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農商工連携パーク

認定事業計画の事例紹介

農商工等連帯促進法に基づき、国の認定を受けた事業計画申請事業者の活気ある声をお届けします。

岐阜県

風味や栄養価を損なわない独自の乾燥法で実現したドライ野菜の缶詰

農業工業
中小企業者 株式会社エフ・ジー、株式会社キング印刷紙工
農林漁業者 有限会社野菜クラブ千葉
乾燥野菜の缶詰(試作品)。ネーミングやパッケージは改良中

乾燥野菜の缶詰(試作品)。ネーミングやパッケージは改良中

技術関連の研究開発を行うエフ・ジーは、食品、化学、機械など幅広い分野の事業に携わってきた。このほど完成させたのは「ドライ野菜の缶詰」。乾燥した野菜や果物を缶詰にして、非常食や健康食品として全国展開を計画している。

これまでの乾燥野菜は、袋詰めやラミネート包装といった仕様だったが、缶詰にすることによって袋の破損や製品の劣化を防ぎ、賞味期限を大幅に延ばすことができるようになった。常温で長期保存が可能なため、非常食、とくにパンデミック(新型インフルエンザなどの世界的流行)に備えて、各方面から注目を集めている。

風味や栄養価を損なわない加工法

同社は、野菜や果物を乾燥する低温蒸気加熱乾燥という独自の加工技術を採用した。フリーズドライなど従来の乾燥法と比べて、風味や栄養価を損なわないという利点があり、水分量を5〜6%に加工しても、生の状態と成分は変わらない。さらに加熱と圧力を調整することで、ギャバや旨み成分が増すという結果も出ている。

加熱の平均温度は、50〜60℃。この温度だと酵素が死滅することなく、同時に滅菌もできる。さらに加工のプロセスで、残留農薬を削減することができる。栄養価を損なわずに安全性を高めるこの加工法で、特許を取得した。

乾燥中のトマト。旨みが凝縮される

乾燥中のトマト。旨みが凝縮される

低温蒸気加熱乾燥の特徴は、温度、水分、圧力、時間などを自在にコントロールできることにある。これによって、あらゆる種類の野菜や果物に対応し、仕上がり状態も自在に調整できる。例えば水分量を調節し、水分多めでしっとりと仕上げたり、パリパリの食感に仕上げることもできる。

現在、トマト、ニンジン、タマネギ、柿、リンゴ、ヤーコンなどを試作品として完成させた。水分量や食物繊維など、それぞれの素材の特性に合わせて加工法をコントロールし、風味や食感などを最適な状態に保っている。

缶詰の保存期間は5年。食べ方はそのままでもよいし、水で戻したりスープの具に使うなど、いろいろな食べ方を楽しむことができる。

産地加工で鮮度と農家の安定を

独自に開発した低温蒸気加熱乾燥設備

独自に開発した低温蒸気加熱乾燥設備

同社は、農業を取り巻く不安定な環境を改善し、安全な野菜を供給することを目的として、この研究開発に着手した。

農業は気象による影響を受けやすく、収穫高を一定に保つのが難しい。さらに輸送にかかるコストは原油価格に左右され、出荷したことで赤字になるケースも少なくない。また生産農家の高齢化は深刻な問題。近年では、輸入野菜の農薬汚染問題が世間を賑わしている。

収穫過多による農産物のだぶつきから、野菜を畑にすき込むこともある。また食の安全を重視して、無農薬や減農薬を導入すると、規格外品が育つ可能性が高くなる。収穫した農産物の約4割が規格外品だったこともあり、それら出荷できない規格外品は廃棄する場合もある。

こうした厳しい環境の中、規格外品や収穫過多の野菜を加工することで、生産農家に一定の利益をもたらし、安定した経営を図ることを目指す。さらに効率の良い産地での加工も進めたいとしている。これは輸送コストや時間のロスをなくし、採れたて作物の鮮度をその場で封じ込めることができるからだ。同社は産地加工を普及させるため、加工設備のレンタルも広げたいとしている。

開発にあたって苦労したのは、それぞれの素材に適した加工条件を探る作業だ。温度や圧力、時間などを変えて、何度も試作を繰り返した。水分が少なすぎたり、圧縮しすぎて食感が損なわれたり、素材の特性を引き出す加工条件を探しあてるのにかなりの時間を要したという。

試作品が完成すると、自治体、学校、企業などから引き合いが殺到。パンデミックに備えての問い合わせも多い。現在、ネーミングやパッケージデザイン、販路開拓、PRなどについて、専門コンサルタント会社に委託し、2009年秋の発売に向けて改善を進めている。まずは食品、防災関連の展示会に出品し、反響を確かめたいとしている。

コメント

非常時にホッとする缶詰

エフ・ジー 岩田悟社長

エフ・ジー 岩田悟社長

非常食の缶詰といえば、水煮やシロップ漬けなどが定番。生の野菜や果物を乾燥した缶詰は、過去に例を見ない。また乾燥野菜や果物は、袋詰めやレトルト食品が出回っているが、保存時や非常時に袋が破損するという弱点がある。そこで、缶詰として製品化を進めていたが、これによって保存期間を大幅に伸ばすことが可能となった。 近頃、パンデミックを危惧する話題がマスコミでしばしば取り上げられているが、大人数を要する団体や企業が、この乾燥野菜の缶詰に興味を示している。まだ試作品の段階だが問い合わせが多く、出荷を催促されている。
 災害時に栄養の補給だけでなく、生の野菜や果物の風味を味わうことで、満足感が得られると思う。備蓄品の代名詞として成長が期待でき、大きな需要を見込んでいる。

連携体代表者の連絡先

会社名:株式会社エフ・ジー
住所:岐阜県羽島市福寿町千代田1-23-2
電話:058-394-3031