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農商工連携パーク

認定事業計画の事例紹介

農商工等連帯促進法に基づき、国の認定を受けた事業計画申請事業者の活気ある声をお届けします。

福岡県

未利用の柿を使ってシロップやピューレへ

農業工業
中小企業者 株式会社元山
農林漁業者 右田果樹園、上野愛果園、みやま農園

傷みやすい柿を有効に活用

社名の「元山」は柿の種類から名付けた

社名の「元山」は柿の種類から名付けた

福岡県久留米市。筑後川と耳納連山に囲まれた豊かな土地はフルーツの宝庫。イチゴ、桃、ブドウ、梨、柿と1年を通じてさまざまな果物が実り、フルーツ狩りを楽しむ人がたくさん訪れる。

フルーツ狩り発祥地としても知られる田主丸は、200以上の柿農家を有し柿の産地としても有名だ。その柿農家の悩みは、出荷できなかった未利用柿の対処。柿は“傷みやすい”という特性があり、ほかの果物に比べて短期間で熟し腐敗に向かう。このような性質から、これまで未利用柿の多くは廃棄せざるを得なかった。

こうした未利用柿を活かす方法はないだろうか。規格外の柿から柿砂糖の製造を進めていた醤油製造業の若竹醤油と柿生産者の右田果樹園、バイオテクノロジーの研究開発を行うバイオボックスらが、柿加工品の開発に乗り出した。これまで使われなかった柿を活用して、柿シロップや柿ピューレを製造しようという試みだ。

連携体のメンバー(左から右田園主、林田社長、井上取締役)

連携体のメンバー(左から右田園主、林田社長、井上取締役)

さらに酒造会社や製麺会社などが加わって、共同出資による元山を設立。地元農産物を利用した商品開発・販売を行う会社として、2008年2月にスタートした。この元山社長で若竹醤油の林田武社長と、右田果樹園主の右田英訓さんは幼なじみで、上京後も同じ大学に通っていた。地元に戻ってからは、地域の産業や地元の活性化などについて議論を交わす仲に。柿の加工品についても、10年以上前から構想をあたためていた。

難易度の高い柿の加工技術

柿は昔から砂糖の代用品として使われていた。独特の上品な甘さがあり、料理に使うと素材のうまみを引き出すという特徴がある。ビタミンやカリウム、食物繊維を多く含み、「柿が赤くなると医者が青くなる」と言われるように、二日酔いや高血圧などさまざまな症状に効くとされている。このように風味、栄養価ともに優れている柿だが、これまで加工品が市場に出回ることはあまりなかった。傷みやすく発酵しやすいという性質から、加工品の開発が進まなかったのだという。

柿ピューレの製造風景。若竹醤油工場内にて

柿ピューレの製造風景。若竹醤油工場内にて

元山では、若竹醤油の既存の設備と醤油の醸造技術を駆使して、シロップとピューレの製造に力を注いだ。柿は個体差の大きい果物。大きさだけでなく、味にもばらつきがある。また、熟し具合によっても、シロップやピューレの味やなめらかさに違いが生じるため、加工品の開発は容易くない。低温で短時間加熱し発酵を防ぎながら、何度も試作を重ねた。

「柿の特性や加工の難しさから、これまで加工品の開発が見られなかったのもうなずける。逆に市場に出回っていないからこそ、商品展開の可能性は未知数」というのは、バイオボックスの井上忠男取締役。柿の特性を活かして幅広い商品を作り出したいという。

試作品のシロップ、リキュール、調味料など

試作品のシロップ、リキュール、調味料など

ピューレやシロップは、2次加工品に向けた中間素材。菓子、ジャム、ジュースやリキュールをはじめとした飲料、ソースやたれなどの調味料など、さまざまな食品への利用が考えられる。ほかの素材のうまみを引き出す特性から、加工品に寄せる期待も大きい。食品製造会社やレストランなどの飲食関係者からは、「柿のピューレを料理に使ってみたい」「これまでなかった柿のデザートやドリンクを作りたい」と完成品を待ち望む声も多い。同社は業界関係者の意見をフィードバックしながら、加工品の完成度を高めていきたいとしている。

「使う側とキャッチボールしながら、風味や利便性を高めていければ」(林田社長)という。

コメント

加工品を牽引力に柿のイメージアップを図りたい

元山・林田武社長

元山・林田武社長

柿はほかの果物に比べて腐敗するのが早く、加熱することで発酵が進むので加工が難しい。こうした理由で、柿の加工品は一部の柿酢などを除いて、なかなか目にすることがなかった。また、一般的に柿のイメージは地味で、ほかの果物のように女性に人気があるとは言い難い。

今回、ピューレやシロップを使ったスイーツやカクテルなどが、若い人たちに受け入れられ、これまでの柿のイメージを払拭できればと思う。レストランのパティシエをはじめ飲食関係者らも興味を示しており、やり取りしながら完成度を高めていきたい。さらに将来的には海外にも展開し、日本の柿の魅力を味わってもらいたいと考えている。

ひいては、このシロップやピューレを使った食品が牽引して、柿のイメージアップとともに、柿の出荷量の増加に繋がることを期待したい。

連携体代表者の連絡先

会社名:株式会社元山
住所:福岡県久留米市田主丸町田主丸706-3
電話:050-5540-8434