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JAPANブランドで新市場に臨む 日本の感性はこうして生かされた


電子ペンと入力用のタブレットで構成する「ペンタブレット」。ワコム(埼玉県加須市)は、ペンタブレット市場で世界シェア8割をもつ。同社製ペンタブレットは、筆のような書き心地を再現する技術力で、映画製作会社や自動車メーカーなど、世界中のデザインのプロに愛用されている。

創業から数年で海外展開

電子ペンと入力用のタブレットで構成する「ペンタブレット」。ワコム(埼玉県加須市)は、ペンタブレット市場で世界シェア8割を占める。同社のクリエイターの中には、“モノ”にこだわりを持つ人が多い。とくに仕事に使う道具には強く持ち、値段よりも高度な技術力が凝縮した製品を常に求めている。筆のような書き心地を忠実に再現する高い技術力で、ワコムのペンタブレットは映画製作会社や自動車メーカーなど、世界中のデザインのプロに愛用されている。

ワコムは創業以来、文字入力や設計用の電子ペンの技術を追求してきた(写真は、パソコンとつないで微細なタッチまで忠実にデジタルで再現できる「Intuos Pro」)

ワコムは創業以来、文字入力や設計用の電子ペンの技術を追求してきた(写真は、パソコンとつないで微細なタッチまで忠実にデジタルで再現できる「Intuos Pro」)

ワコムは1983年に創業し、翌1984年には、世界初のコードレス・ペンタブレットを発表した。同社は、設立当時から文字入力や設計用の電子ペンの技術を追求し、世界ナンバーワンを目指していた。

1980年代後半、ある社員が今の原型となるペンの先に毛筆の筆先をつけて試したところ、「思った以上に描けて面白い。コンピュータで絵を描けるのではないか」ということになり、実用化を進めたという。

1990年、高い表現力の話を聞きつけた米国ウォルトディズニー社から、デジタル映画「美女と野獣」の製作で協力を求められた。これをきっかけに、プロのクリエイターが望む多彩な表現を実現するため、改善を重ねる研究活動が始まった。筆圧の再現や筆で描いたような表現を可能にする感度、色、画像の回転機能の追加などの改善が求められた。この時の経験が、後の製品開発の重要なノウハウとなった。

その後、ワコムのペンは、ルーカスフィルムの製作会社など、ハリウッド映画のプロのクリエイターや、Webクリエイター、一般ユーザーへと利用対象が広がっていった。1996年には、クリントン米大統領(当時)が通信改革法にデジタル署名する際にワコムのペンタブレットを使用している。

ワコムの海外展開は怒涛の勢いであった。1988年にドイツ、1991年にはアメリカに現地法人を設立し、2000年には中国に現地法人を設立。04年に韓国、05年にオーストラリア、06年にシンガポール、08年に台湾、そして2010年にインドに現地法人を設立した。現在では、世界10カ国に拠点を築き、グローバルのニーズを捉えながら確実に成長している。その結果が、世界シェア8割という数字に表れている。

一貫してペンタブレットに経営資源を集中投下

ペンタブレットに経営資源を集中投下してきたことがワコムの競争力の源になっている(写真は、タブレット型端末で手書きのメモやスケッチができる「Bamboo Stylus」)

ペンタブレットに経営資源を集中投下してきたことがワコムの競争力の源になっている(写真は、タブレット型端末で手書きのメモやスケッチができる「Bamboo Stylus」)

世界シェア8割を取るに至った成長の理由は一体どのようなものであろうか。その答えは、創業から30年間、ペンタブレットに経営資源を集中投下することによって培われた技術力にある。これこそが、ワコムの高い競争力の源泉となっている。

さらに、創業後早い段階で海外展開したことで、グローバルニーズを捉えることができたことも大きい。高い要求水準があってこそ、それに応えようと技術力も高まる。ワコムが保有する知的財産の数は、出願中のものも含めると、国内外合わせて863件にものぼる(2013年9月時点)。

ワコムの高い競争力はそれだけはない。90年代からすでに、工場を持たないファブレス化を進めてきた。自社製造は、わずか1%ほどのコア部品だけ。製造を他社に委託することで、技術開発と商品企画、販売マーケティングに自社の経営資源を集中投下することができた。

日本文化を海外へ輸出

国が異なれば、ペンタブレットを利用するターゲットもニーズも異なる。アメリカでは、映画産業や自動車メーカー向け製品が好調だ。特に、クリエイティブ産業の制作現場では、より直観的な操作で表現力に富む製品が求められている。大きな液晶画面に電子ペンで直接描ける製品は、映画製作や車のデザイン作業の質向上に大きく貢献する。

ヨーロッパでは、金融機関の電子サインによるセキュリティー関連の分野で主力となっている。日本では、マンガやイラストなど一般消費者向け製品の比率が高い。海外では日本のマンガやアニメの人気も高い。文化庁も日本のアニメ文化を輸出することを後押ししている。そのアニメ文化の輸出を陰で支えているのがワコムのペンタブレットであるとも言える。

想いを実現する力

ワコムのコンポーネントが搭載されたSamsung の「Galaxy Note3」

ワコムのコンポーネントが搭載されたSamsung の「Galaxy Note3」

ワコムにとっての転機は、時代の変化とともにやってきた。2011年、ワコムのペンタブレットの技術がスマートフォンに採用された。スマートフォンやタブレット端末の急激な普及により、ペン・タッチ入力機能を部品レベルに落とし込んで販売するワコムのコンポーネント事業が成長している。もちろんペンタブレット事業も着実に伸ばすことで、ワコム全体の売上高は直近3年間で2.5倍にも伸びた。電子ペンの技術にこだわるワコムは、独走状態にある。

今後は、モバイル機器を「デジタル文房具」として活用しながら、デジタルペンを使って手書き入力する、といったシーンが当たり前のものになる時代の流れを見すえ、さまざまな取り組みをリードしていきたいという。

ワコムのコンポーネントが搭載された富士通の「ARROWS Tab QH55/M」

ワコムのコンポーネントが搭載された富士通の「ARROWS Tab QH55/M」

例えば、フィルムの時代にカメラは愛好家のものだった。それが使い捨てカメラの出現で一般化し、そしてデジタルカメラに進化し、携帯電話やスマートフォンにカメラが搭載されるようになると、さらに手軽に写真を楽しむユーザーが増えた。

カメラの進化と同じように、ペンもまたデジタルに進化した。これからはスマートフォンやタブレット端末にペンが常備され、どこでもメモを取ったり、スケッチをして画像を仲間と共有したりするといったことが、日常的になってゆくだろう。そんな時代がすぐそこまで来ている。その時には、ワコムのペンを頻繁に目にしたり、使ったりしていることだろう。

企業データ
会社名 株式会社ワコム
代表取締役社長 山田正彦
所在地 埼玉県加須市豊野台2-510-1
業種 ペンタブレット、スタイラス及びペン・タッチ入力基幹部品の開発、製造、販売等
掲載日:2014年3月26日


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