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農商工連携パーク

認定事業計画の事例紹介

農商工等連帯促進法に基づき、国の認定を受けた事業計画申請事業者の活気ある声をお届けします。

福岡県

バニラで街興し、世界的ブランド目指す

農業商業工業
中小企業者 有限会社金子植物苑
農林漁業者 池上農園、農事組合法人ホワイトベリー

金子植物苑はランなどの花の生産者で、観葉植物のレンタルも手がける。農商工連携で取り組んでいるのは、アイスクリームなどの香料として知られるバニラの栽培から実の加工、加工品の販路開拓までの事業だ。金子茂社長の「バニラで街興しをしたい」との強い意志を原動力に、福岡県久留米市を中心とした協力者のネットワークを拡大しようとしている。

ラン栽培の経験生かす

栽培されたバニラの実

栽培されたバニラの実

バニラは熱帯に育つ、つる性の植物。メキシコや周辺地域が原産地で、スペインのメキシコ支配により欧州に広まったとされる。当初は王侯貴族や富裕層が媚薬(びやく)として使ったとも言う。現在では香料として世界中に広まり、メキシコだけでなくマダガスカルやインドネシアなどでも栽培されている。金子社長によると、日本で使われているバニラ香料は「100%輸入されている」。

金子社長がバニラとかかわり始めたのは農商工連携事業の認定を受けた2011年2月よりも10年ほど前。ランに関するイベントで、ラン科の植物であるバニラの展示を企画したのがきっかけだ。
 当時、植物としてバニラを育てていたのは全国でも限られた植物園しかなかったという。現在でも一般にバニラと言えばバニラエッセンスなど加工された香料として輸入されたものが普通だ。こうした状況に対し、金子社長は栽培から加工までを地場産業に育成しようとバニラの栽培と製品化を目指して試行錯誤を始めた。

ランで培った施設園芸のノウハウを生かして栽培法を確立、独自のマニュアルを作成した。香料にするには実をさやごと発酵、乾燥させるキュアリングと呼ばれる加工が必要だが、ここでも独自の加工法と加工装置を開発した。装置には「日本伝統の発酵技術を生かした」(金子社長)という。同社の商品開発・技術顧問で農学博士の水谷高幸氏によれば「香り成分が多く、幅があるふくよかな香り」のバニラビーンズが製品化できた。

小規模農家を育てたい

発酵と乾燥後のバニラビーンズ

発酵と乾燥後のバニラビーンズ

金子社長が栽培から加工、販売まで単独で事業化せずに連携を選んだのは、地元の農業に貢献したいという思いがあったからだ。それも大規模農業ではなく、小規模の農家を多く育成したいという。これは「参加者を増やすことでこの地域をバニラの街にしたい」という構想があるからだ。
 農商工連携事業で連携している農業者は、久留米市と同じ福岡県筑後地域の池上農園(大木町)とホワイトベリー(同)の2事業者。久留米商工会議所を通じて知り合った。両者ともイチゴを栽培しており、バニラ栽培の条件となる施設園芸技術を持っていることが有利だった。
 需要拡大には中小機構九州本部の支援を生かした。機構が主催するイベントや機構のコーディネーターの情報提供により製菓業者などに幅広い人脈を築くことができた。

製品は現在までにバニラビーンズのほか、香り付けしたシロップと砂糖がある。活用例としてはアイスクリーム、菓子、リキュール、におい袋があり、地元を中心に十数社が同社製品を採用している。中でもリキュールを製造する酒造業者が熱心だという。そのほか化粧品の原料にする計画もあるという。
 ブランド戦略では「Vanille de Kurume(バニラ・デ・クルメ)」の名称を展開していく考え。まずは地元の菓子店や一般消費者に材料として普及させていく。さらにフランス料理やイタリア料理で肉や魚の料理にバニラを使うレシピがあることから、地元飲食店での採用も目指す。

バニラは世界的な産地ブランドが5つあるという。将来は「日本の久留米を第6の産地にしたい」(金子社長)と意気込んでおり、海外進出を目指す際は中小機構の海外展開支援事業も活用する考えだ。

コメント

連携で地域への思い強まる

金子植物苑・金子茂社長

金子植物苑・金子茂社長

日本の農業は苦境に立たされており、農家の収入は減っている。バニラ栽培をお願いすることで減った収入を少しでも増やしたい。農商工連携に取り組んだことで、連携メンバーを含む多くの出会いがあった。もともと人のつながりを大切にしてきたが、彼らと知り合うことにより事業を拡大することで地域貢献したいという思いは強まった。
 幸い引き合いは増えており、現在の課題は栽培業者を増やすことだ。既存の施設園芸業者だけでなく新規就農者への技術支援も行う。栽培も製品もできるだけ多くの人に知ってもらい、地元から広がっていくことで、地域を盛り上げていきたいと考えている。地道に取り組みたい。

連携体代表者の連絡先

会社名:有限会社金子植物苑
住所:福岡県久留米市藤山町1731-1
電話:0942-22-8483
URL:http://vanilla-de-kurume.com/