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農商工連携パーク

認定事業計画の事例紹介

農商工等連帯促進法に基づき、国の認定を受けた事業計画申請事業者の活気ある声をお届けします。

長野県

大人向け農村体験事業で地域観光を振興

農業商業
中小企業者 有限会社亀屋ホテル
農林漁業者 株式会社信州せいしゅん村
信州せいしゅん村のある上田市武石地区周辺

信州せいしゅん村のある上田市武石地区周辺

信州せいしゅん村は、長野県上田市の農村に全国の中・高校生を招いて生活体験を提供する子供向け学習旅行事業を手がけてきた。この事業を広く大人向けに拡大するため、2009年に農商工等連携促進法に基づく事業計画の認定を受けた。ホテルや大学などと組んで、新たな観光振興に取り組んでいる。

農業を衰退させない

日本百名山の一つである美ケ原高原。その麓(ふもと)の長野県上田市武石(たけし)地区に信州せいしゅん村がある。この地域はかつて、トマトの露地栽培で国内有数の産地であり、農業が盛んだったが、ビニールハウス栽培や農産物の輸入が拡大、過疎化も進んでいた。

信州せいしゅん村の小林一郎社長は「このままでは農業が衰退してしまう。何かできることから始めよう」と地域の友人や行政などに呼びかけ、勉強会を立ち上げた。この中で「外から来てもらえるサービス提供型の農村を目指す」という方向性が打ち出された。取り組みの一環として、2002年に日帰り農村生活体験「ほっとステイ」事業を始めた。これが自然や農業の大切さを実地で学べるとして学校教育現場で評判を呼び、これまでに延べ6万人の生徒が上田市武石地区を訪れた。
 「ほっとステイ」の標準的な一日の流れはこうだ。バスで来た学生は6人の班に分かれて地区の農村家庭を訪問する。午前中はそこで農業や農家の生活を聞いたり体験する。昼食をはさんで午後は周辺の川や森で自然体験をする場合もある。受け入れ可能な家庭は現在80件ほど。滞在時間は約6時間。これまでの実績は中学生が5割、高校生が4割のほか、大学・短大生の研修もある。

新たな顧客開拓

大人向け農村生活体験「ほっとステイ」の様子

大人向け農村生活体験「ほっとステイ」の様子

ただ、学校の年間行事との関係で、どうしても5−7月に学生が集中してしまう。少子化も加速する中で、他のシーズンにも訪問が見込めて新たな顧客開拓につながる事業として、農商工連携を活用した大人向けの農村農業癒し体験と農村研修のビジネス化に乗り出した。

連携したのは「ほっとステイ」を共同企画した実績のある亀屋ホテル(長野県茅野市)。旅行代理店と関係の深い宿泊業と組むことで、より幅広い集客が期待できる。また「ほっとステイ」自体は日帰りの事業で農家に泊まることはしないが、前後に別の旅行日程を組むことで、周辺のホテルや旅館への宿泊にもつながる。
 また、農村生活体験の前後でどのくらいリフレッシュできたかを数値で確認できるよう、信州大学繊維学部感性工学課程の上條正義教授の協力を得て「セラッチ」と呼ばれる生き方満足度を調査して誘客に結びつけている。

ありのままの農村生活

信州せいしゅん村が最も重視するのは「農業体験」だけでなく「農村生活体験」を提供することだ。農業体験に力を入れすぎると、野菜や果物などの収穫物を訪問者が持ち帰ることに重点が置かれてしまう。そのため、訪問に合わせて、農家側が収穫時期などを調整したりするケースも出かねない。これでは自然を体験してもらうために「不自然」な演出をする事態に陥ってしまう。農業体験だけでなく、農村での生活体験や自然体験などの交流により「ありのままの農村生活にふれてもらうことを重視している」(小林社長)という。

大人向けの農村生活体験「ほっとステイ」も、農商工連携の認定以降は認知度がさらに高まり、11年1月から12月は約1200人の訪問があった。昨年の学生の訪問数約5000人には及ばないが、中高年の旅行ブームや体験型ツーリズムの隆盛により今後も事業拡大が期待される。

コメント

自治体の視察相次ぐ

信州せいしゅん村・小林一郎社長

信州せいしゅん村・小林一郎社長

信州せいしゅん村の「せいしゅん」をひらがなにしたのは、「夢を持って一生、青春していこう」という意味の「青春」という言葉と、「清らかな環境で、旬の農作物を育てる」という意味の「清・旬」という造語を掛け合わせたかったからだ。大人向けの農村生活を体験した人の感想の中で心に残っているのは「久しぶりにおじいちゃんのところへ帰ろうかな」という言葉。農商工連携の認定により全国の自治体からの視察も相次いでいる。農村に人々を招いて活性化させるという当初の狙いは浸透してきた。今後は野菜など地域の食材を生かしたレストランの運営や体験農場など、新たな分野への進出も検討していきたい。

連携体代表者の連絡先

会社名:株式会社信州せいしゅん村
住所:長野県上田市下武石1026-2
電話:0268-85-3939
URL:http://www.murada.com/