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農商工連携パーク

認定事業計画の事例紹介

農商工等連帯促進法に基づき、国の認定を受けた事業計画申請事業者の活気ある声をお届けします。

高知県

“街の写真屋さん”が地元農産物の新しい可能性を追求

農業商業工業
中小企業者 有限会社スタジオオカムラ
農林漁業者 野村妙子

スタジオオカムラは名前が示すように、元来は「街の写真屋さん」として学校の卒業アルバムの製作などを手掛けていた。Iターンをきっかけに、1994年に同社へ入社した小林正美社長は「少子化が進む中、卒業アルバムだけではこの先やっていけない」と、00年にスタジオ撮影ができる写真館を新設した。
 小林社長は、サラリーマン時代に飲食業の業態開発や商品開発に携わった経験を生かして、写真館に併設してベーカリーカフェを開いた。当初は写真館への集客目的だったが、その後飲食業へ本格参入。ベーカリーカフェの店舗拡大やレストラン運営など事業を拡大し、現在では飲食部門の売り上げが全社売り上げの7割を占めるまでになった。

加工品の製造販売で生産者の悩みを解決へ

トマトの栽培風景

トマトの栽培風景

地元農家との密接なつながりの中から、共同でトマトや唐辛子加工品を製造・販売する事業が生まれた。同社は、レストランで使用する野菜を市場から調達していたが、ある時小林社長は「周りを見れば畑ばかり。もっと生産者と接点が持てないか」と考えた。09年に写真館に併設するベーカリーカフェに、野菜の無人販売所を設置した。そこで地元農家との交流が始まった。
 その後、同社は野菜を生産者から買い取り、多店舗展開する飲食店の軒先で野菜の販売を始めた。この野菜は運営するレストランなど飲食店でも使用した。こうして生産者との関係が深まる中で「互いの課題や問題を話し合うようになった」(小林社長)ことが、同事業を進めるきっかけとなった。

トマトの加工現場

トマトの加工現場

生産者には「市場価格が生産コストに見合わない」、「良い物を作っても売れない」などの悩みがあった。また月々の収入に波があるため、年間通じて安定した収入を得たいという思いもあった。こうした課題を耳にした小林社長は、運営する飲食店用にトマトソースを作る設備と経験があったことと、「年間を通じて安定して収入を得ることができる」(小林社長)ということから、加工品を作って販売することを提案した。この提案に賛同したのが地元農家の野村巧(故人)さんだった。


ブランド化し首都圏での販売も

12年春から本格的に商品販売を開始。トマトソース(右)とパスタソース

12年春から本格的に商品販売を開始。トマトソース(右)とパスタソース

同社らは、事業の進め方を模索する中で「新規参入のリスクを低減したかった」(小林社長)と、農商工等連携計画の認定を目指した。申請に向けて事業計画を具体化していき、イタリア原産トマトと南アフリカ原産唐辛子を栽培し、その加工品を製造販売することとした。中小企業基盤整備機構四国支部のアドバイスを受けながら事業計画を作成。10年に同事業計画に認定され、トマトと唐辛子の試験栽培も始めた。また野菜や果物の知識を高めるために、野菜ソムリエの資格取得への挑戦も始めた。

イタリア原産トマトは、一般のトマトに比べてアミノ酸値が高く、南アフリカ原産唐辛子はイタリア丸唐辛子とも呼ばれ、辛みがそれほど強くなく、スパイシーな味わいが特徴。11年3月に、トマトはトマトソースに、唐辛子はピクルスとして商品化した。同年11月には、加工工場が完成し生産体制も整い、12年春から本格的な販売を始めた。同社は「はるのTERRACE」としてこれらをブランド化し、トマトソースは首都圏の百貨店でも販売されている。
 同社では、トマトソースを作る過程でできるトマトピューレを、醸造発酵させたトマトビネガーの開発にも成功。今後は「ドレッシングや、唐辛子と合わせてタバスコなどを考えている」(小林社長)と、トマトピューレを使った加工品の開発を進める方針だ。

小林社長は「トマトや唐辛子に限らず、今後ますます農産物の過不足調整が必要になってくる」と指摘する。こうした問題の解決に向けて、しょうがやたまねぎ、ニンニク、かんきつ類など、地元で採れる農産物を使った加工品の開発も積極的に進めていく計画。小林社長は「本事業の経験を次の事例につなげていきたい」と、商品アイテムの充実に向けて、さらなる新商品の開発に意欲をみせる。

コメント

シニア野菜ソムリエとして生産者とともに夢を実現

スタジオオカムラ・小林正美社長

スタジオオカムラ・小林正美社長

年間の平均気温が年々上昇する中、今後これまで作っていた農作物ができなくなることも考えられる。また他の生産地との差別化や付加価値を生み出す上でも、新たな農作物の栽培にチャレンジしていく必要がある。
 現在、当社は50−60軒の農家とお付き合いがあり、それぞれにやりたいことや、夢を持っている。それぞれの夢の実現のために、新たな農作物を使った加工品の開発に一緒になって取り組むとともに、高知県初のシニア野菜ソムリエとしての活動も通じて生産者のお手伝いをしていきたい。また販売を通じて得られる消費者に近い情報や、今後のトレンドなどを生産者にフィードバックすることも当社の大きな役割だと感じている。

連携体代表者の連絡先

会社名:有限会社スタジオオカムラ
住所:高知県高知市春野町弘岡下2869-1
電話:088-850-3113
URL:http://www.harunoterrace.co.jp/