイブリッドタイプが"アグー"の名で出回っている。在来のアグーが小型で飼育期間も長いためだ。でも私たちは在来のアグーにこだわる。手間がかかってもちゃんと育てれば高品質の肉になるからだ。昔の農業がやっていた当たり前のことをしっかりできれば、消費者の信頼が得られ、経済的価値も生まれると思っている。

連携体代表者の連絡先

会社名:株式会社ゆがふバイオテクノ
住所:沖縄県名護市港2丁目6番5号
電話:0980-50-9933