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農商工連携パーク

認定事業計画の事例紹介

農商工等連帯促進法に基づき、国の認定を受けた事業計画申請事業者の活気ある声をお届けします。

熊本県

食用のスイゼンジノリから化粧品

漁業商業工業
中小企業者 グリーンサイエンス・マテリアル株式会社、アクアサクラム株式会社
農林漁業者 有限会社喜泉堂
スイゼンジノリの養殖風景

スイゼンジノリの養殖風景

福岡、熊本両県で3事業者のみが食用に養殖している「スイゼンジノリ(水前寺海苔)」。九州の限られた湧き水のみで育つこの藍藻(らんそう)を、食品以外に用途拡大しようと取り組んでいるのが、2007年設立のグリーンサイエンス・マテリアル(熊本市、金子慎一郎社長)だ。

スイゼンジノリから抽出した高分子の多糖類「サクラン」は、化粧品や医療、工業分野などで利用できる可能性を持つ。特に保水力が特徴で、1グラム当たり5―6リットルの水を吸収する。化粧品などに使われることで知られる同じく多糖類のヒアルロン酸に比べて、純水で5倍、塩水で10倍以上の保水力を持つという。同社はサクランの抽出技術を持ち、企業や大学との連携で「情報の交通整理役」(金子社長)を果たしている。

農商工連携の認定を受けたのは10年10月。養殖業者の喜泉堂(福岡県朝倉市)、化粧品原料メーカーの大東化成工業(大阪市旭区)、化粧品企画開発会社のアクアサクラム(熊本市)がメンバーだ。グリーンサイエンスは技術の管理と開発に特化。喜泉堂とは効率的な養殖法を共同研究している。抽出は大東化成の担当だ。認定によって補助金やPR効果、信用度の向上を期待した。

まずは実績、会社を設立

収穫直後のスイゼンジノリ

収穫直後のスイゼンジノリ

アクアサクラムはサクランを使った化粧品の企画・開発・販売を目的に10年2月、金子社長らが個人出資で設立した。「新規の材料が採用されるまでには大きな壁がある。それを乗り越えるために商品化の実績が必要」と判断したからだ。グリーンサイエンスは設立以来、機能を前面に押し出してサクランを化粧品原料としてメーカーに売り込んだ。しかし、思うように採用されなかった経緯がある。
 また、「BツーBに特化して、一般に販売する化粧品事業とは明確に分けたかった」という思いもあり、化粧品専門会社を作った。

事業化で最も進んでいるのは、サクランの高い保水性と肌に付くと安定した保護膜を形成する性質を生かして化粧品原料にすることだ。10年11月に化粧水、11年2月に美容液を発売した。さらに、12年度内にはパック用ローションの発売を予定している。ローションは、パックに使いたいという顧客の要望を基に開発を進めている。さらに「将来はせっけんなども製品化して、スキンケア商品のラインアップを拡充させたい」と意気込んでいる。

販売ルートは現在、通信販売が主体。顧客の年齢は60代が多く、「保湿性が評価されリピーターも増えている」。また11年から熊本市内の百貨店1店とドラッグストア3店、福岡市内の百貨店1店とドラッグストア1店でも販売が始まった。今後も百貨店を中心にルートを拡大する方針。熊本県内では土産物としてもPRしたい考えだ。
 また、従来目標としていた化粧品メーカーの採用についても、国内の2社が商品化を検討中という。PRのため、農商工連携の認定で受けた補助金を活用して展示会への出展を行っている。

ノリ抽出物「サクラン」とサクランを原料に使った化粧水と美容液

ノリ抽出物「サクラン」とサクランを原料に使った化粧水と美容液

医療や工業にも期待

サクランは、ほかにもアトピー性皮膚炎の予防や症状改善などの医療分野、レアメタル(希少金属)やレアアース(希土類)の吸着回収などに使える可能性がある。インジウム、ネオジムなどを工業廃水から回収する目的で、大学との共同研究も実施中だ。

農商工以外に大学との連携も活発になっている。北陸先端科学技術大学院大学のほか、熊本大学、金沢大学、崇城大学、高知大学と共同研究を進める。金子社長は「これからも大学や企業とのネットワークを広げていく」と、連携の拡大を事業化のスピードアップにつなげたい考えだ。

コメント

将来は植物工場での生産も

グリーンサイエンス・マテリアルの金子慎一郎社長

グリーンサイエンス・マテリアルの金子慎一郎社長

スイゼンジノリは自生している天然ものは希少だが、養殖可能で増やすことはできる。ただし、従来の食品としての需要は限られており、化粧品原料に必要な量は、現在の養殖体制で十分確保できる。用途を増やすことで需要を増加させ、栽培の拡大につなげて種の保存に貢献したい。養殖の効率化や収量のアップは研究の余地がある。将来は植物工場での生産も可能となるだろう。
 化粧品分野の次に実用化の可能性が高いのは食品分野。もともと食用ではあるが、抽出したサクランでも問題がないか確認している。また美容効果がうたわれ、さまざまな食品に使われているコラーゲンのような使い方ができないかと考えている。

連携体代表者の連絡先

会社名:グリーンサイエンス・マテリアル株式会社
住所:熊本県熊本市長嶺東4-12-25
電話:096-319-3800
URL:http://gsmi.co.jp/