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農商工連携パーク

認定事業計画の事例紹介

農商工等連帯促進法に基づき、国の認定を受けた事業計画申請事業者の活気ある声をお届けします。

広島県

地元の広島菜を使ったキムチを商品化

農業商業工業
中小企業者 株式会社山豊
農林漁業者 升本光徳

広島菜は高菜、野沢菜と並ぶ三大漬け菜とされている。白菜の一種で独特の風味と歯切れが特徴だ。広島菜漬けは量販店のほか土産物としても各所で販売されている。ただ栽培に手間がかかり、生産地は広島市安佐南区の川内地区をはじめとした一部エリアに限定されている。

「誇れるものを作ろう」

広島菜を使ったキムチ

広島菜を使ったキムチ

山豊は広島菜を中心とした漬物などの食品メーカー。「広島菜の使用量では広島でもトップ級」(山本千曲社長)だ。創業者である山本社長の父は広島県食品工業試験場(現広島県食品工業技術センター)の研究員で、県内の食品メーカーとのつながりが深かった。1959年に退職して漬物業を始めたが、老舗の会社が多い業界では後発の部類。そこで「他社と同じものは手がけない。誇れるものを作ろう」を合言葉に、海外で調味料を研究するなど独自技術を磨き、広島菜漬「安藝菜(あきな)」を早々と商品化した。

このポリシーは今も受け継がれている。キムチの商品化も長年、暖めていたアイデアだが「従来の加工技術では、なかなかおいしいものはできなかった」(同)。生産者との連携を密にし、異業種の知恵を盛り込むことでひと味違った商品開発に成功した。

キムチの辛味成分は唐辛子のカプサイシン。これに対し、広島菜の辛味はわさびに近いさわやかな辛さ。「日本語ではすべて『辛い』だが、中国語では表記が数通りあるように、まったく辛さの中身が異なる」(同)。性質の異なる辛味をどう生かすかが最大の課題だった。

農家には価格保証

工場で広島菜を洗浄

工場で広島菜を洗浄

まず着目したのは素材だ。キムチ味がしみ込みやすく、独特の食感を確保するために、広島菜の中でも早採りしたものを使うことを考えた。そこで地元広島菜農家のリーダー格で、先代社長から契約している升本光徳さんと連携した。広島菜は100%漬物に使用するため生産者が漬物製造業者と契約して供給する。納入は重量単位なので、早採りにすると単価が下がってしまい、生産者は難色を示しがち。よって「一定程度保証することで納得してもらった」(同)。

さらに味の決め手となる和風だしの供給については、瀬戸鉄工(広島県呉市)と手を組んだ。瀬戸鉄工は金属加工業からスタートしたが、今では食品製造が8割を占める。コア技術は自社開発の「瞬間高温・高圧焼成装置」。文字通り食材を短時間かつ高温で圧縮するもので、栄養が破壊されにくく風味を保持したまま保存が可能になる。この装置を使って漬物に合う粉末状の和風だしを開発した。さらに食品製造の大盛食品(福岡市南区)も加工技術を提供し、連携体ができあがった。

ナース(?)の応援団も誕生

2011年2月に「広島菜を使ったキムチ風広島菜漬及び関連商品の開発・販路開拓」のタイトルで農商工連携支援事業計画に認定。同年9月に販売を始めた。計画は5年間に4200万円の売り上げ増。「初年度はクリアし、2年目も8割方達成できている。だがこれからは厳しい」(同)と気を引き締める。

連携体以外の“応援団”も登場した。広島市内でインキュベーションオフィスを運営し、商品企画や販売支援を手がけるソアラサービス(広島市中区)が、広島菜自体をもっと知ってもらおうと「ひろしま菜ース」と名づけたプロジェクトを立ち上げた。山本社長が“院長”、ソアラサービスの牛来(ごらい)千鶴社長が“婦長”の役回りだ。「キムチは漬物としてだけではなく、食材の一つとして業務用の市場を開拓できる」と見ており、食べ方の提案まで手がけることで、計画実現に拍車をかける。

コメント

広島菜の普及が使命

山豊・山本千曲社長

山豊・山本千曲社長

先代が創業した当時、老舗の業者が多くなかなか市場に食い込めなかった。そこで独自路線を歩んできたのが今となっては幸いだった。技術面での差別化だけでなく、販売ルートにおいても早くから土産物や百貨店ルートを開拓してきた。直営店も5店舗持っている。キムチについて直営店で試験販売したところ評判が良く、手応えは十分にあった。もちろん完成までは試行錯誤の連続で苦労した。そんな時に農商工連携に認定され、実にありがたかった。広島菜を普及させるのは当社の使命だと考えている。農商工連携を活用することで、販売促進を含め多様な取り組みにチャレンジしていきたい。

連携体代表者の連絡先

会社名:株式会社山豊
住所:広島県広島市安佐南区沼田町伴79の2
電話:082-848-7778
URL:http://www.yamatoyo.co.jp/