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農商工連携パーク

認定事業計画の事例紹介

農商工等連帯促進法に基づき、国の認定を受けた事業計画申請事業者の活気ある声をお届けします。

青森県

目の届く距離で育った小麦・大豆で醤油開発

農業工業
中小企業者 株式会社中村醸造元
農林漁業者 株式会社黄金崎農場
大手メーカーにできない細やかな管理で高品質の商品を生む

大手メーカーにできない細やかな管理で高品質の商品を生む

青森県藤崎町の老舗醤油メーカー・中村醸造元が「津軽50マイル(約80キロメートル)醤油」の開発に取り組んでいる。目の届く距離で栽培された小麦・大豆で製造することで付加価値を高め、地域農業の活性化にも寄与する。

1987年に発売した「昆布しょうゆ」がヒットを呼び、07年発売の「大間マグロ醤油」が大間漁協公認商品第1号となるなど、同社製品への評価は高い。しかし約3年前、同社は倒産の危機にあった。

高い品質と社長の熱意がスピード再建を実現

清酒杜氏の経験を持つ職人を擁し、独自の発酵技術ときめ細かい管理でまろやかな味わいの醤油を製造している同社。しかし資金繰り悪化などにより、06年1月に民事再生法適用の申請を余儀なくされた。

日本政策投資銀行は、商品の質と中村充滋社長の醤油づくりにかける熱意を評価し、在庫の生醤油を担保に融資を実行。11月には民事再生手続きを終えた。「農業コンサルティング会社や地域関係者などの支援あってのこと」と中村社長は振り返る。

原料栽培から見守る

経営再建という「夢」を実現した同社は、もう一つの夢に向かって走り出す。それは「栽培段階から見守った大豆・小麦で最高級の醤油を作る」ことだ。

中村社長は自社の醸造技術に関しては自信を持っていたが、原料は輸入品を使っている点が気に掛かっていた。「より胸を張ってお客様に出せる製品を作りたい」と、04年に自社農園で無農薬有機大豆を栽培し始めたものの、経営危機で休止した経緯がある。中村社長の思いを再びかなえるのが、まさに今回の連携といえる。

醤油麹(こうじ)の製造現場

醤油麹(こうじ)の製造現場

連携体の黄金崎農場は、約500ヘクタールの耕地面積を持つ深浦町の農業生産法人。中村社長は同農場の佐々木君夫氏と共同で、土づくりや循環型農業を研究している。小麦は収穫直前に雨が降ると一気に穂が発芽し、品質が低下する。津軽地区では収穫期が梅雨終盤の7月に当たるため、栽培は敬遠されてきた。

黄金崎農場はこの課題に挑み、土壌改良で小麦収穫量を3年で約2倍に増やした。これにより中村醸造元が必要とする量をまかなえるめどがついた。醤油に使う小麦に関しては多少の発芽は問題ないため、黄金崎農場にとってはこの連携で安定的な栽培が図れることになった。

大豆も、藤崎町や板柳町など近隣で収穫したものを使う予定だ。津軽地区では、コメの転作で大豆の作付けが年々増えている。水についても、弘前市の酒造メーカーから仕入れた白神山地の湧水を使うことで、地域ブランドとしての価値を上げる。

環境面からも訴求

中村醸造元の醤油蔵と小麦・大豆畑の距離から、この連携で開発する醤油は現在「津軽50マイル醤油」とよばれている。フードマイレージの観点からも、この取り組みは価値があるという。フードマイレージとは、食品輸送にかかる距離が小さいほど二酸化炭素排出量を減らせるとの考え方だ。距離が近ければ、中村醸造元のスタッフが随時、栽培状況を見に行くことも可能だ。

「50マイル醤油というと特別な商品のように聞こえるかもしれない。しかし昔は地場の作物だけで醤油を加工しており、本来あるべき生産の姿に戻した」と中村社長。早期販売をめざすとともに、3年後には「津軽50マイル醤油」を「昆布しょうゆ」など全ての商品のベースにする予定だ。

コメント

ストーリー性のある「食」を提案

中村醸造元・中村充滋社長

中村醸造元・中村充滋社長

畑にカメラを設置し、当社サイトで小麦や大豆の栽培状況を見られるシステムを整える計画を立てた。消費者に安心感を与えると同時に、生産者の意識向上につなげる狙いだ。通常、生産者は自分が栽培した作物が出荷後にどのようにして加工・発売されているか分からない。
 素材の特徴やストーリーを知ることができれば、食はもっと充実した存在になる。食を家庭でのコミュニケーション手段にしてほしい。

連携体代表者の連絡先

会社名:株式会社中村醸造元
住所:青森県南津軽郡藤崎町西豊田3-1-1
電話:0172-75-6500
URL:http://www.kanekame.jp/