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農商工連携パーク

認定事業計画の事例紹介

農商工等連帯促進法に基づき、国の認定を受けた事業計画申請事業者の活気ある声をお届けします。

宮崎県

牛の発情発見をインターネットで農家へお知らせ

農業工業
中小企業者 株式会社コムテック
農林漁業者 河野泉、黒木和巳、黒木生子、黒木利通
牛の足首に取り付けた送信機付万歩計

牛の足首に取り付けた送信機付万歩計

牛の発情開始時期

宮崎県産黒毛和牛の「宮崎牛」といえば、全国有数の地域ブランド牛。その一方で同県は肉用牛の子牛生産肥育も盛んだ。県外に出荷される子牛は各地域の銘柄牛肉の素牛となっている。そうした中、繁殖肥育農家にとって牛の発情開始時期を的確に判断し、人工授精を成功させることはまさに大仕事。年1回の発情発見を見逃せば、その分の肥育コストがかかるだけに、発情開始時期の見極めが何より重要なポイントとなる。

コムテック(宮崎市)は、2008年からITを活用して牛の発情開始時期を解析し、排卵時期に合わせて人工授精適期を割り出す新システム開発に取り組んでいる。

連携するのは、県内の4繁殖肥育農家と宮崎大学農学部。開発するシステムは発情期を迎えそうな牛の足首に送信機付万歩計を取り付け、運動量の増減を計測。専用受信機で同社サーバへデータを送信し、解析して各農家へ発信するものだ。「自社でデータを集中管理することにより、農家がインターネットでいつでも、どこからでもアクセスできる点が特徴」(笹栗紘二会長)という。

同社は7年ほど前に同システムのベースとなるシステム「牛歩」を開発した。全国40都道県の約1000農場に納入実績を持っている。牛歩を開発した背景は、各農家や家畜人工授精師の経験やノウハウでも「牛の受胎率が約60%で発情開始時期の判断が難しかった点」(同)にあった。

そこで笹栗会長は牛の運動量に着目した。発情していない牛と発情期を迎えた牛の運動量を比べると、発情期を迎えた牛の運動量が普段の2倍以上に伸びることを確認。その結果をもとに人工授精適期を割り出した。現在の牛歩は黒毛和牛で「受胎率を約90%まで高めることができる」(同)と胸を張る。

攻勢をかける

牛の時間帯別発情データから発情開始時期を判断

牛の時間帯別発情データから発情開始時期を判断

そして今回、「牛歩にインターネット接続機能を加えることで素早く情報を農家などに提供。新手法の指導、普及を広く行うことで、ITを活用した農家の経営効率化支援にもつなげる」(同)と連携の狙いを語った。

連携する農家でのデータ取得も丸1年が経過し、着実に成果を上げていた矢先、10年4月に家畜伝染病「口蹄(こうてい)疫」が同県を襲った。県内繁殖肥育農家の被害は甚大で、連携する農家の牛すべてが殺処分された。

笹栗会長は「7月中旬に家畜などの移動・搬出制限区域と、外出自粛などを求めた県の非常事態宣言が解除されるまで営業活動もできなかった」と苦しい胸の内を明かした。

口蹄疫が収束に向かっている現在、「今後はシステム開発、営業活動も再開し、反転攻勢をかけたい」(同)と意気込み、11年には携帯電話からもデータ取得できる新システムとして発売を目指している。笹栗会長は「13年8月期のシステム販売件数は約500件、売上高は約4億9000万円を見込む」といい、同社全体で13年8月期は09年8月期の約2倍となる約10億円の売上高を目指す考えだ。

コメント

疾病予防にも期待

コムテック・笹栗康(ささぐり こう)社長

コムテック・笹栗康(ささぐり こう)社長

口蹄疫被害は4月中旬から7月上旬までに合計292事例が発生。殺処分された家畜は約29万頭に及び、被害は甚大だった。ただ、被害を受けた繁殖肥育農家が厳しい状況の中で農場を再開するには、高いコスト意識が求められるだろう。そうした中でITを活用した経営の効率化、省力化は今後、農場経営のキーとなる。今回の実証データからは口蹄疫に関する特異データの取得はできなかったが、疾病予防にも役立てるシステムとしても開発を進めていきたいと考えている。

連携体代表者の連絡先

会社名:株式会社コムテック
住所:宮崎県宮崎市天満2-5-20 カワサキビル2F
電話:0985-53-1022
URL:http://www.s-comtec.co.jp/index.php