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農商工連携パーク

認定事業計画の事例紹介

農商工等連帯促進法に基づき、国の認定を受けた事業計画申請事業者の活気ある声をお届けします。

青森県

冷凍すしの食感改善へ 地産米が奇跡のシャリを呼ぶ

農業工業
中小企業者 株式会社ディメール
農林漁業者 十和田おいらせ農業協同組合
ディメールの冷凍押し寿司。生寿司と変わらない豊かな食感が特徴だ。同社の加工技術、下北の低アミロース米、青森の海産物のコラボで、地域活性化をめざす。

ディメールの冷凍押し寿司。生寿司と変わらない豊かな食感が特徴だ。同社の加工技術、下北の低アミロース米、青森の海産物のコラボで、地域活性化をめざす。

青森県八戸市の食品加工業者・ディメールが開発した「冷凍押し寿司」。解凍した押し寿司は、作りたての寿司と何ら変わらない。ネタの色合いも、シャリの輝きも、冷凍ものとは思えないでき栄えだ。食してみると、寿司本来の風味とネタの旨みが口中に広がる。サバ・マグロなどの魚はやわらかく米は弾力がある。「これが冷凍なのか!」という驚きが一段と増してくる。これだけの完成度と、解凍するだけで手軽に提供できる利点を考えれば、外食産業などから引き合いがあるのも頷ける。ロシアや中近東などへの海外輸出も期待できるだろう。

地元の魚介類で冷凍押し寿司を開発、しかし…

八戸港はイカやサバなどが水揚げされる日本有数の漁港として知られる。ディメールの親会社で水産加工を手掛けるダイマルは2002年、八戸駅に東北新幹線が開通するのを機に、県から「土産になる商品を製作できないか」と提案を受けた。「夏に訪れる観光客にもおいしい魚を提供したい」という漁業組合の意向もあり、脂がのっていて後味も良いとされる八戸のサバや、高級品として知られる大間産マグロを使った冷凍押し寿司を開発。04年には全国水産加工品総合品質審査会で農林水産大臣賞を受けるなどの高い評価を得た。

しかし、冷凍すると米の一部がぼろぼろした状態になるという問題があった。高付加価値商品を開発するため翌年に設立したディメールでは、解決策を探りさまざまな米で冷凍押し寿司を試作。この結果、青森県下北地域で生産されている米「ゆきのはな」が最も適しているとの結論に至った。

「稲作をあきらめない」熱意が冷凍に適した米を生んだ

ネタのうまみと米の粘り気を活かした味わいで引き合いが増えている

ネタのうまみと米の粘り気を活かした味わいで引き合いが増えている

青森県北東部の下北地域はやませの影響でおいしい米が収穫できないと言われ、生産された米は魚沼産コシヒカリの約3分の1という安値で買い叩かれてきた。むつ市のはまなす農業協同組合(現・十和田おいらせ農業協同組合)の中には、県から「稲作をあきらめた方がいい」とアドバイスを受けた米農家もいた。

こうした状況を「悔しい」と感じた有志が「下北のコメを守る会」を結成、県農業試験場が開発した冷害に強い米「ゆきのはな」の生産に乗り出した。「ゆきのはな」は、でんぷん含量が普通のうるち米の半分以下という低アミロース米で、粘り気が強く冷凍すると甘みが増す。

ディメールはこの特徴に目をつけ、同農協との連携に至った。「下北の米がようやく日の目を浴びる状態になった」「自信をもって米作りをできるようになった」と、同農協では喜びの声が多くあがった。冷凍押し寿司が売れることで「ゆきのはな」のおいしさが広まれば、コンビニのおにぎりなどほかの用途での引き合いも期待できる。下北のコメを守る会は、生産量を増やして下北の特産品に育てる計画を立てている。

安さではなく付加価値で勝負する

ディメールの工場内。衛生管理に気を配り地場の食材を加工している

ディメールの工場内。衛生管理に気を配り地場の食材を加工している

ディメールには、良質の食材を生産しても農家や漁師にはほとんど利益が還元されない現状を変えたいとの思いがある。間重樹取締役は「利益を当社で独り占めするのではなく、適正に利潤を分け合う仕組みを作りたい」と語る。高級品として冷凍押し寿司が売れれば、素材を生産者から高く買い取ることができる。農家や漁師の収入が増え、夢や誇りをもって働く姿を見れば「後を継ぎたい」と考える若者も増える。冷凍押し寿司には保管や流通がしやすく、出荷調整も容易なため値崩れしにくいといった利点もある。

現在はインターネットなどによる直販が主。「量産や安さではなく付加価値で勝負するというわれわれの考えを理解してくれる流通・販売業者がいれば連携したいが、なかなか見つからない」と、間取締役は苦笑いする。農商工連携による補助金を展示会出展や試作機の製作に活用し、消費期限の延長などの研究も進めている。地域全体の活性化を視野に、ディメールの挑戦は続く。

コメント

利益を地域に幅広く還元したい

ディメール・間重樹取締役

ディメール・間重樹取締役

当社の強みは加工技術であり、この点に徹したい。インターネットの発達で生産者でも販売を手掛けることができるようになった。量販店や海外への出荷は当社がイニシアチブを取るつもりだが、個人客対象のネット販売は個々の漁協が対応することを想定している。利益が地域に幅広く還元される仕組みを作りたい。07年秋にはまなす農協(現・十和田おいらせ農業協同組合)と連携してから約1年。製品の研究開発に重点を置いてきたが、今回の農商工連携認定を機に、営業にも力を入れるつもりだ。

連携体代表者の連絡先

会社名:株式会社ディメール
住所:青森県八戸市沼館1-10-46
電話:0178-45-4900
URL:http://www.de-mer.com/